約60名のPoCから、全社・グループ展開へ 生成AI活用を“口コミが届く距離”から広げた推進リーダーの存在

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導入前の課題
導入後の成果
【企業紹介】
生成AIを「入れる」だけではなく、「使われる状態」にするために
約60名のPoCから開始し、“口コミが届く距離”で活用を広げた
“使われる状態”をつくる推進リーダーの存在
社内データを活かし、まずはJAPAN AIに聞けばよい状態へ

導入前の課題

  • グループ会社の増加や事業領域の拡大に伴い、管理部門や営業部門、工場部門など、各部門の業務量が増加していた
  • 会社として公式に利用できる生成AIサービスがなく、生成AIの活用はガイドラインを全社に展開したうえで、各社員のリテラシーに委ねられていた
  • 全社に生成AIを導入しても、使い方がわからないまま離脱してしまう懸念があり、社内にどう浸透させるかが課題だった

導入後の成果

  • 挙手制の利用者とグループマネージャー以上を中心に約60名でPoCを開始。各部門に推進者を置き、利用事例が口コミで広がる導入設計を行った
  • PoC開始後、「自分も使ってみたい」という声が各部門から生まれ、数か月で全社展開へ移行。現在は国内グループ会社にも利用が広がっている
  • 月2回の「JAPAN AI相談会」や営業部門での重点活用を通じて、手順書検索、提案書作成、議事録作成などの具体的なユースケースが生まれている

【企業紹介】

会社名:マークテック株式会社
事業内容:非破壊検査用品・装置、印字・マーキング装置などの開発・製造・販売
従業員数:単体131名、連結416名(2025年12月31日時点)
利用サービス:JAPAN AI CHAT/JAPAN AI AGENT/JAPAN AI SPEECH

マークテック株式会社は、1955年創業の非破壊検査と印字・マーキングの総合メーカーです。目に見えないキズを見つける非破壊検査用の探傷剤・機器、ならびに生産ラインにおける印字・マーキング作業の自動化を可能とする、マーキング機器とその専用ペイントの製造販売を事業の柱としている研究開発型の企業です。「品質保証を通して社会に安全と安心を提供する」という理念のもと、事業を展開。自動車や鉄道、航空機など、安全性が求められる分野の品質保証を支えています。

同社では近年、M&Aや事業承継を背景に、国内グループ会社が増加しています。事業領域が広がる一方で、各部門の業務量増加や、社内情報を探す手間が課題になっていました。

こうした中、同社では法人向け生成AIサービスの導入を検討。経営企画部 IT企画グループが中心となり、複数サービスを比較したうえでJAPAN AIを導入しました。

生成AIの活用をどのように社内へ広げていくかは多くの企業が抱える課題です。同社ではいきなり全社展開するのではなく、まずは約60名のPoCから開始。各部門に推進者を置き、使い方を相談できる場を設けながら、社内やグループ会社に少しずつ活用を広げていきました。

その推進を中心となって担ったのが、経営企画部 IT企画グループ サブマネージャーの坂凜太郎氏。同じくIT企画グループのグループマネージャーの上床拓郎氏も、導入方針や社内展開を支えました。今回は、JAPAN AI導入の背景から、少人数スタートから全社・グループ展開に至るまでの進め方、社内浸透に向けた工夫、今後の展望についてお話を伺いました。

生成AIを「入れる」だけではなく、「使われる状態」にするために

―――JAPAN AI:生成AIを導入する前には、どのような課題がありましたか。

―――坂氏:大きくは2つありました。1つは、会社全体の業務量が増えていたことです。当社はM&Aなどによってグループ会社が増えており、それに伴って、管理部門、営業部門、工場部門など、各部門の業務も増えていました。

もう1つは、情報を探す手間です。社内には手順書や規程類、製品資料などが蓄積されていますが、必要な情報がどこにあるかわからず、管理部門や業務担当者に問い合わせが発生することがありました。そうしたやり取りにも工数がかかっていました。

―――JAPAN AI:生成AIの利用環境については、導入前はどのような状態だったのでしょうか。

―――上床氏:会社として公式に利用できる生成AIサービスはまだありませんでした。生成AIの利用についてはガイドラインを全社に展開し、あとは個々のリテラシーに任せている状態でした。

社員のITリテラシーやAIへの関心には差がありました。興味のある社員は比較的詳しい一方で、苦手意識を持つ人もいます。新しいITサービスは、最初に「うまく使えない」と思われてしまうと、その後の浸透が難しくなるだろうという感覚はありました。

生成AIは、必ず使わなければ業務が進まないものではありません。そのため、一般的なSaaSのように全員が使う前提で機能比較すればよいわけではなく、自社でどの業務に使えるのか、どのくらいの人数が使い続けられるのかを考える必要がありました。

―――JAPAN AI:JAPAN AIを選定した理由を教えてください。

―――坂氏:最初にJAPAN AIを知ったのは、IT全体の情報収集として、2024年に展示会に行ったときです。その時点では個人的な情報収集でしたが、2025年の初め頃に社長から生成AIを活用していこうという話があり、あらためて法人向けの生成AIサービスを探し始めました。

比較するうえで重視したのは、チャット以外に何ができるか、社内データを参照できる連携先があるか、費用、セキュリティなどです。全社展開を考えると、使い慣れていない社員でも使いやすいかどうかも重要でした。

特に見ていたのは、プロンプトテンプレートのように、使い慣れていない社員でも一定の精度で使える仕組みがあるかどうかです。何もない状態で生成AIを渡してしまうと、使える人しか使えなかったり、最初にうまくいかず離脱してしまったりする不安がありました。

JAPAN AIは、チャット機能だけでなく、議事録、エージェント、プロンプトテンプレートなど複数の機能があり、今後の用途拡張にも期待できました。決め手の一つになったのは、開発の速さです。最初に話を聞いてから半年後に再度相談したところ、以前とは別のサービスのように感じるほど機能が増えていました。生成AIそのものの進化が速い中で、JAPAN AIを使うことで、その進化に追従していけると感じました。

約60名のPoCから開始し、“口コミが届く距離”で活用を広げた

―――JAPAN AI:導入時は、どのような形で利用を始めたのでしょうか。

―――坂氏:最初から全社に一気に展開するのではなく、まずは約60名で始めました。利用したい人を挙手制で募り、あわせてグループマネージャー以上のメンバーにも使ってもらう形です。

一気に全社展開してしまうと、コントロールしづらいですし、使わなくなる人も増えると考えました。そこで、まずは使いたい人、使ってもらいたい人を絞って始めることにしました。挙手したメンバーは20名ほどで、各部門から1〜2名ずつ出してもらいました。

PoC期間中は、最初に説明会を実施し、そのあとは各部門の推進者から使いたい業務を吸い上げました。それをどう具現化するかを考え、2〜3か月ほどPoCを行ったのちにアンケートを取りました。

アンケートでは、定量的な数字だけではなく会社に浸透しそうか、これから使えそうな可能性があるかを見たいと考えていました。結果として、今後使えそうな業務だけではなく、「データ活用や調査を深めたい」といった前向きな意見が多く出てきました。

社内でも一定の手応えが得られたため、まず全社展開してもよいのではないかと判断しました。

―――JAPAN AI:その後、グループ会社へはどのように利用が広がっていったのでしょうか。

―――坂氏:全社展開する直前に、グループ会社も参加する経営会議で、当社がJAPAN AIを使い始めていることを共有しました。そこで「うちも使ってみたい」という声があり、当社でのノウハウが蓄積し始めたタイミングで国内のグループ会社にも声をかけることになりました。

現在は、一部の国内グループ会社でも利用が始まっています。グループ会社ごとに規模や費用面も異なるため、まずは人数を絞って使い始め、将来的には現場業務以外のメンバーを中心に広げていきたいと考えています。

―――JAPAN AI:全社展開を少人数から始めたことで、どのようなメリットがありましたか。

―――坂氏:一番良かったのは、最初に使い始めた人たちが、比較的意欲のあるメンバーだったことです。自分で試行錯誤する人も多く、「こういうことはできそう」「これは少し難しそう」といった判断ができる人も出てきました。各部門に1〜2名ずつ使える人がいたことで、少しずつ噂が広がっていきました。PoCの最後の方には、「自分も使ってみたいです」という声が各部門から出てくるようになりました。結果として「これは使えそうだ」という流れを作れたことが良かったと思います。

最初から全社展開してアカウントを全員に配り、「生成AIは使えない」と感じて使わない人が出てしまうといざ本番運用するとなったときにマイナスからのスタートになってしまいます。最初は、他の社員から見ても「あ、何かやっているぞ」とわかるくらいの人数で始めるのがよいのではないでしょうか。

言い換えると、“口コミが届く範囲から始める”ことが大事だと思います。最初に使った人が試行錯誤し、その様子が周囲に伝わる。そこから「自分も使ってみたい」という声が出てくる流れを作れると、全社展開もしやすくなると思います。

“使われる状態”をつくる推進リーダーの存在

―――JAPAN AI:全社展開やグループ展開に向けて、社内ではどのような取り組みを行いましたか。

―――坂氏:大きくは2つあります。1つは、営業部門を中心にエージェント活用を推進したことです。PoCの段階では各部門から広く推進者を募り各部で利用事例を創出しようとしましたが、広くしたがゆえにフォローが行き届かず、推進者自身での部全体への事例展開には至りませんでした。

そこで、対象部門を絞る選択をしました。営業部門全体で使うことを宣言し、部門として活用する流れを作りました。営業部門のトップが生成AIに前向きだったことも大きかったです。どの業務で使うのかを整理し、エージェントを作って展開することで、部門単位での活用が進みました。

手順書やマニュアルをもとに質問できるエージェント、PowerPoint資料や提案書の土台作成、調査、議事録作成などで活用されています。営業部門で一定の活用事例ができたことで、本社部門や成田の工場部門でも、自分たちでエージェントを作ったり、「どう活用すればいいのか」といった相談が寄せられたりすることが増えてきました。

―――JAPAN AI:月2回の相談会も実施しているそうですね。

―――坂氏:それがもう一つの取り組みです。「JAPAN AI相談会」という名前で、毎月2回開催しています。重い研修ではなく、私が会議室を予約し、各拠点ともTeams Roomsでつないで、来たいときに参加できる場にしています。5分だけ聞いて帰ってもよいですし、予約も不要です。

問い合わせるほどではないけれど少し聞きたいことがある、使ったことがないのでいきなり問い合わせるのは少し抵抗がある、という人でも、ふらっと来れば聞ける雰囲気を作りたいと思っています。

実際に、「こういうエージェントを作りたい」「そもそも使い道がわからない」といった相談を受けています。その場で答えられないことは調べて回答しますし、必要に応じてJAPAN AIのカスタマーサクセスにも相談しています。強制参加にしたり、ハードルを上げたりすると、どうしてもやらされている感じが出てしまいます。だからこそ、気軽に聞ける場所を用意し、まずは触れてもらうことが大事だと思っています。

実際に触ってみると、「こういうことに使えるかもしれない」という発想も出てきます。広く浅くでもよいので、まず使ってもらうことを大事にしています。

社内データを活かし、まずはJAPAN AIに聞けばよい状態へ

―――JAPAN AI:今後、JAPAN AIをどのように活用していきたいですか。

―――坂氏:近いうちに、オンプレミスの文書管理システムに入っているデータをSharePoint上に移し、社内データを参照できる形で活用したいと考えています。

具体的には、手順書や規程類を読み込ませるだけでなく、どのファイルがどこにあるかを検索する目的でも使えるようにしたいです。必要な情報を探す手間を減らすとともに、過去の製品資料をもとに新しい資料作成の土台を作るなど、社内データを生成面でも活用しやすくしていきたいと考えています。

また、JAPAN AI STUDIO上で使えるマーケティング機能やカスタマーサクセス機能についても、試し始めています。問い合わせと回答をナレッジとして蓄積したり、SEOや記事作成に活用したりするなど、組織としてより包括的な生成AI活用を模索しているところです。

将来的には、社内でわからないことがあったときに、まずJAPAN AIに聞けばよいという状態を作りたいです。手順書や規程、製品資料、見積もりに関するデータなどを参照しながら、社内の問い合わせ窓口のように使えるようになれば、業務は大きく変わると思います。

―――上床氏:社内では、問い合わせ対応に多くの時間がかかっている部分があります。基幹システムや社内ルールに関する問い合わせも多く、そこを生成AIで対応できれば、かなり効果があると思っています。チームとして、同じ方向を向いて進めていきたいと考えています。

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