番組制作・資料作成・キャラクター活用まで 地域情報を届けるアイ・シー・シーの“自社でつくる”AI活用

導入前の課題
- 番組制作や資料作成などで、担当者ごとに品質や進め方のばらつきがあり、業務の属人化が課題になっていた
- 外部制作会社や番組供給会社に依存する場面もあり、コンテンツ制作にかかる時間やコストを抑えつつ、自社ならではの発信を強化する必要があった
- 会議資料や議事録、社内承認願のたたき台作成など、日常業務に時間がかかり、戦略的な業務に十分な時間を割きづらい状況があった
導入後の成果
- 議事録作成では、都度1時間ほどかかっていた作業が約10分に短縮された。会議後の整理や資料化の負担が大きく減っている
- 自社キャラクター「あいちゃん」を活用した間違い探し、短尺動画や4コマ漫画など、地域メディア企業ならではのAIコンテンツ制作が進んでいる
- 少数アカウントでのスモールスタートからはじめ、メディアソリューション部を中心にエージェント活用が広がり、カスタマーサクセスの伴走支援を受けながら、次の活用フェーズへ進んでいる
【企業紹介】
会社名:株式会社アイ・シー・シー
事業内容:ケーブルテレビ放送事業、インターネット事業、電話サービス、無線サービス、番組制作、広告サービス、自治体向けサービスなど
従業員数:64名
利用サービス:JAPAN AI CHAT/JAPAN AI AGENT/JAPAN AI SPEECH
株式会社アイ・シー・シーは、愛知県一宮市を中心にサービスを展開するケーブルテレビ事業者です。テレビ放送やインターネット、電話、無線サービスに加え、自主放送チャンネルでの地域情報発信、番組制作、自治体向けの光回線提供、デジタルサイネージなどの広告サービスも展開しています。
JAPAN AI導入の起点となったのは、メディアソリューション部です。同部には、地域の広告やプロモーション、イベントなどを担うプロモーショングループ、番組制作を行うコンテンツ制作グループ、新規事業や地域データの活用に取り組むソリューション開発グループがあります。
同社では、番組制作や資料作成などにおいて、担当者ごとの進め方や品質のばらつきが課題になっていました。また、外部制作会社や番組供給会社に依存する場面もあり、限られたリソースの中で自社ならではの発信をどう強化するかもテーマになっていました。
こうしたなか、経営層の後押しを受けながら、まずはメディアソリューション部を中心にJAPAN AIの活用を開始。議事録作成や資料作成だけでなく、自社キャラクター「あいちゃん」を活用した間違い探し、短尺動画や4コマ漫画など、地域メディア企業ならではの“自社でつくる”コンテンツ制作にも活用が広がっています。
今回は、伊藤常務とメディアソリューション部 部長の植田氏を中心に、同部の鷲津氏、安藤氏、眞殿氏、虫鹿氏に、JAPAN AI導入の背景から、メディア企業ならではの活用、JAPAN AIカスタマーサクセスによる支援、今後の展望についてお話を伺いました。
属人化や外部依存を減らし、自社でつくれるコンテンツを増やしたい
―――JAPAN AI:JAPAN AI導入前には、どのような課題がありましたか。
―――植田氏:まず課題としてあったのは、業務の属人化です。「この人に聞かないとわからない」「この人だけが知っている」ということがよくありました。また、同じ制作物でも、「この人が作るとこうなるけれど、別の人が作ると違うものになる」という品質のばらつきもありました。
とくにメディアソリューション部では、番組制作や資料作成、プロモーションに関わる制作物など、担当者の経験や感覚に依存しやすい業務があります。そうした業務に対して、AIエージェントで定型の流れを作ることができれば、一定の品質でアウトプットできるのではないか。そこが最初のきっかけでした。
もう1つの大きな課題は、コンテンツ制作にかかる時間とコストです。ケーブルテレビでは、自社で制作する番組もありますが、番組供給会社からコンテンツを購入することもあります。権利処理やタレント費用などが重なると、仕入れコストはどうしても上がります。
一方で、地域メディアとしては、イベントやお祭りなどのコンテンツ配信をはじめ、独自の観測所を活用したお天気情報を毎日お届けしています。これらのさまざまなコンテンツを届ける必要があるなかで、コストを抑えながら、自社でどこまで制作できるのかは大きな課題でした。そこで、AIを使って自社で作れるものを増やせないかと考えました。
番組制作だけでなく、議事録や書類作成、経営資料、社内の現状分析など、限られたリソースの中でどこまでできるかも課題でした。JAPAN AIの使い方やエージェントの組み方のナレッジが増えていけば、半自動化できるものも増えていくと感じていました。
―――JAPAN AI:AIサービスを導入するにあたって、不安やハードルはありましたか。
―――植田氏:AI導入について調べる中で、社内でAIプロジェクトを立ち上げても、うまく浸透しないケースがあるという話を見聞きしていました。特に、経営層が「AIで何かやれ」と言うだけでは、現場がついてこないケースもあると理解していました。
その点、当社では常務の伊藤が「自分もメンバーになる」と言ってくれて、今回のAIプロジェクトについても、「まずやってみよう」という形で役員自ら旗振りをしてくれたので、現場としては非常に進めやすかったです。
不安があったというよりは、どうすれば失敗せずに社内へ広げられるかを考えていました。現場のメンバーに「使いやすい」「楽になった」「早くなった」と実感してもらえるように、少しずつ進めることを意識しています。
―――JAPAN AI:JAPAN AIを選んだ理由を教えてください。
―――植田氏:複数社のサービスを比較し、実際にトライアルも行いました。重視したのは、できることの多さやエージェントを作れる自由度、既存事例の豊富さ、セキュリティ、サポート体制です。
自治体様とも仕事をしているので、セキュリティ面は重要でした。ISMSやPマークなどをきちんとクリアしていることは、必要条件として見ていました。
また、ChatGPT・Gemini・Claudeなど、どのAIが最終的に主流になるかはわかりません。だからこそ、さまざまなAIを使えるプラットフォーム型であることも良いと感じました。
特に強いと感じたのは、エージェント作成のわかりやすさです。チャットでやり取りしながら形にできるので、最初のきっかけとして「こういうことができる」とわかりやすかった。費用面はもちろん検討しましたが、伊藤にも相談し「まずはやってみよう」という形で始めました。

少数アカウントでも、エージェント活用が広がる
―――JAPAN AI:導入後、どのような業務で活用が進んでいますか。
―――植田氏:現在は10アカウントを契約しています。そのうち6アカウントはメディアソリューション部で使い、伊藤もアカウントを持っています。残りのアカウントは、業務を進める中で「AIを使いたい」という声が上がった部門に付与しています。
たとえばカスタマー部門では、新しいサービスのデザインにAIを活用しています。今後は、メディアソリューション部やカスタマー部門だけでなく、技術部門や営業部門などにも広げていく予定です。技術部門では、インターネットサービスや通信に関する障害検知への活用を検討しています。
活用の成果のなかでも、とくにわかりやすいのが議事録作成です。もともと議事録のフォーマットが統一されていない部分もあり、会議に出たあと、音源を聞き返しながら作り直すこともありました。今は、伊藤が作ったたたき台をもとに、私がカスタマイズした議事録エージェントを使っています。
議事録作成は、従来毎回1時間ほどかかっていたものが約10分に短縮されたと見ています。もちろん単純計算ではありますが、会議後に音源を聞き返して作り直す負担が大きく減りました。
―――眞殿氏:議事録については、植田が作ったエージェントを部内で使っています。もともと部内では議事録を取るルールはありましたが、会議中に書記がパソコンを打って作成している状況でした。導入後は、その作業の多くを議事録エージェントで効率化できています。
また、カスタマーセンターの新サービスで使う販促物デザインにもJAPAN AIを活用しています。生活の困りごとに対応するサービスで、販促物を作る必要がありました。デザインを外注するのではなく社内で作りたいという相談があり、デザインの作成から、印刷入稿に必要なトンボや塗り足しまで設定できるエージェントを作りました。
まだ全員で同じエージェントを使うというより、それぞれが自分の担当業務で作りながら試している段階です。作りながら、良いものは共有していく。そうしたトライアンドエラーができていることも、活用が進んでいる理由だと思います。
―――安藤氏:私はこのプロジェクトにアサインされるまで、AIをほとんど使ったことがありませんでした。実際に触ってみると、プロンプトがうまく書けなかったり、出力を手直しする場面もあります。ただ、使っていく中で、AIにできること・できないこと、得意なこと・不得意なことが自分の中で理解できてきた実感はあります。まだ勉強し始めている段階ですが、今後の業務にも活かしていきたいと思っています。
―――JAPAN AI:導入後の活用を進めるうえで、JAPAN AIのサポート体制はいかがでしたか。
―――眞殿氏:私はプロジェクトリーダーの補佐的な役割をしていましたが、JAPAN AIのカスタマーサクセスには非常に助けられました。
定例会で、「次は何をやろう」「このような進め方がよいのでは」といったことを、こちらの意見も聞きながら提案してくれます。短時間のミーティングでも、しっかり道筋が決まっていくのでありがたいです。
より活用していくにあたり、新しいメンバーの追加をどう進めるかも相談しました。状況に合わせて意見を出してくれるので、非常に進めやすいです。
―――植田氏:本当にマメに対応してくれています。短い時間の打ち合わせでも、回数を重ねながら、必要なことがどんどん決まっていきます。ここまでフットワーク軽くやってくれるとは正直思っていませんでした。
AIそのものの機能はもちろん大事ですが、そもそも「AIをどう使えばいいのか」がわからない人の方が多いと思います。だからこそ、伴走支援をしてくれるカスタマーサクセスがいることは、JAPAN AIの大きな強みだと思います。
―――JAPAN AI:限られたアカウント数でも、活用が進んでいる要因はどこにあると思いますか。
―――伊藤氏:簡単にエージェントが作れることは大きいと思います。使っている側が「楽になる」「便利だ」と感じる瞬間が何度もありました。そこが、メンバーが使い続けていることにもつながっていると思います。
AIは、人を完全に置き換えるものではなく、人を補佐してサポートするツールだと考えています。地域の雇用を守るという観点もありますし、人を簡単に減らすという話ではありません。
一方で、これ以上業務を増やすのであれば、AIに補完してもらう必要があります。売上を増やす方向に働く業務や、新しい取り組みに人の時間を使うために、AIで補えるところは補っていく。そういう使い方が重要だと思います。
―――植田氏:やはり、使う側が「便利だな」と思わないと続きません。やらされている感では、多分活用は広がらないと思います。
AIという手段を使って、自分の業務や社内の業務が楽に、便利に、早くなることがポイントです。さらに、そこを支えてくれるカスタマーサクセスの伴走も必要だと思っています。社内でも自由に試せる環境があり、そのうえで困ったときに相談できる支援があるから、活用が回っているのだと思います。
地域メディアならではの発信を、AIでさらに広げていく
―――JAPAN AI:番組制作や地域への発信の領域では、どのようにJAPAN AIを活用していますか。
―――虫鹿氏:自社キャラクターの「あいちゃん」を使って、間違い探しや動画を作っています。
番組の視聴者にはシニア世代の方も多いので、毎日見てもらって、頭のトレーニングになるような短尺コンテンツを作りたいと考えました。そこで、1分ほどの間違い探しや、並んでいる漢字から1つだけ違うものを探すコンテンツ、フラッシュ暗算のように数字が次々に出てくる動画などを作っています。
JAPAN AIの活用で、テーマを決めて元画像を生成する部分は自動化できるようになりました。毎日変わる問題を大量に作れる点がとても役立っています。最近では、天気予報に基づいて少し学びがある4コマ漫画のシナリオを作り、その後に画像を生成するような使い方もしています。
Instagramでも、あいちゃんの露出を増やすために投稿を行っています。毎日投稿して、目にしてもらえるように工夫しています。

アイ・シー・シーのマスコットキャラクター「あいちゃん」
―――植田氏:あいちゃんは、当社のマスコットキャラクターです。以前は着ぐるみで幼稚園に行ったり、園児と共にダンスをしたりして、地域の子どもたちに当社を知ってもらう活動をしていました。コロナ禍を経て、そうした活動の機会は以前より少なくなりましたが、せっかく自社キャラクターがあるなら、もっとPRに活用しようという話になりました。
そのときに課題になったのが、あいちゃんをどのように使ってよいのかというルールです。「これはやっていいのか」「これはだめなのか」が人によって判断されていて、そこでも属人化の問題が再燃しました。そこで、JAPAN AIの力も借りながら、あいちゃんをAIやデザインで活用するためのルールを整理しました。
ルールを決めたことで、あいちゃんを動画で動かしたりできるようになっています。従来はデザイナーに依頼していたような制作物も、社内で作れるものが増えてきました。
―――JAPAN AI:今後は、どのような活用を広げていきたいですか。
―――植田氏:今後は、営業部門やカスタマー部門、技術部門など、それぞれの業務にAIを浸透させていきたいと考えています。
たとえば、営業業務やお客様対応、契約・解約の分析、総務系の社内規程のたたき台作成、技術系の解析調査業務などです。月次資料の作成も、現在は半自動の状態なので、エージェント化してさらに効率化したいと考えています。また、法制度の改正や補助金など、能動的に調べないと得られない情報の収集にも活用したいです。人事制度の刷新や、設備投資と減価償却に関する資料作成、カーシェア運用に関する規程のたたき台作成など、すでに活用している領域もあります。
番組制作や地域向けの発信も、AIを活用することで、自社でできることが増えていくと思います。外部に依頼しないと作れなかったものを、まず社内で試してみる。一定の品質で作れるものは自社で作り、必要なところに人の手をかける。
地域メディアとして、当社だから届けられる情報やコンテンツがあります。その発信を続けるためにも、JAPAN AIを活用しながら、社内でつくれるものを増やしていきたいと考えています。





