広告代理店の経営が見据えるAI活用。クライアントに向き合う時間を、どう生み出したのか

導入前の課題
- 運用型広告のクライアントとは高い頻度で定例会を実施し、データのレポートから、そこで打つ施策までを共有しながら伴走している。その密度の高さゆえに、分析と資料作成に相応の工数がかかっていた
- 各種広告媒体に加えダッシュボードなど、参照するデータソースが分散していた。
- 目の前のクライアントに向き合うことを優先してきた結果、新しいクライアントに向き合うための時間を確保しづらくなっていた
- 一件ごとに丁寧に運用を積み重ねてきた一方で、その実績を会社として整理し、提案時に示せる形にまとめる作業は後回しになっていた
導入後の成果
- 定例資料の作成における分析時間が減少。あるクライアントの案件では、これまで時間のかかっていた作業が30分ほどで完了するようになった
- クライアントから「アウトプットがとても丁寧でわかりやすくなった」と評価を得た。速さだけでなく、伝わり方の面でも変化が出ている
- 生まれた時間を、新規クライアントの開拓と既存クライアントの深耕に再配分。より上流の業務に向き合える状態になり始めた
【企業紹介】
会社名 :株式会社ILLESTPLUS
事業内容:アフィリエイトの運用、運用型広告の運用を基幹事業とするインターネット広告代理業
従業員数:約25名(うちJAPAN AI利用者7名)
利用サービス:JAPAN AI MARKETING
2015年の創業以来、アフィリエイト運用を出発点に、運用型広告の領域へと事業を広げてきたILLESTPLUS。広告を運用するだけで終わらせず、クライアントの事業やKPIを見たうえで、収益をベースに提案し続けることを掲げています。レポーティングから、そこで打つ施策までをクライアントと共有しながら、高い頻度で定例会を重ねる。クリエイティブも提案から制作まで自社内でワンストップで担う。この伴走の密度が、同社の強みです。
一方で、その密度は相応の工数と表裏の関係にありました。分析や入稿、クライアントへの報告という運用ワークが積み上がり、新しいクライアントに向かうための時間を確保しづらい。代表取締役の梶原雅俊様は、一件ごとに向き合うスタイルを維持したまま、その時間をどう生み出すかという課題に向き合っていました。
その手段のひとつとして選んだのがJAPAN AIです。ただし、導入前に業務フローへの当てはめ方を細かく設計したわけではありません。使いながら合わせ、合わなければ相談して調整する。その進め方で、使いどころを少しずつ固めてきました。
今回は、推進の中心となった梶原様と、実務を担当された宮本風実様に、導入初期の試行錯誤から現在の使い方、今後の展望までお話を伺いました。
一件ごとに向き合うから、分析と資料づくりに時間がかかる
―――JAPAN AI:まず、ILLESTPLUSの事業内容と、クライアントとの関わり方を教えてください。
―――梶原氏:ILLESTPLUSは、インターネット広告の代理店です。もともと当社の役員が、ASP(アフィリエイトサービスプロバイダ)の出身で立ち上げた会社ですので、創業当初はアフィリエイトの運用を得意としていました。そこから3期目、4期目あたりで運用型広告も手がけるようになって、いまはアフィリエイトの運用と運用型広告の運用が基幹事業です。創業して11年になります。
大切にしているのは、単純に広告の運用をします、という業務の請負だけではなく、クライアントの事業やKPIといった指標を見させていただいたうえで、収益をベースに提案することです。クライアントと目線を合わせて運用することが、基本中の基本だと思っています。
レポーティングやそこから打つ施策も、クライアントと共有しながら進めていますし、運用型広告のほぼ全クライアントに対し、結構な頻度で定例をやっています。クリエイティブも自社内で提案から制作までワンストップで行っているので、プランニングから制作までを運用広告の中に含めて動いています。
―――JAPAN AI:かなり手厚い体制ですね。裏を返せば、それだけ工数のかかるやり方でもあると思うのですが、時間はどこにかかっていたのでしょうか。
―――梶原氏:おっしゃるとおりで、それだけ工数のかかるやり方をやっている事業者なんです。だからこそ、その工数のかかる部分をどうにかしたいとずっと考えていました。
どこにかかっているかというと、分析やそこからの入稿、クライアントへの報告という一連の運用ワークです。参照するデータも一つではありません。各種広告媒体に加えて、ダッシュボードまで横断して数字を参照し、資料の形にまとめる。それが定例のたびに繰り返されます。
―――JAPAN AI:梶原様が運用広告のセクションを見るようになった当時、現場はどのような状態でしたか。
―――梶原氏:前の責任者からセクションを引き継いだ形ですが、引き継いでみると、メンバーはそれぞれのクライアントに手一杯で向き合っている状態でした。
その状況で売上を伸ばしていこうという話をしても、順番が逆なんですよね。新規のお客様を取るためには、まず手元の工数を空けないと取れない。そこを解消するのが先だろうと思っていました。
―――JAPAN AI:工数のほかに、新しいクライアントを迎えるうえでの課題はありましたか。
―――梶原氏:実績の整理ですね。一件ごとに向き合うことを優先してきた分、これまで運用してきた施策や結果を会社としてまとめる作業が、後回しになっていました。
新しいクライアントに提案をするうえで、数値ないしクリエイティブの実績がないと信じてもらえない。「運用としてのパフォーマンスはどうなのか」と聞かれるケースも結構あるんです。材料は現場にあるのに、すぐ取り出せる形になっていない。そこはちゃんとまとめて、お客様に信頼してもらえる状態を整えたいと思っていました。
―――JAPAN AI:JAPAN AIを知っていただいたきっかけは、弊社からの手紙だったと伺っています。当時、どのように受け止められましたか。
―――梶原氏:ちょうど宮本とAIツールの効率化について話をしていた時期でした。自社で実現できるところと、外部のツールを使うところと、両面からリサーチをしていて。そこにお手紙が来て、これを見た感じだと業務にも使えそうだ、という話になって、じゃあ話を聞いてみようかと。
―――宮本氏:探していたタイミングと、ちょうど重なった感じですね。
―――JAPAN AI:導入を決めるにあたって、重視された点はどこでしたか。
―――梶原氏:一つは、業務フローに乗るかどうかです。以前、定例資料をある程度まで用意できないか、というお題で別のツールを検討したことがあったんですが、そのときは開発のハードルが高くて、実務に乗せるところまで進みませんでした。次に選ぶなら現場がそのまま使えるものを、という基準はありました。
もう一つがセキュリティです。ChatGPTをはじめとする外部のAIツールは、全社に開放しているわけではありません。会社として全員に使ってもらうことを考えると、そこは無視できないところです。その点、JAPAN AIさんのプラットフォームは、セキュリティリスクの面で強い部分が多い。そのときどきで良さそうなAIを個別に使うよりも、JAPAN AIさんのプラットフォームにまとめて使ったほうが、より安心なのかなと思っています。
投げる前に、聞きたいことを整理する。使い方が定まるまでの2〜3か月

―――JAPAN AI:実際に使い始めてから、最初のころはどのような使い方をされていましたか。
―――宮本氏:2、3か月目ぐらいまでは、データを全部、どこまでも入れてみる、という使い方をしていました。何回も質問を重ねて、チャット上でやり取りしながら答えを固めていく感じです。使う量も伸びて、クレジット上限を引き上げていただくやり取りが続いていました。
AIを使うこと自体は進んでいたのですが、何をどう聞けば必要な答えが返ってくるのか、という型が、まだ社内になかったんだと思います。
―――JAPAN AI:その状態から、使い方はどのように定まっていったのでしょうか。
―――宮本氏:わからないところは、JAPAN AIの担当の方に相談していました。定例のデータを作るときに、そもそもどうやって切り出したらいいのか、どういうふうに作ったらいいのか、というところから相談させてもらって。解決がすごく早いんですよ。
―――梶原氏:相談すると、すぐ返答が来ますね。こちらの形に合わせてもらっている感じです。
―――宮本氏:そのうちに、データを全部入れて何回も質問する、というよりは、最初にある程度整理して、聞きたいことを考えてから投げる、というやり方に変わっていきました。うまく使えるようになってきてからは、回答をコントロールできています。チャット上でラリーする回数も、最初の頃と比べると減ったのかなと思います。
―――JAPAN AI:梶原様から見て、現場の使い方はどう変わりましたか。
―――梶原氏:現場でも「ここはもうJAPAN AIを使う」という判断が、ある程度ついてきたように思います。「これを出して聞けばいい」という形が見えてきたので、そこから先に進められるようになってきました。JAPAN AIを使うべきところと、人間がやったほうがいいところの区分けが、だいぶ定まってきたのだと思います。
その前提として、あくまでAIは分析をとても真摯にやってくれるもので、そこからどう動かしていくかは、完全に人間の意図に合わせて決めるものだと思っています。施策を検討する場面で使うことはありますが、すべてをJAPAN AIに頼っているわけではありません。今までの経験もありますし、参考にはもちろんなっていますが、最終的な形は自分たちで決めています。
―――JAPAN AI:使い方が定まってから、業務のスピードはどう変わりましたか。
―――梶原氏:定例資料に関する部分では、分析の時間は、確実に減っているとは思います。あるクライアントの案件だと、以前は時間のかかっていた作業が、30分でさらっと終わるようになりました。
分析した内容を、お客様に向けた提案に落とし込む作業も、早くなったところが多々あります。
―――JAPAN AI:クライアントから、何か反応はありましたか。
―――梶原氏:「早くなったね」ではなくて、「アウトプットがとても丁寧でわかりやすくなりましたね」と言われました。JAPAN AIを使いながら作成した資料だったのですが、それをお客様にお褒めいただいたと、運用担当者から聞きました。
工数が減ったかどうかは、お客様からは見えないですからね。受け取っていただいた資料のクオリティで伝わった形です。
―――JAPAN AI:分析に充てていた時間が空いた分は、どこに使われていますか。
―――梶原氏:新規、ないし既存のお客様との関係を深めていく、そういう時間に充てられています。作業の部分が消えたことによって、より本質的なところの業務に時間を割けているイメージですかね。

クライアントの収益拡大に、どれだけ時間を使えるか
―――JAPAN AI:JAPAN AIの使い方は、社内にどのように広がっていったのでしょうか。
―――梶原氏:現場で先に使い方を見つけたメンバーが、周りに共有していく流れがありました。資料をどう見せればわかりやすく伝わるか、という観点で工夫して、「こういうふうに見せたらわかりやすいよ」と、ほかのメンバーに周知してくれて。
―――宮本氏:逆に、梶原さんのほうから「これはいいぞ」と共有されることもありました。こういうふうに伝えるといい、という見せ方を示してもらう形ですね。
―――JAPAN AI:今後、JAPAN AIをどのような業務に広げていきたいとお考えですか。
―――梶原氏:一つは、データソースの連携です。要因の分析をするときに、週次のCV数やCPAだけではなくて、オークションのインプレッションシェアの週次の推移などと連動して見られると、動きが非常にわかりやすくなる。必要なデータを揃えるまでの手間がまだ残っているので、そこは改善していきたいと思っています。
もう一つが、ナレッジの蓄積です。案件ごとに、使っているツールやアプリの情報を入れていく。運用で実際にやったことも、あわせて溜めていく。そうやって、社内のナレッジと運用の結果がJAPAN AIの中に集まっていけば、それ自体が会社の実績になります。先ほどお話しした、実績をまとめきれていないという課題も、ここで解消できるはずです。お客様に信じてもらえる提案をするために、そこは整えたいところですし、そういう意味では、JAPAN AIはまだ使えるところがたくさんあると思っています。
―――宮本氏:私のほうでも、社内の業務フローを見ていて「それってJAPAN AIでできるんじゃない?」と思ったものを、JAPAN AIさんと一緒に少しずつ試している感じです。
―――JAPAN AI:AI活用が進んだ先に、会社としてどうなっていきたいですか。
―――梶原氏:お客様の分析だったり、細かいデータの抽出だったりの改善サイクルを回していくことが、最終的にはお客様の収益拡大につながると思っています。実際、まだやれるところはいっぱいあります。そこをきちんとやりきって、お客様への成果で応えていける状況を作っていかないといけないな、と思っています。
―――JAPAN AI:最後に、これからAI活用に取り組む同業の方へメッセージをお願いします。
―――梶原氏:最初に運用をガチガチに固めないことですかね。正直、私たちも導入前にそこまで細かく設計していたわけではありません。当てはめる先として決めていたのは、分析ひとつだけです。
自分たちが使いたいように使ってみて、乗らなかったら相談させていただいて、その中でまた調整ないしアレンジしていく。ガチガチに固めると、そこから動けなくなっちゃうので。まず一つ決めて使ってみる、というところからでいいんじゃないかなと思います。





