AIを“一部業務のツール”ではなく、全社インフラに。ミラタップが進めるJAPAN AIの全社活用

導入前の課題
- 建築業界にはアナログな商習慣も残っており、社内でも手作業や属人的な業務が多く、業務の品質や所要時間にばらつきがあった
- 生成AIを全社で活用するにあたり、安全に使える環境や運用ルール、社内浸透の仕組みを並行して整える必要があった
- 複数のAIモデルやツールが次々に登場するなか、自社に合うサービスを選定し、費用対効果を見極めることが難しかった
導入後の成果
- 全社員が使えるAI基盤としてJAPAN AIを導入し、部署を問わずAIに触れられる環境を整備。社内で約150件の活用事例が集まり始めた
- エージェントビルダーにより、専門知識がなくても業務に合わせたエージェントを作成しやすくなり、営業、商品開発、ショールームなど現場起点の活用が広がっている
- JAPAN AI SPEECHを活用し、会議や商談、ショールーム接客のログを残しやすくなった。これまで記憶やメモに頼っていた情報を、活用可能なデータとして蓄積されている
【企業紹介】
- 会社名:株式会社ミラタップ
- 事業内容:住宅設備・建築資材の企画、開発、販売
- 従業員数:約300名
- 利用サービス:JAPAN AI AGENT/JAPAN AI CHAT/JAPAN AI SPEECH

株式会社ミラタップは、キッチンや洗面台をはじめとする住宅設備、建築資材などのECを中心に提供する企業です。自社オリジナル製品や国内外からの仕入品を展開し、独自の商品開発力とデザイン性を強みに、個人のお客様から法人のお客様まで幅広い顧客接点を持っています。
同社の大きな特徴は、住宅設備・建築資材を「ワンプライス」で提供するビジネスモデルです。従来、建築業界ではメーカーや商社、工務店など複数の流通を経て商品が届けられることが多く、価格がわかりにくい商習慣がありました。ミラタップは、誰でも同じ価格で購入できる仕組みをECで実現し、ユーザーフレンドリーな購買体験を提供してきました。
一方で、建築業界には今も手書きやFAXなどアナログなやり取りが残る場面があります。ECを中心に成長してきたミラタップにおいても、事業拡大の過程で手作業で対応している業務や、担当者の経験に依存している業務が一部残っていました。事業拡大に伴い、旧来の非効率な業務プロセスを、どのように標準化し、生産性を高めていくかが課題となっていました。
そうしたなか、同社では今年度を「AI元年」と位置づけ、全社でAIを活用できる基盤づくりに着手します。特定業務だけを効率化する個別ツールではなく、これからの仕事に必要なインフラとしてAIを導入する。その考えのもと、セキュリティや操作性、複数モデルの利用、導入スピード、費用面などを比較し、JAPAN AIを選定しました。
今回は、AI推進プロジェクトのリーダーを務める拠点事業部 拠点支援課の尾関さん、商品事業部 企画開発グループの木元さんに、JAPAN AI導入の背景から、全社展開の進め方、エージェントビルダーやSPEECHを活用した現場での変化についてお話を伺いました。
ミラタップのAI元年。全社で使う”AIインフラ”をどう選ぶか
―――JAPAN AI:まず、御社の事業内容と、AI導入前の課題について教えてください。
―――尾関氏:ミラタップは、キッチンや洗面台などの住宅設備、建材と呼ばれる商品をインターネットで販売している会社です。お客様は個人の方も法人の方もいます。ビジネスモデルとして特徴的なのは、「ワンプライス」で商品を提供していることです。建築業界では、メーカー、商社、工務店などを経てエンドユーザーに商品が届くことが多く、価格がわかりにくい商習慣があります。そこに対して、どなたでも同じ価格で建築資材を購入できる仕組みを作ってきたことが、当社の特徴です。
ECを中心に事業を行っていますが、属している建築業界には歴史があり、今もアナログなやり取りが残っています。お客様にとって使いやすい形にしながら、当社側でも手書きの依頼書をはじめとして非定型なものをどう定型化していくかは、以前から課題でした。
社内にも、手作業で対応している業務は多く残っていました。会社の成長に合わせて業務が広がる中で、担当者の経験に依存している部分もあり、引き継ぎをしても把握している業務だけではわからないことがあります。担当者が変わったあとに、「これはどこを見て、どう対応すればよいのか」がわからなくなるケースもありました。
AIには、この状況を変えられる可能性を感じていました。社内のさまざまな場所にある情報を、人が探し回らなくてもAIが回答できるようになれば、大きな変化になる。もちろん、AIを入れるだけですべてが解決するとは考えていませんでしたが、データを構造的に持っておけば、導入後に必要な情報を簡単に取り出せるのではないかという期待がありました。
―――JAPAN AI:今回のAI導入は、どのような位置づけで始まったのでしょうか。
―――尾関氏:会社として「今年がAI元年」である、というスローガンが出され、AIを活用できる会社に変えていくことが、プロジェクトのミッションになりました。
もともとは管理部を中心に動いていましたが、全社横断で進めた方がよいということで、今のAI推進プロジェクトチームの体制になっています。私と木元さんはプロジェクトリーダーとして、JAPAN AIのようなサービスを導入したり、導入後に各部署へどう使ってもらうかを考えたり、推進・発信したりする役割を担っています。
今回の導入は、「この業務を解決するためにAIが欲しい」というより、これからAIが仕事のベースになるだろうという考え方が強かったです。
―――JAPAN AI:JAPAN AIを選定した理由を教えてください。
―――尾関氏:比較検討では、セキュリティ、権限設定、回答や生成物の品質、ツール連携、現場が迷わず使える操作性、自社に合わせて活用を広げられる柔軟性、クレジット消費を含めた費用対効果などを見ていました。
JAPAN AIについては、入力情報が再学習に使われない契約で利用できることを確認できました。むしろ、社内で各自がなんとなく外部のAIツールを使い、シャドーIT化してしまうことの方が不安でした。全社として安全に使える環境を用意できることは、大きかったです。
当時はMicrosoft 365への移行も並行して進んでいたため、Copilotの環境を構築した方がよいのではないかという考えもありました。ただ、全社インフラとして使うとなると投資規模が大きくなります。費用面に加えて、構築に時間がかかることもありました。その点、JAPAN AIはクラウドサービスとしてすぐに使える。スピード感を持って進めたいという経営層の意向もあったので、導入スピードは決め手の一つだったと思います。
―――木元氏:ソリューションとして「何かのAIが欲しい」というより、これはベースのインフラになっていく、という観点で全社的に入れています。インターネットが当たり前になったのと同じように、これから先はAIを使わないと仕事にならないだろう。そういう考え方が、このプロジェクト全体にありました。一方で、LLMは数か月単位で主要なモデルが入れ替わるほど進化が速い分野です。最初からどれか一つに固定するより、いろいろなモデルを使えることも重要でした。JAPAN AIは汎用的なプラットフォームとして使いやすく、複数の最新モデルを利用できる点も大きかったです。

全社で使うから、思いがけない活用者と事例が見えてくる
―――JAPAN AI:全社に導入したことで、どのような良さを感じていますか。
―――尾関氏:誰がどう使うかは、実際に使ってみてもらわないとわからないところがあります。各部署には、それぞれの課題があります。最初から対象を絞りすぎると、使える人や活用の芽を見逃してしまう可能性があります。
全社に利用対象を広げたことで、「隠れヘビーユーザー」のような人が見えてきたのは良かった部分だと思います。これまでは、マネージャーが「この人は得意そうだ」と推薦する人しか表に出てこなかったかもしれません。でも、利用量や活用事例を見ると、思いがけない部署や人が使っていることがわかる。利用対象を限定せずに導入したからこそ、潜在的なニーズを掘り起こせたのだと思います。
―――木元氏:ワンプラットフォームで入れたメリットもあります。各部署が個別にChatGPTやClaude、Geminiなどを契約すると、UIも使い方もバラバラになります。そうなると、「この使い方が便利だったよ」というノウハウを共有づらいです。
JAPAN AIであれば、誰かがうまくいった事例を他の部署でも真似しやすいと感じています。全社で同じ環境を持っていることは、活用を広げるうえで大きかったと思います。
AI推進プロジェクトチームでは、うまくいった活用事例を社内で集める仕組みも作っています。事例を共有してくれた人には社内的にインセンティブを出し、集まった事例の中から特に良いものは社内向けにインタビューして公開しています。半期で募集を締めたときには、プロンプトやエージェント、スキルなどを含めて約150件の事例が集まりました。
―――JAPAN AI:現場では、どのような業務でJAPAN AIを活用していますか。
―――尾関氏:まずわかりやすいところでは、議事録作成や資料の要約です。文章をまとめる作業にかかる時間は、全社的に減ったと思います。提案資料や報告書の作成でも、これまで口頭で説明していた内容や簡単なメモにとどまっていた内容を、短時間で資料として形にしやすくなっています。
営業部門では、商談のサマリーや企業調査、提案資料作成などに使っています。kintone上に商談ログのようなものを残しているのですが、それを月次で引っ張ってきて、担当者ごとにレポート化するような使い方もしています。また、新しく入った社員が商品情報を学ぶために、会社の商品知識と対話できるようなエージェントを作る例も出てきています。
―――木元氏:商品開発の領域では、画像生成やリサーチ、BIツールの数字の解釈などに使っています。当社には売上を分析するBIツールがありますが、数字をグラフにすることはできても、その数字をどう読むかには分析の専門知識が必要です。そこにAIを介在させることで、まず汎用的な解釈を出せるのは使いやすいところです。
また、商品開発では3D画像やCGを使う場面があります。社外向けのカタログなどにそのまま使うには、まだ精度の面で難しい部分がありますが、社内向けや開発段階のイメージ確認であれば、AI生成で十分使える場面があります。以前は1枚のレンダリングに3時間ほどかかっていたものが、簡単なものであれば30分、通常でも1時間程度で作れるようになっています。単純に3分の1程度には短縮できている感覚です。
―――JAPAN AI:エージェントビルダーやSPEECHは、どのように使われていますか。
―――尾関氏:エージェントの作り方として最初に説明したのが、エージェントビルダーを使う方法でした。普通のチャットと同じように、やりたいことを自然言語で書くと、エージェントビルダーがプロトタイプを生成してくれます。もちろん、精度や性能を高めるにはある程度の知識は必要です。ただ、エンジニアでなくても「まず作ってみよう」と思える入り口としては、非常に良いツールだと思います。
また、ショールームの接客ログをまとめるエージェントも作っています。接客時に録音した音声をJAPAN AI SPEECHに入れ、お客様がどのような検討をしていたのか、他社の名前が出ていればどのような比較があったのかなど、あとから振り返ったときに役立つ形にまとめています。
ショールームでは、接客時にスタッフがiPadを持って案内しています。そのiPadにアプリを設定し、SPEECHを使って録音する形に切り替えています。もちろん、お客様には事前に録音の同意を確認しています。現在はまだトライアル中ですが、100〜120件ほどテストしているなかで、お客様に断られるケースはほとんどなく、許諾率は95%ほどです。一方で、現場側には「録音してよいですか」とお客様に聞く心理的ハードルがあります。そこは慣れも必要です。
ただ、録音が取れていること自体については、少しずつ前向きに捉えてもらえるようになってきています。今は、サマリーの精度に対して「もう少しこういう形でまとめたい」「こういう情報が見えるようにしたい」といった要望が出てきている段階です。
―――木元氏:定量的な工数削減だけでなく、今まで時間がかかるからやっていなかったことが、できるようになることも大きいかもしれません。細かい会議や接客の内容は、これまでメモ程度で終わっていたり、誰かの記憶の中にしか残っていなかったりしました。それが、同じ手間である程度のログとして残せるようになる。すべての情報が何かに残っている状態になることは、大きな変化だと思います。
AI活用を仕組み化し、同じ人数で成長を続けられる組織へ
―――JAPAN AI:今後、JAPAN AIをどのように活用していきたいですか。
―――木元氏:当社はここ数年、本業が伸び続けています。これまでは、事業が大きくなると人を採用し、同じ効率で規模を大きくしてきました。AIを入れることで、同じ人数で同じ成長を続けられれば、今度は売上の拡大だけではなく、利益の改善につながります。生産性を上げ、今の人数でより大きな成果を出していくことが、大きな目標です。
―――尾関氏:そのために、社内のAI活用スキルをレベル化し、目標設定にも組み込むような文化づくりを進めています。その基盤になっているのが、JAPAN AIというインフラだと思います。
今後は、個々人の使い方だけでなく、全社で統一して使う公式テンプレートや公式エージェントのようなものも整えていきたいです。習熟度が高い利用者と一緒に、まだ抵抗感がある人や使い慣れていない層にも届く使い方を開発し、展開していければ、さらに活用が進むと考えています。
―――JAPAN AI:全社でAI活用を広げていくうえで、重要だと感じていることを教えてください。
―――木元氏:AIは、本当に使う人はどんどん使います。ただ、その人の中だけで完結してしまうと、せっかくの活用方法が社内に広がりません。そこで当社では、うまくいった事例を拾い上げて展開する仕組みを作りました。事例を共有してくれた人にはインセンティブを出し、その中から特に良いものは社内向けにインタビューして公開しています。
これからAIを導入する会社も、ツールを入れるだけではなく、活用事例やノウハウを社内に広げる仕組みを最初から設計しておくことが大事だと思います。プラットフォームだけでは完結しないので、無形の知識を共有する仕組みとセットで運用することが重要です。
また、新しいものは、ある程度強く進めないと始まらないとも感じています。誰かが「やる」と決めない限り、今のままでも業務は進みます。一方で、人件費が上がる中で利益率を維持するには、生産性を高める必要があります。だからこそ、まずは使える環境を用意することが大事です。環境とモチベーションがあれば、想定していなかった人が使い始めることもあります。
―――尾関氏:当社は、ピンポイントの業務課題を解決するためにAIを入れたというより、AIを使っていくためのベースを作るために導入しました。そのため、AI推進プロジェクトチームが全社の推進の起点となり、制度設計や展開方法を議論しながら進めています。
JAPAN AIの良さは、セキュアな環境で、AIになじみのない社員でも使いやすいことだと思っています。全社としてAIを入れたい、でも何から始めればよいかわからない。そういう会社にとっては、始めやすい選択肢になるのではないかと思います。
また、利用者からの質問や不具合は、情報システム側の通常の問い合わせフローでも受けています。AIだから特別扱いするのではなく、社内インフラの一つとして通常の運用に組み込んでいくことも、全社活用を続けるうえでは大切だと感じています。




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