「何に使えるかわからない」から、開発現場で“使える”へ。愛媛の“町の情シス” 株式会社ウインが進めるJAPAN AI活用の第一歩

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「AIに取り組まなければ」でも、何から始めるべきかわからなかった
「これ、AIでできるかも」。開発現場から広がる活用の感度
7割をAIが作り、人が仕上げる。開発期間短縮と新しい提案の可能性

導入前の課題

  • 生成AIに取り組む必要性は感じていたものの、自社業務のどこから活用すればよいのか、具体的な進め方が見えていなかった
  • 個人利用のChatGPTやCopilotでは、社内情報やコードを扱いにくく、会社として安全に活用できる環境を整える必要があった
  • 開発コード生成やテスト仕様書作成、議事録作成など、時間を要する業務がありながら、どこまでAIに任せられるのか判断しづらかった

導入後の成果

  • お客様への提案をきっかけにJAPAN AIに触れたことで、「AIで何ができるか」を自社業務に引き寄せて考える土台が生まれた
  • JAPAN AI SPEECHの活用により、半日の打ち合わせの議事録作成が従来の2〜3日から1日程度に短縮され、日常業務で効果が見え始めた
  • カスタムエージェントやスキルを活用し、自社フォーマットに沿ったコード生成やテスト仕様書作成に着手。1日かかっていた作業の初稿を短時間で作れるなど、開発工程の効率化に手応えが生まれている

【企業紹介】

愛媛県松山市に本社を置く株式会社ウインは、地域の官公庁や地元企業のシステム開発を中心に、幅広いITサービスを提供する情報サービス企業です。パッケージソフトではまかないきれない、お客様独自の運用に合わせたオリジナルシステムの企画・開発・運用を強みに、広島・大阪・香川にも拠点を展開。ハードウェアやパッケージソフト、人材派遣、施設運営なども含め、ITに関する困りごとを幅広く支援しています。

同社を象徴する言葉が「町の情シス(情報システム)」です。システムを作って終わりではなく、業種・業態を問わず、お客様の課題を聞き、必要な手段を考え、ITの相談役として伴走する姿勢が、地域に根ざしたウインの強みとなっています。

同社では以前から「生成AIについても取り組まなければならない」という意識がありました。一方で、どの業務にどう活用すればよいのか、どれほどの成果が見込めるのかは見えづらく、本格的な導入には踏み切れていませんでした。

転機となったのは、お客様から寄せられた「AIを入れたいが、何かよいものはないか」という相談でした。提案候補としてJAPAN AIを知り、代理店契約をきっかけに触れていくなかで、「これは自社でも使えるのではないか」という発想が生まれます。

今回は、システム開発部 部長の石山公也さんと、システム開発部 第1システム課の川崎友哉さんに、JAPAN AIとの出会いから、社内で活用が広がり始めた背景、開発現場で見え始めた変化についてお話を伺いました。

▶︎導入前の課題

「AIに取り組まなければ」でも、何から始めるべきかわからなかった

―――JAPAN AI:まず、御社の事業内容と、生成AIに対する導入前の状況について教えてください。

―――石山氏:当社がメインで行っているのは、システム開発です。特徴としては、パッケージソフトではまかないきれない、お客様独自の運用に合ったオリジナルシステムを作ることを強みにしています。

ただ、システム開発だけを行っているわけではありません。ハードウェアも取り扱いますし、一般的なパッケージソフトも扱っています。どちらかというと、ITの相談役というか、「町の情シス」のような存在ですね。IT絡みで困りごとがあれば、何でも相談していただく。業種・業態も問わず、さまざまなお客様のシステムを担当しています。
愛媛のお客様が中心ではありますが、紹介を通じて県外のお客様を支援することもあります。地域に根ざしながらも、業界やエリアを限定せず、お客様の困りごとに合わせて対応してきた会社です。

昨今、生成AIについては、取り組まなければならないという意識はありました。世の中でこれだけ話題になっているので、何かしないといけないだろうと。ただ、何をしたらよいのかがわからない状態でした。個人でChatGPTを少し使ったことがある、Copilotを使っている、といった社員はいました。ただ、会社として本格的に導入し、業務にどう活用するかまでは、まだ見えていませんでした。経営層から見ると、AIは「何でもできるもの」のように見えやすい面があります。

でも現場としては、何ができて何ができないのか、どこまで成果を出せるのかがわからない。導入には相応の成果が求められますが、その成果を約束できないなかでは、なかなか踏み切りにくいところがありました。

―――JAPAN AI:JAPAN AIを知ったきっかけは、一般的な導入検討とは少し違っていたそうですね。

―――石山氏:そうですね。もともとは、当社が自社導入を検討してJAPAN AIに出会ったわけではありません。あるお客様から「AIを入れたいが、何かよいものはないか」と相談を受けたことがきっかけでした。

そのお客様を担当していたSEと営業が、どのようなサービスがあるのかを調べる中でJAPAN AIを見つけました。結果的に、そのお客様への導入までは至らなかったのですが、内容を聞く限り「これは良さそうなツールだね」と社内で話題になりました。最初は代理店(アライアンス)契約として関わった形ですが、そこから「自社でも使ってみてもよいのではないか」という流れになりました。

当時、AIについて情報収集はしていました。愛媛大学に客員研究員として社員を派遣し、AIの仕組みやLLMとは何かといった知識も学んでいました。その中でJAPAN AIを見たときに、複数のLLMを一つに絞らず使えることが大きな魅力でした。用途に合わせてモデルを選べることに、社内のメンバーも「これは違う」「LLMを選べるのはすごい」と反応していました。

一つのLLMだけを個別に契約して使うという選択肢は、JAPAN AIを知ってからはほとんどありませんでした。複数のLLMを自社で個別契約して管理するのは、手間もコストもかかります。その点、JAPAN AIであれば、一つの環境の中で複数のモデルを使い分けられます。

他サービスの比較検討段階では、開発に特化したAIサービスを紹介されたこともありました。そのサービスはGitHubと連携できるなど、開発向けの機能は魅力的ではありましたが、JAPAN AIの場合はコードだけでなく、議事録や文書作成、社内業務にも使える。特定の領域に閉じず、いろいろな業務に使えることの方が、当社にとっては大きかったですね。

もう一つ大きかったのは、セキュリティです。地方の企業は、東京の企業と比べても、機密情報をネットに上げることへの抵抗感が強い面があります。今まで機密情報として扱っていたものを外部にアップロードするという感覚自体に不安がある。普通のAIに学習させるのは、なおさら抵抗があります。

もちろん、いまもすべての情報を上げているわけではありません。現時点では、社内で管理しているプログラムコードや請求書などを中心に扱っており、個人情報までは上げていません。ただ、社内情報やコードなどを扱ううえで、安心して使える環境かどうかは重要でした。その点をクリアできたことが、JAPAN AIを導入した理由のひとつでもあります。

▶︎導入後の変化

「これ、AIでできるかも」。開発現場から広がる活用の感度

―――JAPAN AI:現在は、どのような体制でJAPAN AIを活用していますか。また、実際にどのような業務で使い始めているのでしょうか。

―――石山氏:現在は21アカウントで利用しています。最初から全社員に配布するというより、各部署で「この人なら使うだろう」というメンバーにアカウントを持たせています。営業や総務にも1アカウントずつ持たせていますが、特に活用が進んでいるのはシステム開発部です。

システム開発部の中でも、第1システム課で複数名が利用しており、川崎がかなり積極的に触っています。まずは効果的に使えそうな人が使い、そこで見えた活用法を広げていく段階です。

営業では提案資料の作成などに使いたい意向はあると思いますが、まだ十分には活用できていません。総務でも日々の入力業務や定型業務の自動化など、使える場面はあるはずですが、システム開発部ほどAIの知識があるわけではないため、「JAPAN AIでこうしたらできるのではないか」というところまで、まだたどり着いていない部分もあると思います。

―――川崎氏:定型的に入札情報を調べるような業務で使っている部署もあります。また、月次で出てくるレポートをまとめて、先月との差分をわかりやすい形でお客様に提示するような使い方も試し始めていると聞いています。

システム開発部では、開発コードの生成やテスト仕様書の作成に取り組んでいます。ただ、開発コードの生成で難しいのは、当社には自社の基盤やフォーマット、コードの書き方のルールがあることです。一般的なコードをそのまま出してもらっても、それを当てはめるだけでは使えません。お客様の要望に合わせながら、自社のルールも守る必要があります。

そこで、JAPAN AIに自社のフォーマットやルールを覚えさせながら、コード生成に使えるように調整しています。最近はスキルなどの機能も追加され、少しずつ形になってきました。新しい機能が出るたびに、「今悩んでいるところに使えるのではないか」と試しながら、プロンプトやコンテキストを更新しています。

テスト仕様書も同じです。これまでは、設計書やプログラムを見ながら、人が日本語でテスト項目を一つずつ作成していました。私自身、テストを作るのがあまり得意ではなかったので、そこをAIで補えないかと取り組んでいます。
最初の頃は、Excel出力時のフォーマット再現が難しく、思った通りには出ませんでした。ただ、最近はスキルを使うことで、当社のフォーマットに沿って、設計書やコードを見ながら単体テストの項目を作るところが見え始めています。

開発コードの生成については、まだ「完全に削減できた」と言える段階ではありません。ただ、1日や2日かけて作っていたプログラムが、将来的に数時間になる可能性は見えてきています。テスト仕様書については、もともと1日かけて作っていたものの第一案が、10分ほどで出てくるケースがあります。もちろん、その後の修正や確認は必要ですが、全体としては1日かかっていた作業が半日から3時間程度に短くなる手応えがあります。

―――石山氏:今はまだ、理想のレベルに完全にたどり着いたわけではありません。ただ、今まで100のうち全部を人が作成していた作業が、AIが7〜8割の土台を作成し、残りを人が確認・修正する形にできます。必ず人のチェックは必要ですが、その状態まで持っていければ、開発工数は大きく変わるはずです。

さらに将来的には、あるLLMで出したコードを別のLLMにレビューさせ、人のチェックを極力少なくすることも考えられます。JAPAN AIは複数のLLMを使えるため、そうした可能性もあります。

―――JAPAN AI:開発以外の業務では、どのような効果が出ていますか。

―――石山氏:今、比較的効果が見えているのは議事録作成です。かなり頻繁に使っていて、もはやAIなしでの業務は考えられないほどです。

たとえば半日の打ち合わせがあると、以前は録音を聞き直しながら人が文字起こしをしていました。半日の会議なら、まず聞き直すだけで半日かかります。そこから内容を整理し、確認するため、議事録が仕上がるまで2〜3日かかることもありました。

今は音声をJAPAN AIに入れると、文字起こしされ、まとまった状態で出てきます。気になるところだけ音声を確認すればよいので、2〜3日要していた作業が、1日程度で完了するようになりました。まだ全社で同じように使えているわけではありませんが、議事録作成のように「これだけ時間が短くなった」「これなら楽になる」という実績が出てくれば、ほかの部署にも広がっていくと思います。

―――川崎氏:エージェント機能も、活用の入り口として大きいと感じています。私はもともと興味を持って触っていたので、プロンプトもある程度自分で作れますが、触っていない人にとっては最初のハードルが高いと思います。
その点、「こういうことをしたい」と自然言語で入力するとエージェント化してくれる機能があると、「それなら使えそう」と感じる人が増えます。

実際に作ってみて、それらしいものが出てくると、少しずつ触ってみようというきっかけになります。今は、エージェントのプロンプト作成を支援してくれる公式エージェントがあり、「こういうことをしたい」と相談しながら、どのように作ればよいかを考えられるので、とっかかりが作りやすいですね。

私が作成したエージェントとしては、単体テストを作るエージェントや、各種コードを生成するエージェント、自社コードのフォーマットやルールをスキル化して、それに基づいて回答するエージェントなどがあります。もう少し形になったら、ほかのメンバーにも展開していきたいと考えています。

JAPAN AIを使い始めて変わったのは、「これ、ずっとやっているな」「面倒くさいな」と思ったときに、「AIにやってもらえないかな」と考えるようになったことです。

AIでできるという発想が頭に浮かばないと、そもそも触ろうとしません。まず「これをAIで代替できるかもしれない」と考えられるようになったことが、導入による大きな変化だと思います。

以前は、定型作業を楽にするために、自分で小さなシステムを作ることもありました。ただ、それを作るにも時間がかかります。今はちょっとしたものなら、AIに作ってもらう方が早い。AI自体に「こんなことはできるのか」と聞けるようになったことも大きいですね。

テンプレートを入力するだけでXAMLファイルを生成するエージェント

▶︎今後の展望

7割をAIが作り、人が仕上げる。開発期間短縮と新しい提案の可能性

―――JAPAN AI:今後、社内活用やお客様への提案という面で、どのような可能性を感じていますか。

―――石山氏:まずは、システム開発の工程でどこまで使えるかを検証していきたいです。現在は新しく始まった開発案件で、コード生成やテスト仕様書作成をどこまで任せられるか試そうとしています。

先ほども述べたとおり、開発作業のうちAIが7〜8割の土台を作成し、人が残りを確認・修正する形になれば、開発工数は大きく減るはずです。今まで1年かけていた開発が、社内的には半年で終わるようになる可能性もあります。すぐにお客様へ「半年でできます」と言えるわけではありません。ただ、確実にできるようになれば、開発期間や価格競争力にも影響してくると思います。残業を減らすというより、開発工数や開発期間そのものが短くなるイメージです。

全社展開という意味では、まだこれからです。今は使っている部署の中で効果が見え始めているところです。ある程度、各自が自信を持って「これはいい」と言える状態になれば、共有会のような形で他部署へ広げることもできると思います。

お客様への提案という面でも、最近は「AIを使ってこんなことはできないか」という相談が増えています。ChatGPTにプロンプトを入れて回答を得るところまでは知っているお客様も多いのですが、画像認識やデータの分類、CSV化など、手作業で行っている業務をAIで自動化できる可能性までは、まだ十分に知られていません。

今までのシステム開発では、「そこは人の判断が必要なので難しいですね」と答えていた部分でも、AIを組み合わせれば、100%ではなくても7割程度まで自動化できる可能性があります。それが、AI活用によって大きく変化した点です。

―――JAPAN AI:最後に、これからAI導入を検討する企業へ伝えたいことはありますか。

―――川崎氏:まずはAIに興味を持つことだと思います。興味を持たないと使いませんし、使わないと何ができるかもわかりません。

JAPAN AIの強みは、複数のLLMを使えることと、セキュリティ面で安心して使いやすいことです。コードならこのモデル、画像ならこのモデルというように、用途によって向き不向きがあります。ただ、そこも実際に触ってみないとわかりません。

最初は「AIを使おう」という発想自体が浮かばないと思います。だからこそ、一度入れてみて、サポートを受けながら「あ、こんなことに使えるんだ」という体験を一つ作ることが大事です。一つ見つけると、「ここにも使えないか」「これもやってみたい」と次の発想が出てきます。その一歩を踏み出すことが、一番重要だと思います。

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