書類選考 × AIが生んだ現場との共通基準 ~トヨタテクニカルディベロップメントが実践するAI採用~

導入前の課題
- 年間800件の応募書類を1人で確認の中で書類選考の品質が安定しない
- 現場が重視する選考ポイントのすり合わせが十分にできていなかった
- 職種数も多く、都度要件を確認しながら進めるため、確認時間が増えていた
- 面接中の議事録作成に手が取られていた
導入後の成果
- AIによる書類選考の一次評価により、確認工数が大幅に削減
- 評価基準の設定を通じて現場との会話・共通基準化を実現
- 面接の議事録作成を自動化
【企業紹介】
- 会社社名:トヨタテクニカルディベロップメント株式会社
- 設立:2006年04月1日
- 従業員数:1,064名(2026年4月1日現在)
- 事業概要:IP(知的財産)事業、計測シミュレーション事業
- ホームページ:https://www.toyota-td.jp/
トヨタ自動車の子会社として、計測シミュレーション事業と知的財産事業の2事業を展開するトヨタテクニカルディベロップメント株式会社。1人の採用担当が2事業・年間約30名のキャリア採用を担うなか、書類選考の属人化と業務工数の逼迫が課題でした。同社は人事・採用業務特化型AIツール「JAPAN AI HR」を導入し、書類選考の効率化から面接議事録の自動化まで実装。工数削減と現場との共通基準づくりを実現しました。今回は、経営本部 コーポレート管理部 人事室 人財開発グループの朝倉さんと二村さんに、1人で年間800件の書類選考を担うなかで直面した課題と、その解決に向けたAI導入の経緯から、現場との連携強化にまでつながった活用の実態を伺いました。
1人で担う、異なる2事業 & 年間30名のキャリア採用
“量”と”精度”を同時に求められる採用現場
―――JAPAN AI:事業内容を含め、自己紹介をお願いいたします。
――朝倉氏
トヨタテクニカルディベロップメント株式会社は、トヨタ自動車株式会社の子会社3社が合併して2006年に設立された会社です。弊社が担うのは、車両の各部品開発に必要な「評価」の領域です。たとえばエンジンが完成した際、その動作が正常であるかを検証するためのツール開発から、市場製品の調達・システムインテグレーションまでを一貫して手がける計測シミュレーション事業と、トヨタ自動車と連携しながら開発工程で生まれる新機能・新技術を強い特許として保護する知的財産事業の2つを展開しています。
私自身は経営本部 コーポレート管理部 人事室 人財開発グループのキャリア採用担当として、計測シミュレーションと知的財産、2つの事業で年間25〜30名の採用を担当しています。
―――JAPAN AI:現在の採用フローを教えていただけますでしょうか
――朝倉氏
採用フローは書類選考・適性検査・一次面接・最終面接の順で進みます。
書類選考は2段階構成となっており、まず人事によるファーストチェックを行い、通過した候補者は現場の書類選考へと進みます。人事側では年間約800件の応募書類を確認しています。
一次面接は現場の面接官と人事が同席する形で実施します。スキル面の判断は現場が、人格面の判断は人事が担当し、面接終了後は面接官同士で両面の評価を擦り合わせ、合否を確定させる運用です。最終面接では人事は主に進行を担い、各事業の上位役職が最終確認を行います。
一連の採用フローにおける私の担当範囲は、書類選考から最終面接後の条件提示、さらには内定後の入社フォローに至るまで、採用に関わるすべての工程です。
選考基準の属人化と業務量の限界——
AI活用検討のきっかけとなった2つの課題
―――JAPAN AI:そのような採用フローの中で抱えていた課題をお伺いできますでしょうか
――朝倉氏
大きく2つの課題がありました。
1つ目は、現場とのコミュニケーションです。
書類選考においては、現場が作成した要件定義書をもとに確認作業を進めていましたが、判断基準はExcelに記載された要件定義の内容のみであり、現場がどの点を重視しているかを十分に把握しないまま選考を進めていました。
「以前は通過していた要件の候補者が今回は通過しない」といった事象が発生しても、業務の忙しさから原因を深掘りする余裕がなく、選考基準を広げるべきか絞るべきかの判断を1人で模索し続けていました。つまり、現場の判断結果を見ながら、自身の中でフィードバックを回している状況でした。
2つ目は、工数の逼迫です。年間800件の書類選考に加え、候補者フォローやイレギュラー対応、障害者採用も並行して担うなかで、日々の業務が慢性的に逼迫していました。
本来は、ルーティン業務に追われるだけでなく、採用要件のブラッシュアップや獲得経路の検討といった、より上位の視点からの業務にも取り組みたく、そのために日々の業務の効率化と現場との密なコミュニケーションに取り組む必要がありました。
―――JAPAN AI:こうした課題を背景に、AI活用による改善を検討されたそうですね。検討のきっかけと、改善したいと考えていた業務について教えてください
――朝倉氏
ちょうど部署の中で「人事業務においてAIを活用できるのではないか」という会話があり、
自身が改善したいと考えていた業務を共有したことが検討のきっかけでした。
具体的には、以下の2点です。
1)応募書類のチェック
応募書類と要件のマッチング精度の向上と、確認件数の工数削減を実現したいと考えていました。
2)面接中の議事録作成
面接を進めながら同時に議事録を作成しており、発言を漏れなく記録できるよう神経を使いながら対応するなど、業務的にも心理的にも負担となっていました。
この中でも、書類と要件のマッチングを最優先と位置づけていました。対象件数が多く、最も効果が見込める領域であったためです。
―――JAPAN AI:複数のサービスを比較検討されたとのことですが、選定の経緯とJAPAN AI HRの決め手を教えてください
――朝倉氏
選定にあたっては、4〜5社の比較検討をしました。委託開発とツール両面で検討していたのですが、委託開発の場合、対応できる職種が限定されることが多いとわかり、部署内で協議のうえ、ツールの導入で検討することにしました。
ツールに関しても複数社の話を聞くなかで、実際の業務における活用イメージをより具体的に描けたのがJAPAN AIさんで、導入を決めました。
決め手は大きく2つです。
1つ目は、書類選考における評価項目の重み付け機能です。
導入検討以前に、Microsoft Copilotでプロンプトを作成し、要件定義の内容と履歴書情報のマッチングを試みたことがありました。その際に課題となったのが、評価項目ごとの優先順位と重み付けをプロンプト上でどう表現するかという点でした。各社との商談でも「AIへの指示の出し方、すなわちプロンプト設計が重要」という話が共通して挙がっていたなか、JAPAN AI HRでは、標準機能として重み付け機能がある旨の説明を受け、最優先課題として位置づけていた書類選考のマッチング精度の向上に直接応えられ、かつ幅広い職種に対応できるツールだと確信しました。
2つ目はコストパフォーマンスです。比較検討をしていた候補企業と比較しても機能優位がある一方で費用は高すぎず、投資対効果が見込めたことが、最終的な導入決定の後押しとなりました。

▲ 評価基準設定画面と重みづけ機能 ▲
※全て架空のデータです
書類選考・面接業務を効率化、
さらに「現場との共通基準」が生まれた
―――JAPAN AI:では、最優先とされていた書類選考において、具体的にどのようにJAPAN AI HRをご活用されていますか
――朝倉氏
まず、ポジションの登録と、重み付けを含めた評価基準の設定を行いました。
この設定をするにあたって、現場と選考基準の打ち合わせを行いました。これまでは要件定義書だけを頼りに1人で判断していたのですが、重み付け設定するため、現場と打ち合わせを行い、選考で重視するポイントについてお互いの認識が合うようになりました。
基準を設定した後は、候補者の履歴書や職務経歴書を採用管理システムからJAPAN AI HRに連携し、一次評価を行います。
一定以上のスコアであれば有力な候補者としてあたりをつけつつ、スコアだけで判断するのではなく、評価すべき各項目も見たうえで判断しています。
これまでは1件ずつ履歴書と要件定義書を照らし合わせながら確認していたのですが、AIによる一次評価によって確認にかかる工数が大幅に削減されました。年間800件を1人で見ていた作業が、スコアと各評価項目の確認をベースに効率的に進められるようになっています。
そして、現場とのコミュニケーションにも変化がありました。
以前は私が書類を見て通過・見送りを判断し、通過者だけを現場に渡すという流れでした。今は、JAPAN AI HRの評価結果を現場に共有し、同じ一次評価を見ながら会話ができるようになりました。その結果、根拠を持って現場と会話ができるようになりました。「前回通った人が今回通らない」といった疑問も、お互いの認識が合ったことで解消されつつあります。

▲一次評価結果のレポートを元にした会話で社内でのコミュニケーションが活性化▲
※全て架空のデータです
―――JAPAN AI:その他の業務ではどのようにJAPAN AI HRをご活用されていますでしょうか?
――朝倉氏
面接評価(議事録・要約)、経歴チェックの機能を活用しています。
面接評価については、面接の文字起こし情報をもとにAIが内容を要約し、良かった点・懸念点の判断まで出力されます。その結果を記録に残す運用としています。以前は面接を進めながら同時に議事録を作成しており、大きな負担となっていましたが、JAPAN AI HRによって候補者との会話に集中できるようになりました。
Webサイトなどから候補者の情報を検索・分析する「経歴チェック」という機能も活用しています。社内で紹介したところ「ここまでできるのか」と非常に好評を得ました。現在は一次面接通過者に対して必ず実施するようにしています。
―――JAPAN AI:導入や運用で大変だったこと・つまづいたこと、それに対する当社のサポートについて教えてください
――朝倉氏
ツール自体はイメージしやすい画面構成で、悩むところはほぼなかったです。
1〜2週間ごとの定期打ち合わせで相談ができますし、新しい機能の紹介もしてもらえるので、困ることがない状態ですね。
強いて言えば、大変だったのはポジションごとの基準設定です。重み付けを設定するためには現場とのすり合わせが必要になるので、そこに時間がかかるという点はあります。ただ、これはツールの問題というよりは、本来やるべきだった現場とのコミュニケーションに初めて取り組んだということなので、むしろ良いきっかけになったと思っています。

―――JAPAN AI:最後に、今後の展望について教えてください。また同じような課題を持つ採用担当者へのアドバイスがあればお聞かせください。
――朝倉氏
今後の展望としては、現在2〜3職種で運用している書類選考の効率化を、30職種へ展開しようと思っています。職種ごとに評価基準を作り込むことで、都度現場に確認しなくても選考を進められるようになり、採用スピードと精度のさらなる向上が見込めると考えています。
採用担当は少人数で多くの業務を担うことが多く、日々の作業に追われる感覚になりがちです。AIを活用することで、選考における自身のジャッジへの不安が払拭され、時間的な余裕も生まれます。
さらに、現場との意思疎通が深まるという、当初は想定していなかった効果も得られました。現場との打ち合わせが増え、本来大切にすべき評価視点のすり合わせができるようになったことが、最大の収穫です。AIの活用を迷っているなら、まずやってみることをお勧めします。


-300x169.jpg)


