Copilotを土台に“次の成功体験”へ。古河電工電力事業部門がJAPAN AIを追加導入した理由

導入前の課題
- Copilot導入で生成AI活用の下地はあったものの、議事録や資料作成・検索結果の精度に”あと一歩”の不満が残っていた
- 工場や対面会議が多く、自動化の効果が出にくい場面があった
- 情報検索やRAG活用も含め、試用は広がる一方、日常業務に定着しきらないケースがあった
導入後の成果
- SPEECHの話者分離機能により、対面会議でも実用的な議事録作成が可能になった
- Copilotをベースにしながら、JAPAN AIを”届かない部分を埋める選択肢”として追加導入する形が定着した
- 利用者を対象とした研修会を通じて活用の広がりが進み、生成AIが”たまに使うもの”から”日々の業務で使うもの”へ変化した
【企業紹介】
- 会社名:古河電気工業株式会社
- 創業:1884年
- 事業内容:情報通信用光ケーブル、電力用ケーブル、自動車用ワイヤーハーネス等の開発、製造および販売に関する事業
- 従業員数:4,433名(単体、2025年3月末時点)
創業140年を超える古河電気工業株式会社(以下、古河電工)は、情報通信用光ケーブル、電力用ケーブル、自動車用ワイヤーハーネス等の開発、製造および販売に関する事業を通して、日本の産業と社会インフラの発展を支えてきました。生成AIの導入にもいち早く着手し、2023年から全社的な活用を進めてきました。
すでにMicrosoft Copilotを広く導入し、社内には「生成AIを使う」土壌がありました。一方で、実際に業務へ落とし込む中では、議事録の精度、RAGの回答品質、資料作成の出来栄えなどに課題が残り、「一度は触るが、使い続けるには至らない」ケースも少なくなかったといいます。
そんな中で古河電工がJAPAN AIに注目したきっかけは、話者分離を含む議事録機能の品質でした。さらにトライアルを通じて、SPEECHのほか、複数LLMの使い分けやエージェント機能など、Copilotを補完する実用性を実感し、本格導入へと踏み切ります。
取材当日には、JAPAN AIとの研修会も開催されており、会場では質問が途切れないほどの盛り上がりを見せていました。今回は、エネルギーインフラ統括部門でDX推進を担う岩永光史さん、別府輝一さん、関尚弘さんを中心に、全社視点で生成AI活用を推進する久保木愛さん(戦略本部デジタルトランスフォーメーション&イノベーションセンター人材開発課)にもお話を伺いながら、「Copilot導入済み企業がなぜ追加でJAPAN AIを選んだのか」その背景と活用の広がりを聞きました。

研修会の様子
▶︎導入前の課題
Copilotで下地を作り次の一歩へ。求められていたのは”現場要件”を満たす工夫
―――JAPAN AI:まず、古河電工の事業概要と、社内での生成AI活用の前提について教えてください。
――岩永氏
当社は、情報通信用光ケーブル、電力用ケーブル、自動車用ワイヤーハーネス等の開発、製造、販売を行っています。創業140年を超える、いわゆる老舗企業ですね。
生成AIについては比較的早い段階から活用を始めており、2023年にはすでに全社導入の流れが始まっていました。最初からJAPAN AIを入れたというより、まずはCopilotをベースに生成AIに触れる土壌を作り、社内の理解を広げていきました。
話者分離できる”ソフト”との出会いが、大きな転機になった
―――JAPAN AI:その前提がある中で、JAPAN AI導入前にはどんな課題があったのでしょうか。
――岩永氏
一番大きかったのは、期待値に対して、成果物の品質にばらつきが出ることでした。Copilotを含めて生成AIを使ってみると、たしかに便利ではあるんです。でも、議事録の精度や資料作成の出来栄え、検索結果の納得感などで「もう一歩足りない」と感じる場面が多かった。
特に議事録は、困っている人がすごく多かったですね。エネルギーインフラ統括部門内の電力事業部門は工場での会議を含む対面での会議が多いので、Teams会議のようにデジタルな場面ばかりではありません。Copilotだと話者分離も難しく、触ってみたけれど、これではまだ実務に乗らない、と感じていたんです。
もう一つは、情報検索の課題です。社内では以前から検索系の仕組みも試してきましたし、情報自体もBoxなどに集まりつつあるのですが、欲しい情報にスムーズに辿り着けるかというと、まだ十分ではありませんでした。議事録にしても検索にしても”使ってはみるが、長続きしない”ユーザーが一定数いたのは、そうした背景があったからだと思います。

▶︎導入後の変化
“Copilotを置き換える”ではなく、”業務要件を満たすために併用する”という判断
―――JAPAN AI:他サービスとの比較や、JAPAN AIを選んだ決め手について教えてください。
――岩永氏
今回は、「A社かB社かを一対一で比べて、どちらか一つに絞る」という考え方ではありませんでした。Copilotは会社としての標準ツールですし、それを置き換えるためにJAPAN AIを入れたわけではないんです。
むしろ発想としては、Copilotだけでは届かない部分を埋めるための選択肢でした。当社として大事だったのは、AIを使うことそのものではなくて、現場の困りごとが本当に解決するかどうかです。だから議事録に困っているなら、それを解決できるツールを使えばいいし、資料作成でより良い成果物がほしいなら、それに向いたものを使えばいい。
その意味で、JAPAN AIの魅力は大きく二つありました。
一つは、やはりSPEECHの精度、もう一つは、複数のLLMを使い分けられることですね。Copilotでは要件上カバーしきれないことがありましたが、JAPAN AIでClaudeを使った時に、同じ質問でもここまで回答の質が違うのかと衝撃を受けました。しかも、それが一つのサービスの中で使える。これは非常に大きかったです。
費用対効果の面でも、JAPAN AIは価格以上に「できること」が多いと感じました。
――別府氏
あとは、導入障壁が非常に低い点も大きかったです。新しいシステムを入れようとすると、インフラ整備や手続きなどでステップが増えがちですが、JAPAN AIはオンライン上で「まず試してみる」から始められる。こちら側で何かを大がかりに構築しなくていいので、管理する側としても過度にストップをかけるより「まず使って効果を見よう」と判断しやすいんです。
結果として、現場のスピード感に合わせて取り入れやすかったのは、非常に大きいと思います。
―――JAPAN AI:教育や社内浸透の面では、どんな変化を感じていますか。
――久保木氏
当社では、全社向けのAIトレーニングや部課長向けセミナー、AIプロモーター制度、お昼の勉強会など、段階的に啓発活動を進めてきました。私たちのチームだけで4,000人規模の社員に広げていくのは難しいので、今は100名のAIプロモーターがそれぞれの所属する部署でハブになって、最新機能や活用事例を広げていく形を取っています。岩永もこうしたAIプロモーターの一人です。
今回のJAPAN AIさんとの研修会もそうですが、やはり”実際に触れて、質問できる場”は反響が大きいですね。今回も会場では質問が途切れず、かなり盛り上がっていました。そういう場で「こんなこともできるんだ」「自分の業務でも使えそうだ」と思えることが、次の活用につながると思っています。
改善報告会や事例共有会の中でも、エネルギーインフラ統括部門以外の部署からのAI活用やDX事例の発表がかなり増えてきています。昔ながらの改善活動の中に、生成AIのテーマが自然に入り込んできているのは、大きな変化だと思います。

デジタル人材開発課 課長の久保木愛氏
議事録だけで終わらない。”困りごと解決の手段”として広げていく
―――JAPAN AI:今後、どのように活用を広げていきたいですか。
――岩永氏
私たちは、AIを使うこと自体を目的にしているわけではありません。大事なのは、現場の困りごとを解決して、成果のいいものを推奨していくことです。ですから、「AIを使ってください」と押し付けるのではなく、「こういう課題があるなら、こういう手段がありますよ」と事例をどんどん紹介していくのが一番いいと思っています。
JAPAN AIも、今は議事録が一番分かりやすい入口ですが、そこだけで終わるとは思っていません。議事録フォーマットに合わせたエージェントはすでにかなり使われていますし、最近だとファクトチェックのエージェントも関心が高いです。ハルシネーションへの不安は皆持っていますから、「出てきたものをどう検証するか」はかなりニーズがあります。
まだ使いこなし切れていない機能もありますし、ユーザーのアイデア次第で大きく化ける余地があると思っています。相談会やセミナー、ユーザーコミュニティ、社内の活用事例共有会などを通じて、そのヒントを広げていきたいですね。
―――JAPAN AI:最後に、特に大企業でAI活用を進めたい企業へメッセージをお願いします。
――関氏
従業員の多い会社だと、どうしてもベースとなる仕組みをIT部門が決めることになります。だから、利用する側はそのベースを否定するのではなく、そこに対するオプションとして引き出しを増やすという考え方がすごく大事だと思います。
Copilotがあって、そのうえでJAPAN AIがある。そうすると、もっと先へ行きたい人が、その先に進める。ベースだけだと限界があるんですが、選択肢があることで、その限界を越えられるんです。
あとは、そういう動きを許容する文化があるかどうかも大きいですね。古河電工は140年の歴史がある会社ですが、意外と自由度がある。岩永のように「これ面白そうだからやってみよう」と動ける人間がいて、それを止めない文化がある。そこが、今回のような導入につながっていると思います。
ですから、大企業こそ、「何を標準にするか」だけでなく、「その先の成功体験をどう作るか」を考えると、AI活用はもっと広がると思います。





