初動把握10分→3分、メール下書き採用率90%!自社CSで実証した「未対応が見える」問い合わせ管理

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「誰が・何を・どこまで」が見えない——月600件の問い合わせで起きていたヒヤリハット
「重要なのに放置されていた」をなくす…未対応が”見える”問い合わせ運用へ
全体の1割から広げる。契約・フォローへ、段階的に展開

導入前の課題

  • 月600件規模の問い合わせを少人数で対応する中、繁忙時に回答リードタイムが伸び、顧客を待たせるケースが発生していた
  • メールが各担当者の個人受信トレイに分散し、「誰が・何を・どこまで対応しているか」がチーム全体で見えにくかった
  • 当日中に対応する必要のあるメールが「翌日に対応予定」となっていたことに気づく場合もあり、ヒヤリハットが発生していた

導入後の成果

  • 問い合わせ内容の把握時間が約10分から約3分に短縮(約70%削減)し、対応の初動が速くなった
  • AIが下書きを生成し担当者が確認・修正する運用でAI回答採用率約90%を達成、回答作成時間が約50%削減した(約10分→約5分)
  • 対応ステータスの可視化により、未対応メールの内容や重要度などの詳細をリアルタイムで検知できるようになり、ヒヤリハットを仕組みとして防げる体制が整った

【企業紹介】

  • 社名:JAPAN AI株式会社(社内PoC事例)
  • 業種:IT・AI(BtoB)
  • 担当者:石川 裕彬(カスタマーサクセス・カスタマーサポート部)
  • 利用プロダクト:JAPAN AI STUDIO「CS問い合わせ管理アプリ」

生成AIの業務活用支援を軸に、チャット型AIプラットフォームからAIエージェント、AIアプリ開発基盤「JAPAN AI STUDIO」まで、組織のAI定着を一気通貫で支援するJAPAN AI株式会社。自社プロダクトを自社業務にも適用し、現場で検証しながら磨き込む文化をもつことも特徴です。

今回の事例は、JAPAN AI STUDIOを用いてCS部門向けの「問い合わせ管理アプリ」を社内開発し、運用・効果検証まで行った社内PoCです。月600件規模の問い合わせを少人数で捌く中、メールが個人受信トレイに分散することで「誰が・何を・どこまで対応しているか」が見えにくく、繁忙時には返信漏れのヒヤリハットも起きやすい。そこでGmailから問い合わせを自動取得し、AIが回答下書きを生成、対応ステータスで漏れを防ぐ仕組みをSTUDIO上で構築しました。

立ち上げ時には既存ナレッジ資産を流用できたため準備工数はほぼゼロに近く、運用も「AIが下書き→人が確認して送信」というシンプルな形でAI回答の採用率は約90%に。内容把握は10分から3分、回答作成は10分から5分へ短縮され、何より「未対応が見える」状態ができたことで、ヒヤリハットを仕組みで防ぐ土台が整いました。現在は全体の約1割の問い合わせから適用し、契約手続き・顧客フォローへ段階的に拡張するロードマップを描いています。

今回は、CS部門で本PoCを推進した石川裕彬さんに、導入前の課題感から、既存ナレッジを流用して”準備ほぼゼロ”で立ち上げた背景、AIが下書きを作り人が確認する運用設計、そして「可視化」がもたらした変化と今後の展望まで、詳しく話を聞きました。

▶︎導入前の課題

「誰が・何を・どこまで」が見えない——月600件の問い合わせで起きていたヒヤリハット

―――JAPAN AI:CSチームの問い合わせ件数と、導入前に一番気になっていた点を教えてください。

――石川氏
問い合わせは1日あたり約30件、月間では約600件規模です。内訳は、製品の操作方法が約1割、契約手続き関連が約4割、顧客フォローへの返答が約4割、その他が約1割。内容の幅が広く、対応も「早く返す」だけではなく、間違いなく・抜けなく返す必要があります。

その中で一番気になっていたのは、対応状況が見えにくいことでした。メールが各担当者の個人受信トレイに届く形だと、業務がひっ迫したときに後回しになるメールがどうしても出ます。結果として、当日対応が必要なメールの中で、翌日対応にまわす予定になっていたメールに、その日の夜になってから気づくこともある。いわゆるヒヤリハットです。CSとして、問い合わせが埋もれるリスクは件数が少なくても放置できません。

もともと回答づくり自体は、社内で用意していたAIエージェントを組み合わせて回せていました。ただ、「誰が・何を・どこまで対応しているか」をチームで一覧できる仕組みが追いついていなかった。回答が作れても、運用の背骨がないと、漏れはゼロにならない…そこが課題でした。

―――JAPAN AI:今回の社内PoCは、どういうきっかけで始まったのでしょうか。

――石川氏
社内の開発チームから「社内PoCとして、実際に使ってみないか」と声がかかったのがきっかけです。ちょうど私たちは、サービスの仕様や操作方法に答える「カスタマーサポート」向けのデータセットをすでに整備していました。問い合わせ管理アプリのAI回答生成に、そのナレッジをそのまま流用できるなら、準備に時間をかけずに検証できる。まずは動かして、現場で使えるかどうかを見よう、という判断でした。

セットアップの準備工数は、体感としてほぼゼロです。ナレッジを一から作り直す手間がなく、画面もシンプルなので、特別なトレーニングを挟まず使い始められました。運用の立ち上げも、最初から大きく設計しすぎないようにしました。スピード感を優先して、まずは私が運用担当として入口をまとめる。担当者ごとに届くメールを一元的に見られる状態にして、対応状況を追えるようにする。小さく動かして手応えを掴む。そのスタートが切りやすかったのは大きいです。

作成した問い合わせ管理アプリの画面

担当者と要対応事項を簡単に振り分けできる仕組み

▶︎導入後の変化

「重要なのに放置されていた」をなくす…未対応が”見える”問い合わせ運用へ

―――JAPAN AI:AI回答の品質や、実際の運用はどう変わりましたか。

――石川氏
数字で見ると、まず問い合わせ内容を把握するまでの時間が約10分から約3分に短縮しました。回答作成も、10分かかっていたものが5分程度に。もともとAIエージェントで回答を作る運用はあったので、劇的というより「一つの画面で完結することで、ムダが削れた」効率化です。

ただ、体感として一番大きいのは、やはり「対応した、対応していない」がチームで見える状態になったことです。以前はメールスレッドに新着が積み重なって、忙しい時間帯に埋もれてしまうことがありました。今は未対応のメールがステータスとして一覧に出るので、運用担当として「この件、まだ返せていないですよ」と早めに気づける。ヒヤリハットを、個人の注意ではなく仕組みで防ぐ方向に寄せられたことが大きいです。

30分ごとに最新メールを取得してくれるので、ほぼリアルタイムで状況を追えますし、返信状況と対応ステータスがリンクしているので、「返信済みなのに未対応になっている」といった取りこぼしも防ぎやすい。また、重要度もAIが自動判定してくれるので「重要なのに後回しになっていた」を、「起きる前に検知できる」に変えられる。そこが今のところ、いちばんの成果だと思っています。

指標導入前導入後
問い合わせ内容の把握時間約10分約3分(約70%削減)
回答作成時間(AI対応分)約10分約5分(約50%削減)
AI回答の採用率約90%(そのまま採用60%、軽微修正30%)

ワンクリックで回答の下書きを生成

ほぼそのまま使えるAI回答のテンプレートを生成

全体の1割から広げる。契約・フォローへ、段階的に展開

―――JAPAN AI:今後は、どの領域に広げていく想定でしょうか。

――石川氏
現時点でAI回答でカバーできているのは、操作方法に関する問い合わせが中心で、全体の約1割の規模です。残りの契約手続きや顧客フォローは、まだ既存の運用と使い分けが必要です。ただ、ここは段階的に広げられる余地があります。

たとえば契約手続きは、ライセンス追加の案内など定型的な内容はテンプレート化しやすいので、まずはAIが下書きを出せる領域から着手したい。顧客フォローはメールスレッド全体を参照できるので、返答のたたき台づくりには使える可能性があります。いきなり全体を置き換えるのではなく、改善サイクルを回しながら対応範囲を増やしていく設計です。

―――JAPAN AI:最後に、同じような課題を抱えているCSチームの方へ一言お願いします。

――石川氏
既存のナレッジやFAQデータがあるなら、まずはそれを活用して小さく始めるのがいいと思います。完璧に整えてから動こうとすると、スタートが遅れます。動かしながら改善するほうが、結果的に早く仕組みになります。

私たちも、内容把握が約70%削減、AI採用率約90%という手応えは得られましたが、まだ全体の約1割からのスタートです。むしろ、ここからの方が長い。ただ、やってみて初めて分かることが多かったので、まず一歩動かしてみることが大事だと思います。

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