>>使うほど資産になる「JAPAN AI AGENT」の詳細はこちら<<

行政DXとは?定義・背景・重点取組・メリット・課題・成功事例

行政 デジタル化

「行政DXって何から始めればいいのか」「他の自治体はどこまで進んでいるのか」――こうした疑問を抱えながら情報を集めている自治体職員や行政関連企業の担当者は少なくありません。

2026年度、自治体DXは「行政内部のデジタル化」を中心とした取り組みに加え、「行政サービスの価値創出」も重視する段階に入っています。改正地方自治法によるサイバーセキュリティを確保するための方針の義務化、ガバメントクラウドへの移行加速、公金収納のデジタル化など、制度面でも大きな転換が起きています。

本記事では、行政DXの定義から背景、重点取組事項、メリット・課題、推進ステップ、先進事例、成功ポイント、今後の展望まで、2026年の最新情報を交えてJAPAN AIが網羅的に解説します。

目次

行政DXとは?

行政DXとは、デジタル技術やデータを活用して、行政サービスや業務プロセスそのものを変革する取り組みです。単に紙の書類を電子化したり、既存の業務にITツールを導入したりすることにとどまらず、住民にとってより便利で、職員にとってより効率的な行政の姿を実現することを目指しています。

総務省は2020年12月に「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」を策定し、全国の自治体が重点的に取り組むべき事項と国による支援策を示しました。この計画は段階的に改定が重ねられ、2026年1月には第5.1版に改定されています。第5.1版では従来の計画期間が廃止され、5年間を目途に取組スケジュールを示したうえで毎年度更新する方式に変更されました。

行政DXの推進主体は国(デジタル庁・総務省)と地方自治体の双方であり、国が標準仕様やガイドラインを示し、各自治体が地域の実情に合わせて具体的な施策を実行するという役割分担で進められています。

出典:総務省「自治体DXの推進」

デジタル化とDXの違い

行政DXを理解するうえで、まず「デジタル化」と「DX」の違いを押さえておくことが重要です。

デジタル化は、既存の業務プロセスをITで効率化することが目的です。たとえば、紙の申請書をPDFに置き換える、手作業の集計をExcelで自動化するといった取り組みがこれにあたります。業務の仕組み自体は変えず、アナログからデジタルへ手段を切り替えるイメージです。

一方、DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術を前提として業務プロセスやサービスのあり方そのものを再設計し、新たな価値を生み出すことを目指します。行政の文脈でいえば、「窓口に来なくてもすべての手続きが完結する」「データに基づいて住民一人ひとりに最適な行政サービスを届ける」といった、行政サービスの根本的な変革がDXにあたります。

つまり、デジタル化は「手段の置き換え」であるのに対し、DXは「目的と仕組みの変革」です。行政DXでは、デジタル化を土台としつつも、住民視点でサービスを再設計し、行政のあり方そのものを変えていくことが求められます。

行政DXが求められる背景

行政DXは「やったほうがよい」ではなく「やらなければならない」段階に来ています。その背景には、複数の構造的な要因が存在します。

生産年齢人口の減少による職員不足

日本の生産年齢人口(15〜64歳)は年々減少しており、自治体職員の確保は今後さらに困難になることが見込まれます。総務省の調査によると、地方公務員の総数はピーク時の約328万人(1994年)から約280万人(2023年)まで減少しました。

一方で、住民からの行政ニーズは多様化・複雑化しており、少ない人員でより多くの業務をこなさなければならない状況が生まれています。限られた職員数で行政サービスの質を維持・向上させるためには、デジタル技術を活用した業務効率化が不可欠です。

出典:総務省「令和6年地方公共団体定員管理調査結果の概要」

住民ニーズの多様化と期待の高まり

民間サービスでは、スマートフォンひとつで買い物も銀行手続きも完結する時代になりました。こうしたデジタル体験に慣れた住民にとって、「平日の日中に窓口へ行き、紙の書類に記入して提出する」という従来の行政手続きは、大きな負担に感じられます。

24時間いつでも手続きできるオンライン申請、多言語対応、プッシュ型の情報提供など、住民が求めるサービスの水準は年々高まっています。こうした期待に応えるためにも、行政サービスのデジタル化は避けて通れません。

コロナ禍で浮き彫りになったデジタル化の遅れ

2020年のコロナ禍は、行政のデジタル化の遅れを改めて浮き彫りにしました。特別定額給付金(10万円給付)のオンライン申請では、システムの不具合や自治体側の処理能力不足により混乱が生じ、結果的に郵送申請のほうが早く届くケースも発生しました。

また、保健所の業務逼迫、ワクチン接種予約システムの混乱など、行政のデジタル基盤が整備されていないことによる問題が次々と明らかになりました。この経験が、行政DXを加速させる大きな契機です。

JAPAN AI 行政

JAPAN AI行政は、「アカウントを配ったけど活用されない、使われない」という事態を防止する、行政・自治体向けの生成AIプラットフォームです。LGWAN対応・国内データセンター・入力データ学習なしの3つの特徴で、安心して利用できます。

JAPAN AI行政の資料をダウンロードする【無料】

行政DXの重点取組事項

総務省の自治体DX推進計画(第5.1版)では、自治体が重点的に取り組むべき事項が示されています。2026年時点での主要な取組事項を解説します。

自治体フロントヤード改革の推進

フロントヤード改革とは、住民と行政の接点(窓口)をデジタル技術で改革する取り組みです。「書かせない、待たせない、迷わせない、行かせない」をモットーに、住民の利便性向上と職員の業務効率化を同時に実現することを目指しています。

具体的には、窓口支援システムの導入による「書かない窓口」の実現、オンライン来庁予約による待ち時間の解消、コンビニや郵便局での証明書交付サービスの拡充などが含まれます。定型的な窓口業務から職員を解放し、相談対応や企画立案といった付加価値の高い業務にシフトさせることが狙いです。

自治体情報システムの標準化・共通化

住民基本台帳、固定資産税、介護保険など20業務の基幹系システムを、国が定める標準仕様に準拠したシステムへ移行する取り組みです。これまで各自治体が個別に構築・カスタマイズしてきたシステムを標準化し、ガバメントクラウドという共通基盤上で運用することを目指しています。

原則的な移行期限は2025年度末とされていましたが、2026年1月末時点で移行完了したシステムは全体の38.4%にとどまり、半数以上の自治体で期限内に移行しきれないシステムが発生しています。移行が困難なシステムについては「特定移行支援システム」として個別に移行完了期限が設定されており、段階的な移行が進められています。

マイナンバーカードの普及促進・利用の推進

マイナンバーカードは、行政手続きのオンライン化を支える基盤として位置づけられています。健康保険証としての利用が本格化したほか、コンビニでの証明書交付、オンラインでの確定申告、各種行政手続きの電子申請など、活用の幅は広がり続けています。

自治体においては、マイナンバーカードを活用した本人確認のデジタル化により、窓口での手続き時間の短縮や、来庁不要のオンライン申請の実現が進んでいます。

AI・RPAの利用推進

自治体におけるAI・RPAの活用は、定型業務の自動化と住民サービスの高度化の両面で進んでいます。

RPAは、データ入力や帳票作成、システム間のデータ転記といった定型的な作業を自動化するために導入されています。また、AIチャットボットによる住民からの問い合わせ対応は、24時間365日の対応を可能にし、職員の負担軽減にもつながっています。

さらに、第5.1版では生成AIの活用が新たな取組として位置づけられました。文書作成の効率化、議事録の自動要約、住民向け案内文の多言語翻訳など、生成AIの活用領域は急速に広がっています。

【関連記事】
自治体におけるChatGPT活用の現状と導入事例、メリット・注意点を徹底解説

セキュリティ対策の徹底

2026年4月1日に施行された改正地方自治法により、地方公共団体におけるサイバーセキュリティを確保するための方針の策定・公表が法的義務となりました。これまで「努力目標」にとどまっていたセキュリティ対策が、法律に基づく義務へと格上げされた形です。

総務省のガイドラインでは、CISO(最高情報セキュリティ責任者)の任命、CSIRT(インシデント対応チーム)の設置、ICT-BCP(有事対応計画)の整備に加え、ゼロトラストセキュリティの考え方や多要素認証の導入などが示されています。

特に小規模自治体では情報セキュリティの専門人材が不足しているため、民間企業の専門知識を活用した外部支援の活用が重要です。

出典:総務省「サイバーセキュリティを確保するための方針の策定等に関する資料」

公金収納のデジタル化(eLTAX活用)

2026年9月24日から、eLTAX(地方税ポータルシステム)とeL-QR(地方税統一QRコード)を活用した、地方税以外の公金の電子納付がスタートします。

対象となる公金は、国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料のほか、道路占用料や水道料金など広範囲にわたります。eL-QRが印字された納付書があれば、インターネットバンキングやスマートフォン決済アプリなど多様な手段での納付が可能です。

全国の自治体が同一の仕組みを利用するため、対象となる公金について統一的な電子納付が実現します。自治体側にとっても、収納管理事務の効率化や収納状況のリアルタイム把握といったメリットが期待されています。

出典:地方税共同機構「eL-QRを活用した地方税以外の公金収納の開始について」

行政DXのメリット

行政DXに取り組むことで、行政側と住民側の双方に具体的なメリットが生まれます。

業務効率化とコスト削減

行政DXの最も直接的なメリットは、業務の効率化とそれに伴うコスト削減です。

RPAの導入により、データ入力や帳票作成といった定型業務を自動化すれば、職員はより付加価値の高い業務に時間を充てられます。茨城県つくば市では、市民税課などの全5業務にRPAを導入した結果、3か月で約116時間、年間換算で約336時間の業務時間削減を実現しました。市民窓口課全体では、年間約1,150時間の削減効果が確認され、金額換算で約500万円に相当します。

また、ペーパーレス化による印刷費・郵送費の削減、電子決裁による承認プロセスの迅速化など、デジタル化は多方面でコスト削減に寄与します。

【関連記事】
自治体の業務効率化を進める方法は?背景から成功事例・推進ポイントまで解説

住民サービスの向上と利便性の拡大

行政DXは、住民が行政サービスを利用する際の利便性を大きく向上させます。

オンライン申請の導入により、住民は24時間いつでも、自宅からスマートフォンやパソコンで手続きを行えます。窓口に足を運ぶ必要がなくなり、仕事や育児で平日の日中に来庁できない住民にとって大きなメリットです。

窓口業務のDXも住民サービス向上に直結します。北海道北見市の「書かないワンストップ窓口」では、住民が申請書に記入する必要がなく、本人確認だけで必要な手続きが完了します。転入手続き(4人家族)が約15分で終了し、死亡届関連の手続きも従来の約2時間から30〜40分に短縮されました。住民からは「もう終わったの?」と驚きの声が上がるほどです。

データ活用による新たな価値の創出

行政DXが進むことで、行政が保有する膨大なデータを政策立案に活用する「EBPM(Evidence-Based Policy Making:証拠に基づく政策立案)」が可能です。

従来は経験や勘に頼りがちだった政策判断を、データ分析に基づいて行うことで、より効果の高い施策を選択できます。たとえば、人口動態データと住民サービスの利用状況を掛け合わせて分析することで、地域ごとに最適な施設配置や支援策を立案できます。

さらに、オープンデータとして行政データを公開することで、民間企業やNPOによる新たなサービス創出にもつながります。

行政DXの課題

行政DXの必要性は広く認識されている一方で、推進にあたっては多くの自治体が共通の課題に直面しています。

DX人材・デジタルスキルの不足

行政DXにおける最大の課題は、推進を担う人材の不足です。自治体DX推進計画では、DX・情報関係業務を担当する職員が1人以下(いわゆる「1人情シス」)の状態の自治体を2025年度中に半減させる目標が掲げられていますが、民間企業との給与競争力の差や採用市場の逼迫により、IT人材の確保は依然として困難な状況です。

また、DX推進には専門的なIT人材だけでなく、全職員のデジタルリテラシー向上も不可欠です。新しいシステムやツールを導入しても、使いこなせる職員がいなければ効果は限定的です。

レガシーシステムからの移行コスト

多くの自治体では、長年にわたって個別にカスタマイズを重ねてきた基幹系システム(レガシーシステム)が稼働しています。これらのシステムは、仕様がブラックボックス化していたり、特定のベンダーに依存する「ベンダーロックイン」の状態にあったりするケースが少なくありません。

標準準拠システムへの移行には、既存データの移行や業務フローの見直し、職員の再教育など、多大なコストと労力が必要です。特に財政基盤が脆弱な小規模自治体にとって、移行コストの負担は大きな障壁です。

住民間のデジタルデバイド

行政サービスのデジタル化が進む一方で、高齢者やデジタル機器に不慣れな住民がサービスから取り残される「デジタルデバイド(デジタル格差)」の問題があります。

オンライン申請やキャッシュレス決済が普及しても、すべての住民がこれらを利用できるわけではありません。行政DXを推進する際には、デジタルに不慣れな住民への配慮として、対面窓口との併用(ハイブリッド設計)やデジタル活用支援員の配置など、誰一人取り残さない仕組みづくりが求められます。

組織文化とアナログ業務プロセスの壁

行政組織には、紙文化や対面主義が根強く残っている場合があります。「これまでのやり方で問題なかった」という意識や、新しいツール・プロセスへの心理的な抵抗感が、DX推進の障壁になることがあります。

また、縦割り組織の構造により、部署間のデータ連携や横断的な業務改革が進みにくいという課題もあります。DXは技術導入だけでは実現できず、組織文化の変革が伴わなければ定着しません。

行政DXを推進するステップ

行政DXは一朝一夕に実現するものではなく、段階的に進めていくことが重要です。総務省の自治体DX全体手順書(第5.1版)を踏まえた推進ステップを解説します。

認識共有・機運醸成

行政DXの第一歩は、DXの目的とビジョンを組織全体で共有することです。首長自らがDX推進の意思を明確に表明し、トップダウンで機運を醸成することが重要です。

「なぜDXが必要なのか」「DXによって何を実現したいのか」を全職員が理解し、自分事として捉えられるようにするために、庁内勉強会や先進自治体への視察、外部有識者による講演会などを実施しましょう。

全体方針の決定と推進体制の整備

DX推進の全体方針を策定し、実行するための体制を整備します。具体的には、DX推進計画の策定、CIO(最高情報責任者)やCDO(最高デジタル責任者)の配置、全庁横断のDX推進チームの設置などが含まれます。

推進体制は、情報政策部門だけでなく、各部署の業務に精通した職員も参画する横断的な組織としてください。DXは特定の部署だけの取り組みではなく、全庁的に推進するものだからです。

業務プロセスの見直し(BPR)

DXの成否を分けるのが、BPR(Business Process Re-engineering:業務プロセス改革)です。既存の業務をそのままデジタル化するのではなく、「そもそもこの業務は必要か」「住民にとって最も便利な手続きの形は何か」という視点で、業務プロセスそのものを見直します。

具体的には、すべての業務を棚卸しして可視化し、重複や非効率を洗い出したうえで、デジタル技術を前提とした業務フローを再設計します。住民視点でのサービスデザイン思考を取り入れることで、真に使いやすい行政サービスを実現できます。

システムの選定・導入と運用改善

BPRの結果を踏まえて、最適なシステムを選定・導入します。標準準拠システムの導入、クラウドサービスの活用、AI・RPAの導入など、業務改革の方針に合ったツールを選定することが重要です。

導入後は、利用状況や効果を定期的に測定し、PDCAサイクルを回して継続的に改善していきましょう。DXはシステムを入れて終わりではなく、運用しながら改善を重ねていくプロセスです。

行政DXの先進事例

全国の自治体で、行政DXの先進的な取り組みが進んでいます。分野別に具体的な成功事例を紹介します。

窓口業務のDX事例

北海道北見市「書かないワンストップ窓口」

北見市は2009年から窓口業務の改善に着手し、2016年に「窓口支援システム」を本格導入しました。住民は申請書に記入する必要がなく、本人確認だけで必要な手続きがワンストップで完了します。

システムが各業務システムと連携したデータベースを参照し、必要な手続きを自動でリストアップするため、手続き漏れがほぼ発生しません。また、経験の浅い職員でも対応が標準化されるため、窓口業務のハードルが大幅に下がりました。

この仕組みは2025年度までに全国75の自治体に採用されており、北見市には著作権利用料として年間約2,000万円の歳入が生まれています。

大阪府高槻市「窓口予約・電子申請サービス」

高槻市では、子育て支援など窓口業務の混雑と職員の残業が課題でした。2010年に電子申請サービスを導入し、2020年には窓口予約システムも稼働。令和6年度には約900件の手続きが電子申請システムで利用可能となり、10万件を超える利用がありました。電話予約の手間や窓口の待ち時間が解消され、職員の働き方改革にも貢献しています。

AI・RPA活用の事例

福岡県福岡市「生成AIによる業務効率化」

福岡市では、アンドドット株式会社とQTnetが共同開発した生成AI「QT-GenAI」を約50人の職員向けに実証実験として導入しました。2024年2月の中間アンケートでは、作業時間が平均33.75%削減、業務成果・品質向上が平均36.56%という結果が得られています。資料作成や文書の要約・翻訳など、日常的な事務作業における生成AIの有効性が実証されました。

出典:福岡市「QT-GenAI 実施報告書」

茨城県つくば市「RPA導入による業務時間削減」

つくば市は、長時間勤務の削減を目的にRPAの導入を推進しました。市民税課では新規事業者登録や電子申告の印刷作業など全5業務にRPAを導入し、3か月で約116時間、年間換算で約336時間の削減効果を実現。市民窓口課全体では年間約1,150時間の削減効果があり、金額に換算すると約500万円に相当します。

防災・住民コミュニケーションのDX事例

宮城県「ポケットサイン防災アプリ」

宮城県は2024年11月に避難支援アプリ「ポケットサイン防災」を導入し、県内全35市町村と連携した広域的な避難所運営のDXを推進しています。マイナンバーカードやQRコードによる避難所受付により、紙の受付作業と比較して約14倍のスピードで受付処理が可能です。避難者名簿のリアルタイム更新・共有も実現し、災害対策本部との情報連携が大幅に改善されています。

宮崎県都城市「LINE活用による住民コミュニケーション」

都城市は、市の公式LINEアカウントを住民とのコミュニケーションプラットフォームとして活用しています。キーワード応答機能やチャットボット機能を活用し、ごみ分別方法やごみ収集日の案内、各種証明書の発行案内などを24時間対応で提供。セグメント配信により、住民一人ひとりに必要な情報を届ける仕組みを構築しています。


行政DXの推進を加速するなら「JAPAN AI 行政」

JAPAN AI 行政

行政DXでは、文書作成や問い合わせ対応、データ集計など多岐にわたる業務の効率化が求められます。JAPAN AI 行政は、社内に散在するドキュメントやデータベースと連携し、複雑な業務プロセスをAIエージェントが自律的に遂行するサービスです。問い合わせ対応の自動化、レポート作成の効率化、ナレッジ検索の高度化など、組織全体の生産性向上を実現します。専門的なプログラミング知識がなくても、直感的な操作でAIエージェントを構築・運用できるため、DX人材が不足する組織でも導入しやすい設計です。

行政DXを成功させるポイント

先進事例から導き出される、行政DXを成功に導くための実践的なポイントを解説します。

BPRの徹底

行政DXで最も重要なのは、単なるデジタル化ではなく、業務プロセスそのものを見直すBPR(業務プロセス改革)を徹底することです。

北見市の「書かない窓口」が成功した背景には、2009年から地道に続けてきた窓口業務の改善活動があります。ITツールの導入ありきではなく、まず「住民にとって最も便利な窓口とは何か」を考え、業務フローを再設計したうえで、それを実現するためのシステムを開発・導入しました。

DXの本質は技術導入ではなく業務改革です。「今の業務をそのままデジタル化する」のではなく、「住民視点でサービスをゼロから設計し直す」というサービスデザイン思考が欠かせません。

職員のITリテラシー向上とマインドセットの変革

DXを全庁的に推進するためには、一部のIT担当者だけでなく、全職員のデジタルスキルとDXマインドを底上げする必要があります。

具体的には、全職員を対象としたデジタルスキル研修の実施、DX推進リーダーの育成、先進事例の庁内共有会の開催などが有効です。「デジタル化は自分には関係ない」という意識を変え、すべての職員がDXの当事者として業務改善に取り組む文化をつくりましょう。

リスキリング(学び直し)の機会を制度として整備し、職員が新しいスキルを習得しやすい環境をつくることも、中長期的なDX推進の支えです。

小さく始めて早く改善する

行政DXを一気に全庁展開しようとすると、コストやリスクが膨らみ、失敗した場合の影響も大きくなります。まずは特定の部署や業務でスモールスタートし、成功体験を積んだうえで段階的に拡大していくアプローチが効果的です。

小さな成功事例を庁内で共有することで、他の部署にも「自分たちもやってみよう」という機運が広がります。また、早い段階で効果を検証し、問題点を改善しながら進められるため、大規模な失敗を回避できます。

外部パートナーの活用

自治体単独でDXを推進するには限界があります。民間企業のDX人材を任期付き職員として採用する、外部コンサルタントの知見を活用する、複数の自治体が連携してデジタル人材を共同で採用・共有するといった、外部パートナーの活用が有効です。

特に小規模自治体では、広域連携による人材やシステムの共同利用が注目されています。単独では確保が難しい専門人材も、複数自治体で共有することでコストを抑えながら質の高いDX推進が可能です。

行政DXの今後の展望

2026年度以降、行政DXは新たなフェーズに入ります。今後の方向性を展望します。

自治体DX第2フェーズへの移行

自治体DXは、2021年1月から2026年3月までの期間で行政内部のデジタル化を中心に進められてきました。2026年度からは、この基盤を活用して「地域課題の解決」と「住民サービスの質向上」を実現する段階へ移行しつつあります。

これまでの取り組みでは、マイナンバーカードの普及促進、行政手続きのオンライン化、システム標準化の準備など、デジタル基盤の整備が中心でした。今後は、部署横断のデータ連携によるEBPMの実践、住民一人ひとりに最適化されたプッシュ型サービスの提供、AI・データ活用による政策の高度化など、デジタル技術で行政のあり方そのものを変革する段階に入っています。

生成AIの本格導入

自治体における生成AIの活用は、実証実験の段階から本格導入へと移行しつつあります。文書作成・要約、議事録の自動作成、住民向け案内文の多言語翻訳、政策立案の補助など、活用領域は多岐にわたります。

福岡県では、県と市町村が一体で生成AI基盤を共同利用する取り組みが進んでおり、自治体間の共同調達によるコスト削減と知見の共有が実現しています。今後は、住民向けのAIコンシェルジュや、データ分析に基づく政策提案AIなど、より高度な活用が期待されています。

【関連記事】
自治体におけるChatGPT活用の現状と導入事例、メリット・注意点を徹底解説

ガバメントクラウドへの移行加速

全国1,788の自治体が個別に構築・運用してきた基幹系システムを、国の共通基盤であるガバメントクラウドへ移行する大規模プロジェクトが進行中です。

2026年1月末時点で移行完了したシステムは全体の38.4%、移行済みシステムが1つ以上ある自治体は1,188団体(66.4%)です。移行が遅れているシステムについては個別に期限が設定されており、段階的な移行が続けられています。

ガバメントクラウドへの移行が完了すれば、システムの運用コスト削減、セキュリティの強化、自治体間のデータ連携の円滑化など、多くのメリットが見込まれます。

出典:デジタル庁「地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化」

行政DXに関してよくある質問

行政DXについて、よく寄せられる質問にお答えします。

行政DXと自治体DXの違いはなんですか?

行政DXは、国の行政機関(デジタル庁・各省庁)と地方自治体を含む行政全体のデジタルトランスフォーメーションを指す概念です。一方、自治体DXは地方自治体に焦点を当てた概念で、総務省の「自治体DX推進計画」に基づく取り組みを指します。

実務上はほぼ同義で使われることが多いですが、厳密には国の施策(デジタル庁主導のデジタル社会形成基本法に基づく取り組み)と、自治体独自の取り組み(総務省の推進計画に基づく取り組み)という違いがあります。

行政DXを進めるために自治体が最初にすべきことはなんですか?

まず、首長や幹部がDXへの理解を深め、推進の意思を明確に表明してください。トップのコミットメントなくして、全庁的なDXは進みません。

次に、DX推進担当の設置と全庁的なビジョンの共有を行います。そのうえで、現状の業務を棚卸しし、デジタル化による改善効果が大きい業務から着手するのが効果的です。いきなり大規模なシステム導入を目指すのではなく、小さな成功体験を積み重ねていくアプローチが推奨されます。

小規模自治体でも行政DXは実現できますか?

実現できます。むしろ、人口減少や職員不足の影響を大きく受ける小規模自治体こそ、DXによる業務効率化の恩恵は大きいといえます。

具体的な方法としては、複数自治体による広域連携でデジタル人材やシステムを共同利用する、国の地域未来交付金(旧:デジタル田園都市国家構想交付金)を活用する、クラウドサービスの導入により初期コストを抑えるといったアプローチがあります。北見市の窓口支援システムが全国75自治体に展開されている例のように、先行自治体の成功事例を横展開する仕組みも整いつつあります。

行政DXで住民と職員の双方にメリットのある変革を実現しよう

行政DXは、単なる業務のデジタル化ではなく、行政サービスのあり方そのものを変革する取り組みです。住民にとっては「いつでも、どこでも、簡単に」手続きができる利便性の向上、職員にとっては定型業務からの解放と、より付加価値の高い業務への集中を実現します。

2026年度は、自治体DXが行政内部のデジタル化に加え、行政サービスの価値創出も重視する段階への転換期です。改正地方自治法によるサイバーセキュリティを確保するための方針の義務化、公金収納のデジタル化、ガバメントクラウドへの移行加速など、制度面でも大きな変化が起きています。

行政DXを成功させるためには、BPRの徹底、職員のスキル向上、スモールスタートによる段階的な推進が欠かせません。まずは自組織の現状を把握し、DX推進計画を策定するところから始めてみてはいかがでしょうか。本記事で紹介した先進事例や推進ステップが、皆さまの取り組みの参考になれば幸いです。