企業が扱うデータ量は年々増加しており、写真や動画、ログデータといった非構造化データの管理が大きな課題となっています。従来のファイルサーバでは容量の拡張に限界があり、コストや運用負荷の面でも対応が難しくなりつつあります。
こうした背景から注目を集めているのが「オブジェクトストレージ」です。オブジェクトストレージとは、データを「オブジェクト」という単位で管理するストレージ方式であり、大容量の非構造化データを低コストかつ高い耐久性で保存できる点が特徴です。
本記事では、オブジェクトストレージの仕組みやファイルストレージ・ブロックストレージとの違い、導入メリット、具体的な活用分野までをわかりやすく解説します。
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オブジェクトストレージが注目される背景
オブジェクトストレージが注目される背景には、企業が扱うデータの量と種類が急速に変化している現状があります。デジタル化の進展により、従来の表計算データや業務データベースだけでなく、画像や動画、センサーデータ、メールといった非構造化データが爆発的に増加しています。こうしたデータは従来型のストレージでは効率的に管理しきれず、拡張性とコスト効率に優れた新しいストレージ方式が求められるようになりました。
オブジェクトストレージが注目される背景として、以下の2つの要因が挙げられます。
- 非構造化データの急増とストレージ課題
- AI・クラウド時代に求められるデータ基盤
非構造化データの急増とストレージ課題
オブジェクトストレージが注目される背景の一つ目は、非構造化データの急増です。IDCの予測によると、世界で生成されるデータの約80%が非構造化データになるとされています。写真や動画、音声ファイル、IoTセンサーから送信されるログデータなど、行と列で整理できない形式のデータが企業活動のあらゆる場面で生まれています。
従来のファイルサーバやNASは、ディレクトリの階層構造でデータを管理する仕組みのため、ファイル数や容量が増加するとパフォーマンスが低下しやすいです。数百万件を超えるファイルを格納すると、ディレクトリの検索処理に時間がかかり、バックアップにも膨大な時間を要します。さらに、容量を拡張するにはハードウェアの追加や設定変更が必要となり、運用コストが増大します。
こうした課題に対して、オブジェクトストレージは階層構造を持たないフラットな設計により、データ量が増えてもパフォーマンスが劣化しにくい特性を備えています。ペタバイト級のデータにも対応できる拡張性は、非構造化データの急増に直面する企業にとって有力な選択肢です。
出典:出典: IDC「Data Age 2025: The Digitization of the World From Edge to Core
AI・クラウド時代に求められるデータ基盤
オブジェクトストレージが注目される背景の二つ目は、AI・クラウド時代のデータ基盤としての需要の高まりです。生成AIや機械学習の普及に伴い、学習データの保存先として大量の非構造化データを長期間にわたって経済的に保持できるストレージが不可欠になっています。
AIモデルのトレーニングでは、画像や文書、音声といった多様な形式のデータを繰り返し読み込む処理が発生します。オブジェクトストレージは、こうした反復的なデータアクセスに対応しつつ、メタデータを活用してデータの分類や検索を効率化できる仕組みを備えています。加えて、クラウドファーストの潮流により、オンプレミスのストレージからクラウド上のオブジェクトストレージへデータを移行する企業も増加中です。
なお、クラウドオブジェクトストレージ市場は2025年の94億4,000万米ドルから2026年には109億7,000万米ドルへ拡大すると予測されており、年平均成長率は16.2%に達する見込みです。AIやアナリティクスのワークロード拡大が市場成長の主要因として挙げられています。
出典:The Business Research Company「Cloud Object Storage Global Market Report 2026」
オブジェクトストレージの仕組み
オブジェクトストレージの仕組みは、データを「オブジェクト」という独立した単位で管理する点に最大の特徴があります。従来のファイルストレージがフォルダの階層構造でデータを整理するのに対し、オブジェクトストレージはフラットなアドレス空間にデータを格納し、一意の識別子(ID)を使ってアクセスします。
オブジェクトストレージの仕組みを理解するうえで重要なポイントは以下の3つです。
- オブジェクトを構成する3つの要素
- フラットな名前空間とREST APIによるアクセス
- 分散設計による高い耐障害性
オブジェクトを構成する3つの要素
オブジェクトストレージの仕組みの基本となるのは、データ本体・メタデータ・一意の識別子という3つの要素で構成される「オブジェクト」の概念です。
データ本体は、画像ファイルやログデータなど実際に保存したい情報そのものを指します。メタデータは、データ本体に付随する属性情報です。ファイル名や作成日時といった基本情報に加え、「撮影場所」「プロジェクト名」「データの機密レベル」など、利用者が自由に定義できるカスタム属性を付与できます。このカスタムメタデータにより、ディレクトリ構造に頼らずともデータの分類や検索が可能になります。
一意の識別子は、各オブジェクトに割り当てられる重複のないIDです。ファイルストレージではファイルパス(例: /home/user/document.pdf)でデータの場所を特定しますが、オブジェクトストレージでは識別子を指定するだけでデータにアクセスできます。この仕組みにより、フォルダの階層が深くなることによるパフォーマンス低下を回避できます。
フラットな名前空間とREST APIによるアクセス
オブジェクトストレージの仕組みにおけるもう一つの特徴は、フラットな名前空間とHTTP/REST APIによるアクセス方式です。
フラットな名前空間とは、すべてのオブジェクトが同一の階層に並ぶ構造を意味します。ファイルストレージのようにフォルダを入れ子にする必要がないため、データの格納先を設計する手間が省け、オブジェクト数が増えても検索速度が低下しにくい利点があります。なお、多くのクラウドサービスでは「バケット」と呼ばれる論理的なコンテナを用いてオブジェクトをグループ化できますが、これはあくまで管理上の区分であり、内部的にはフラットな構造が維持されています。
データへのアクセスには、HTTP/REST APIが使われます。PUT(書き込み)やGET(読み取り)、DELETE(削除)といった標準的なHTTPメソッドでデータを操作できるため、特定のOSやプラットフォームに依存しません。Webブラウザやモバイルアプリ、サーバサイドのプログラムなど、あらゆる環境からデータにアクセスできる柔軟性を備えています。
分散設計による高い耐障害性
オブジェクトストレージの仕組みを支える基盤技術が、分散設計による高い耐障害性です。データを複数の物理ノードやデータセンターに分散して保存することで、特定のハードウェアが故障してもデータが失われない設計になっています。
分散保存の方式には、主にレプリケーションとイレージャーコーディングの2種類があります。レプリケーションは、同一のデータを複数のノードにコピーする方式です。単純で信頼性が高い反面、コピー数に比例してストレージ容量を消費します。一方で、イレージャーコーディングは、データを複数の断片に分割し、数学的な冗長データ(パリティ)を付加して分散保存する方式です。一部の断片が失われても残りの断片とパリティから元のデータを復元できるため、レプリケーションよりも少ない容量で同等以上の耐障害性を実現できます。
なお、代表的なクラウドオブジェクトストレージであるAmazon S3は、99.999999999%(イレブンナイン)のデータ耐久性を実現するよう設計されており、デフォルトで最低3つのアベイラビリティーゾーンにデータを冗長保存しています。
出典:Amazon Web Services「Amazon S3 ストレージクラス」
ファイルストレージ・ブロックストレージとの違い
オブジェクトストレージの特性をより深く理解するには、ファイルストレージやブロックストレージとの違いを把握することが重要です。ストレージ方式にはそれぞれ得意な領域があり、データの種類やアクセスパターンに応じて使い分けることが求められます。
3つのストレージ方式の違いを、データ構造やアクセス方式、スケーラビリティ、コスト、適した用途の観点で整理すると、以下のとおりです。
| 比較項目 | ファイルストレージ | ブロックストレージ | オブジェクトストレージ |
|---|---|---|---|
| データ構造 | 階層型(ディレクトリ) | 固定サイズのブロック | フラット(オブジェクト単位) |
| アクセス方式 | NFS / SMB | iSCSI / FC | HTTP / REST API |
| スケーラビリティ | 中程度(拡張にハードウェア変更が必要) | 中程度(ボリューム単位で拡張) | 高い(ノード追加で容量無制限に拡張可能) |
| レイテンシ | 低〜中 | 低い(高速I/O) | 中〜高 |
| GB単価 | 中程度 | 高い | 低い |
| メタデータ | 限定的(ファイル名・日時など) | 最小限 | 豊富(カスタム属性を自由に付与可能) |
| 適した用途 | ファイル共有、ドキュメント管理 | データベース、仮想マシン | バックアップ、アーカイブ、メディア配信、データレイク |
この比較表からわかるように、オブジェクトストレージはスケーラビリティとコスト効率に優れており、大量データの長期保存に適しています。一方で、レイテンシはブロックストレージより高いため、データベースのようなリアルタイム処理には向いていません。
ファイルストレージとの違い
ファイルストレージとオブジェクトストレージの違いは、データの管理構造にあります。ファイルストレージはツリー状の階層でデータを格納するため、少量から中量のファイル共有には適していますが、ファイル数が数百万件を超えるとディレクトリの走査に時間がかかり、パフォーマンスが低下する傾向があります。また、容量の拡張にはハードウェアの追加や再構成が必要となるケースが多く、ペタバイト級のデータ管理には向いていません。
ファイルストレージは、ディレクトリの階層構造でデータを管理する方式であり、NAS(Network Attached Storage)として広く普及しています。パソコンのフォルダ構造と同じ感覚で操作できるため、ITに詳しくないユーザーでも直感的にファイルを整理・共有できる点が強みです。
社内のドキュメント共有やチーム間のファイル連携など、リアルタイムでの編集・更新が頻繁に発生する用途では、ファイルストレージが適した選択肢です。
ブロックストレージとの違い
ブロックストレージとオブジェクトストレージの違いは、アクセス速度と用途にあります。ブロックストレージは低レイテンシで高速なI/O処理を実現できるため、データベースや仮想マシンのディスクなど、ミリ秒単位の応答速度が求められるワークロードに最適です。一方で、GB単価がオブジェクトストレージより高く、大量の非構造化データを長期保存する用途にはコスト面で不利になります。
ブロックストレージは、データを固定サイズのブロックに分割して管理する方式であり、SAN(Storage Area Network)として利用されるケースが一般的です。各ブロックには固有のアドレスが割り当てられ、OSやアプリケーションがブロック単位でデータを読み書きします。
トランザクション処理が頻繁に発生する業務システムや、仮想化基盤のストレージとしてはブロックストレージが適しています。
オブジェクトストレージのメリット
オブジェクトストレージのメリットは、大量データの管理における拡張性・コスト効率・耐久性の3点です。従来のストレージ方式では対応が難しかった課題を解決できる仕組みを備えており、クラウド時代のデータ管理基盤として多くの企業に採用されています。
オブジェクトストレージの主なメリットは以下のとおりです。
- 容量無制限のスケーラビリティ
- 低コストで運用できる料金体系
- 高い耐久性と可用性を実現する設計
- メタデータを活用したデータ整理・分類
容量無制限のスケーラビリティ
オブジェクトストレージのメリットとして最も大きいのは、容量無制限のスケーラビリティです。フラットな名前空間にオブジェクトを格納する設計のため、ストレージノードを追加するだけで容量を拡張できます。
ファイルストレージでは、ディレクトリ構造の制約やファイルシステムの上限により、一定規模を超えると再設計が必要になるケースがあります。オブジェクトストレージにはこうした構造的な制約がなく、テラバイトからペタバイト、さらにはエクサバイト級のデータにも対応可能です。データ量の増加に応じてノードを追加するだけで済むため、将来のデータ増加を見越した過剰投資を避けられるメリットもあります。
企業のデータ量が年々増加し続ける状況において、スケーラビリティの高さはストレージ選定における重要な判断基準です。
低コストで運用できる料金体系
オブジェクトストレージのメリットとして、低コストで運用できる料金体系も見逃せません。クラウド型のオブジェクトストレージは従量課金モデルが基本であり、使用した容量に応じて料金が発生する仕組みです。
ブロックストレージと比較すると、GB単価が大幅に低い点が特徴です。大量のデータを長期間保存する場合、この単価差は総コストに大きく影響します。さらに、オブジェクトストレージはハードウェアの調達や物理的な保守が不要なため、運用にかかる人的コストも削減できます。多くのクラウドサービスでは、アクセス頻度に応じた複数のストレージクラスが用意されており、頻繁にアクセスするデータとアーカイブ用のデータで料金を最適化することも可能です。
初期投資を抑えつつ、データ量の増減に柔軟に対応できる料金体系は、コスト最適化を重視する企業にとって大きなメリットです。
高い耐久性と可用性を実現する設計
オブジェクトストレージのメリットには、高い耐久性と可用性を実現する設計も含まれます。データを複数の物理拠点に分散して保存する仕組みにより、ハードウェア障害や自然災害が発生してもデータを失うリスクを極めて低く抑えられます。
前述のとおり、Amazon S3は99.999999999%(イレブンナイン)のデータ耐久性を実現するよう設計されています。この数値は、1万個のオブジェクトを保存した場合に平均して1,000万年に1個のオブジェクトが失われる確率に相当します。複数のアベイラビリティーゾーンにまたがる冗長化により、単一のデータセンターが停止しても他の拠点からデータにアクセスできる設計です。
BCP(事業継続計画)やDR(災害復旧)対策を重視する企業にとって、オブジェクトストレージの耐久性と可用性は信頼できるデータ保護基盤となります。
メタデータを活用したデータ整理・分類
オブジェクトストレージのメリットとして、メタデータを活用した高度なデータ整理・分類が可能な点も挙げられます。各オブジェクトにカスタムメタデータを付与できるため、ファイル名やフォルダ構造に依存しない柔軟な分類・管理が可能です。
たとえば、画像データに「撮影日」「撮影場所」「プロジェクト名」「承認ステータス」といった属性を付与しておけば、特定の条件に合致するデータだけを効率的に整理できます。ファイルストレージではフォルダ名やファイル名に情報を埋め込む運用が一般的ですが、この方法では検索の柔軟性に限界があります。
メタデータによる管理は、データガバナンスやコンプライアンス対応にも有効です。データの保持期間や機密レベルをメタデータとして記録しておくことで、ポリシーに基づいた自動的なデータ管理が可能になります。
オブジェクトストレージ利用時の注意点
オブジェクトストレージの利用時には、いくつか注意点があります。用途に応じてファイルストレージやブロックストレージと組み合わせて運用することが現実的な選択です。
頻繁なデータの書き換えには不向きである
オブジェクトストレージの注意点として、頻繁なデータの書き換えには不向きである点には注意しましょう。
その理由として、オブジェクトストレージは既存のオブジェクトを部分的に更新することはできず、変更する場合はオブジェクト全体を上書きする必要があるためです。
レイテンシがブロックストレージより高い傾向がある
オブジェクトストレージの注意点として、レイテンシがブロックストレージより高い傾向がある点にも注意が必要です。
HTTP/REST APIを介したアクセスとなるため、ミリ秒単位の応答速度が求められるリアルタイム処理には向いていません。さらに、既存のファイルサーバからオブジェクトストレージへ移行する際には、アプリケーションのアクセス方式を変更する設計作業が必要になる場合があります。
得意領域が異なる
オブジェクトストレージを含めた3つのストレージ方式にはそれぞれ得意な領域があり、単一の方式ですべてのニーズを満たすことは現実的ではない点に注意が必要です。
社内のドキュメント共有やリアルタイム編集にはファイルストレージ、データベースや仮想マシンの基盤にはブロックストレージ、大量データの長期保存やメディア配信、データレイクにはオブジェクトストレージが適しています。実際の運用では、これらを組み合わせたハイブリッド構成を採用する企業も増えています。
ストレージ方式の選定にあたっては、データの種類やアクセス頻度、保存期間、コスト要件を総合的に評価し、自社の業務要件に最適な組み合わせを検討する必要があることを覚えておきましょう。
オブジェクトストレージの主な活用分野
オブジェクトストレージの主な活用分野は、大容量データの長期保存やメディア配信、AI基盤など多岐にわたります。スケーラビリティと低コストという特性を活かし、さまざまな業種・用途で採用が進んでいます。
オブジェクトストレージが特に力を発揮する代表的な活用分野を紹介します。
- バックアップ・アーカイブによる長期データ保存
- 動画・画像などリッチメディアの配信基盤
- AI・ビッグデータ分析のデータレイク
- IoT・クラウドネイティブアプリケーション
バックアップ・アーカイブによる長期データ保存
オブジェクトストレージの活用分野として最も一般的なのは、バックアップやアーカイブによる長期データ保存です。低コストで大容量のデータを保存でき、高い耐久性によってデータの消失リスクを最小限に抑えられます。
従来、長期保存にはテープバックアップが広く使われていましたが、テープはデータの取り出しに時間がかかり、物理的な保管スペースも必要です。オブジェクトストレージであれば、ネットワーク経由で必要なデータに即座にアクセスでき、物理的な保管場所の制約もありません。多くのクラウドサービスでは、アクセス頻度の低いデータ向けに低価格のストレージクラスが用意されており、アーカイブ用途のコストをさらに抑えることが可能です。
法令で一定期間の保存が義務づけられているデータや、将来の分析に備えて蓄積しておきたいデータの保管先として、オブジェクトストレージは合理的な選択肢です。
動画・画像などリッチメディアの配信基盤
オブジェクトストレージの活用分野として、動画や画像などリッチメディアの配信基盤も代表的です。大容量のメディアファイルを効率的に保存し、CDN(Content Delivery Network)と連携して高速に配信する仕組みを構築できます。
動画配信サービスやECサイトの商品画像、企業の研修動画など、メディアファイルは1ファイルあたりの容量が大きく、ファイル数も膨大になりがちです。オブジェクトストレージは容量の上限を気にせずデータを格納でき、HTTP/REST APIを通じてWebアプリケーションから直接データを取得できるため、配信基盤との親和性が高い設計です。
メディアコンテンツの増加が見込まれる事業では、スケーラビリティとコスト効率を兼ね備えたオブジェクトストレージが配信基盤の中核を担います。
AI・ビッグデータ分析のデータレイク
オブジェクトストレージの活用分野として近年特に注目されているのが、AIやビッグデータ分析のデータレイクとしての利用です。データレイクとは、構造化データと非構造化データを区別せずに一元的に蓄積する保存領域を指します。
AIモデルの学習には、テキストや画像、音声、ログデータなど多様な形式のデータが必要です。オブジェクトストレージは形式を問わずあらゆるデータを格納でき、メタデータによる分類・検索も可能なため、データレイクの基盤として適しています。蓄積したデータをBIツールや機械学習フレームワークから直接参照し、分析や学習に活用するアーキテクチャが広がっています。
なお、生成AI時代においては、学習データの反復的な読み込みやファインチューニング用データの長期保存など、従来とは異なるアクセスパターンが求められています。オブジェクトストレージは、こうしたAIワークロードに対応できるデータ基盤として、その重要性がさらに高まっています。
出典:Wasabi Technologies「生成AI時代のオブジェクトストレージ:ルールの再構築」
IoT・クラウドネイティブアプリケーション
オブジェクトストレージの活用分野には、IoTやクラウドネイティブアプリケーションのデータストアとしての利用も含まれます。IoTデバイスから送信されるセンサーデータは、1件あたりのサイズは小さいものの、デバイス数と送信頻度に比例して膨大な量に達します。
オブジェクトストレージは、こうした大量の小サイズデータを低コストで蓄積し、後から分析に活用できる基盤を提供します。各データにメタデータとしてデバイスIDやタイムスタンプ、位置情報などを付与しておけば、特定の条件に合致するデータだけを効率的に抽出することも可能です。
クラウドネイティブアプリケーションにおいても、S3互換APIの普及により、オブジェクトストレージをデータストアとして組み込む設計が標準的になっています。コンテナ環境やサーバレスアーキテクチャとの連携が容易な点も、採用が広がる要因です。
オブジェクトストレージに関してよくある質問
オブジェクトストレージはどのようなデータの保存に向いていますか?
動画や画像、音声ファイル、ログデータ、バックアップデータなど、大容量の非構造化データの保存に最適です。一方で、データベースのように頻繁に書き換えが発生する用途には向いていません。頻繁な更新が必要なデータにはブロックストレージが適しています。
ファイルサーバやNASの代わりとして使えますか?
完全な代替は難しいものの、大容量データの保存・配信用途では代替可能です。ファイルサーバはリアルタイムでの編集や共同作業に適しており、オブジェクトストレージは大量データの蓄積・配信に適しています。両者を併用し、用途に応じて使い分けるのが現実的な運用方法です。
オブジェクトストレージの導入コストはどのくらいですか?
クラウド型のオブジェクトストレージは初期費用が不要で、従量課金が基本です。GB単価はブロックストレージの数分の1程度に抑えられるケースが一般的です。ただし、データの読み出しや外部への転送(エグレス)に別途料金が発生するサービスもあるため、保存料金だけでなく転送料金も含めた総コストを試算することが重要です。
オブジェクトストレージを理解してデータ管理を最適化しよう
オブジェクトストレージは、データをオブジェクト単位で管理し、フラットな名前空間とREST APIによるアクセスを特徴とするストレージ方式です。容量無制限のスケーラビリティや低コストの料金体系、99.999999999%の耐久性といったメリットにより、バックアップやメディア配信、AIのデータレイクなど幅広い分野で活用されています。
ファイルストレージやブロックストレージとは得意な領域が異なるため、自社のデータの種類やアクセスパターン、コスト要件を踏まえて最適な方式を選定することが重要です。データ量の増加が続く現在、オブジェクトストレージの特性を正しく理解し、データ管理の最適化に役立てていただければ幸いです。


