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Web3とは?ブロックチェーンの仕組みや関連技術をわかりやすく解説

Web3とは?

Web3(ウェブスリー)とは、ブロックチェーン技術を基盤とした次世代の分散型インターネットを指す概念です。

しかし、Web3とはそもそも何を意味するのか、従来のWeb2.0とはどう違うのか、NFTやDAOといった関連技術はどのように関わるのか、そして自社のビジネスにどう影響するのかといった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

本記事では、Web3の定義や仕組みから、ブロックチェーン技術の基礎、メリット・デメリット、関連技術の全体像、そして2026年の最新トレンドまで、JAPAN AIが網羅的に解説します。

Web3とは

Web3とは、ブロックチェーン技術を基盤とした分散型インターネットの概念であり、特定の企業や管理者に依存せずにユーザー同士が直接つながる次世代のネットワーク環境を指します。

従来のインターネットでは、GoogleやAmazonなどの巨大プラットフォーム企業がデータを集中管理し、サービスの提供と引き換えにユーザーの個人情報や行動データを収集してきました。Web3はこの構造を根本から見直し、ブロックチェーンという分散型の台帳技術を活用することで、データの管理権限をユーザー自身に取り戻す仕組みを実現しようとしています。

総務省の令和5年版情報通信白書でも、Web3は「プラットフォーマー等の仲介者を介さずに個人と個人がつながり、双方向でのデータ利用・分散管理を行うことが可能になる」環境として定義されています。

なお、Web3は「Web3.0(セマンティックウェブ)」とは異なる概念です。セマンティックウェブが情報に意味を付与して機械が自律的に処理する技術を指すのに対し、Web3はブロックチェーンによるデータの分散管理と所有権の移転に焦点を当てています。

Web3の本質は、インターネット上の「信頼」の仕組みを変えることにあるといえます。

出典:総務省「令和5年版 情報通信白書|Web3とは」

Web1.0・Web2.0との違い

Web3の特徴を正確に理解するには、インターネットの進化の歴史をWeb1.0からWeb2.0、そしてWeb3へと時系列で整理することが有効です。

Web1.0は1990年代から2000年代初頭にかけてのインターネット黎明期を指し、「読む(Read)」だけの一方向型が特徴でした。企業や個人がホームページを公開し、ユーザーはそれを閲覧するだけの受動的な利用形態です。代表的なサービスとしてはYahoo!のディレクトリ型検索や個人のホームページが挙げられます。

Web2.0は2000年代半ば以降に普及した「読む+書く(Read + Write)」の双方向型インターネットです。SNSやブログ、動画共有サイトの登場により、ユーザー自身がコンテンツを発信できるようになりました。FacebookやYouTube、X(旧Twitter)がこの時代を象徴するサービスです。ただし、ユーザーが生成したデータはプラットフォーム企業が管理・所有しており、データの独占やプライバシーの問題が顕在化しました。

Web3は「読む+書く+所有する(Read + Write + Own)」の時代です。ブロックチェーン技術により、ユーザーは自分のデータやデジタル資産を自ら所有・管理できるようになります。プラットフォーム企業を介さずに個人間で直接取引が可能になる点が、Web2.0との根本的な違いです。

世代時期特徴ユーザーの役割代表例
Web1.01990年代〜2000年代初頭一方向・閲覧のみ読む(Read)Yahoo!、個人ホームページ
Web2.02000年代半ば〜現在双方向・プラットフォーム依存読む+書く(Read + Write)Facebook、YouTube、X
Web32020年代〜分散型・ユーザー主権読む+書く+所有する(Read + Write + Own)Brave、OpenSea、Uniswap

このように、Web3はインターネットの進化における第三段階として、データの所有権をプラットフォームからユーザーへ移行させる点に最大の意義があります。

なぜ今Web3が注目されているのか

Web3が注目を集める背景には、Web2.0時代に蓄積された構造的な課題が深く関わっています。

まずはデータの独占問題があります。Web2.0ではGAFAMに代表される巨大プラットフォーム企業にユーザーデータが集中し、個人の行動履歴や購買データが企業の収益源として活用されてきました。総務省の情報通信白書でも「サービス基盤を提供するプラットフォーマーへデータが過度に集中」している状況が課題として指摘されています。

そして、プライバシーの懸念です。大量の個人情報が一箇所に集約されることで、情報漏洩のリスクが高まり、ユーザーが自身のデータをコントロールできない状態が続いてきました。

Web3が注目を集める背景には、プラットフォーム依存のリスクもあります。サービス提供者の判断でアカウントが停止されたり、利用規約の変更によってコンテンツが削除されたりする事態が発生しています。

こうした課題に対し、日本政府も骨太方針2022においてWeb3の環境整備を明記し、経済産業省を中心にWeb3推進の事業環境整備を進めています。

Web3への注目は一時的なトレンドではなく、インターネットの構造的課題を解決する手段として期待されているといえます。

出典:総務省「令和5年版 情報通信白書|Web3とは」

Web3の仕組みとブロックチェーン技術

Web3の分散型ネットワークを技術面で支えているのがブロックチェーンであり、この技術なくしてWeb3は成立しません。

ブロックチェーンは、取引データを「ブロック」と呼ばれる単位にまとめ、それを時系列に沿って鎖のように連結して記録する分散型の台帳技術です。従来のデータベースが中央のサーバーで一元管理されるのに対し、ブロックチェーンではネットワークに参加する多数のコンピュータ(ノード)がデータの複製を保持します。

この仕組みにより、特定の管理者がいなくてもデータの正当性が担保され、Web3が掲げる「非中央集権」の理念が技術的に実現されています。

ブロックチェーンとは

ブロックチェーンとは、取引記録を分散して管理する台帳技術であり、データの改ざんが極めて困難な仕組みを備えています。

具体的には、一定期間内に発生した取引データが1つの「ブロック」にまとめられ、直前のブロックの情報(ハッシュ値)を含んだ状態で次のブロックに連結されます。ハッシュ値とは、データを固定長の文字列に変換した値であり、元のデータが1文字でも変わると全く異なる値になる性質を持ちます。

過去のブロックを改ざんしようとすると、そのブロック以降のすべてのハッシュ値が変わるため、ネットワーク全体で不整合が検出されます。さらに、このデータはネットワーク上の数千から数万のノードに分散して保存されているため、特定のサーバーを攻撃してもデータを書き換えることは事実上不可能です。

この改ざん耐性と透明性こそが、Web3において「信頼できる第三者」を不要にする技術的な根拠です。

ブロックチェーンの仕組み

ブロックチェーンが正しく機能するためには、ネットワーク参加者全員が取引の正当性について合意する仕組みが必要であり、これをコンセンサスアルゴリズム(合意形成の仕組み)と呼びます。

代表的なコンセンサスアルゴリズムには、PoW(Proof of Work)とPoS(Proof of Stake)の2種類があります。PoWは膨大な計算処理を行い、最も早く正解を見つけたノードがブロックを生成する方式で、ビットコインが採用しています。一方、PoSは暗号資産のステークを前提にブロック生成の権利が割り当てられる方式で、イーサリアムが2022年にPoWからPoSへ移行しました。PoSはPoWと比較して消費電力が大幅に少なく、環境負荷の低減に寄与しています。

もう一つの重要な技術がスマートコントラクトです。スマートコントラクトとは、あらかじめプログラムされた条件が満たされると自動的に契約を実行する仕組みを指します。たとえば、「商品が届いたら代金を自動で支払う」といった処理を、人手を介さずにブロックチェーン上で完結できます。この技術がNFTの売買やDeFiの金融取引など、Web3上のさまざまなサービスの基盤を支えています。

コンセンサスアルゴリズムとスマートコントラクトの組み合わせにより、管理者不在でも信頼性の高い取引が実現されている点が、Web3の技術的な核心です。

Web3の特徴

Web3の特徴は、非中央集権化やデータの自己管理、透明性の向上といった、従来のインターネットにはなかった構造的な変化にあります。

Web3が従来のWeb2.0と根本的に異なるのは、データやサービスの管理構造そのものが変わる点です。以下の3つの特徴が、Web3の本質を形づくっています。

  • 非中央集権化
  • データの所有権がユーザーにある
  • 透明性とセキュリティの向上

非中央集権化

Web3における非中央集権化とは、特定の企業や管理者に依存せず、ネットワーク参加者全体でシステムを運営する仕組みを意味します。

Web2.0の世界では、GAFAMをはじめとする巨大プラットフォーム企業がサービスの提供からデータの管理まで一手に担ってきました。ユーザーはサービスを利用する対価として、自身の個人情報や行動データを企業に提供する構造が定着しています。

Web3ではブロックチェーン技術を活用し、データをネットワーク上の多数のノードに分散して管理します。特定の企業がデータを独占することがなくなるため、サービス提供者の都合によるアカウント停止やデータ削除といったリスクも軽減されます。

非中央集権化は、インターネットにおける権力構造を再分配し、ユーザーの自律性を高める基盤として機能しています。

データの所有権がユーザーにある

Web3では、ユーザーが自分自身のデータを所有・管理できる「自己主権型」の仕組みが実現されます。

Web2.0のサービスでは、ユーザーが投稿した写真や文章、購買履歴などのデータは、プラットフォーム企業の利用規約に基づいて企業側が管理しています。サービスが終了すればデータも消失し、ユーザーには実質的な所有権がありません。Web3では、暗号技術を用いた「ウォレット」と呼ばれるデジタル財布を通じて、ユーザーが自分のデータやデジタル資産を直接管理します。ウォレットの秘密鍵を持つ本人だけがデータにアクセスでき、第三者の許可なく自由に移動や取引が可能です。

データの所有権がユーザーに帰属することで、プライバシーの保護と個人の経済的自律が同時に実現される点が、Web3の大きな特徴です。

透明性とセキュリティの向上

ブロックチェーン上に記録された取引データは誰でも閲覧可能であり、高い透明性と堅牢なセキュリティが両立されています。

ブロックチェーンの取引履歴は公開台帳として記録されるため、不正な取引や改ざんがあれば誰でも検証できます。この透明性は、金融取引やサプライチェーン管理など、信頼性が求められる領域で特に価値を発揮します。セキュリティ面では、データが数千以上のノードに分散して保存されるため、従来の中央集権型システムのように単一のサーバーを攻撃してデータを盗み出すことが極めて困難です。仮に一部のノードが攻撃を受けても、他のノードが正しいデータを保持しているため、システム全体の信頼性は維持されます。

透明性とセキュリティの両立は、Web3が「信頼のインターネット」と呼ばれる所以です。

Web3に関連する技術

Web3のエコシステムは、NFTやDAO、DeFi、メタバース、暗号資産といった複数の技術要素によって構成されています。

これらの技術はそれぞれ独立した概念でありながら、ブロックチェーンという共通基盤の上で相互に連携し、Web3の世界を形づくっています。各技術がWeb3の中でどのような役割を果たしているかを理解することで、Web3の全体像がより明確に見えてきます。

  • NFT(非代替性トークン)
  • DAO(分散型自律組織)
  • DeFi(分散型金融)
  • メタバース
  • 暗号資産(仮想通貨)

NFT(非代替性トークン)

NFT(Non-Fungible Token)とは、デジタルデータに紐づくトークンに唯一無二の識別情報を付与し、代替できないトークンとして扱う技術です。

従来、デジタルデータは容易にコピーできるため、オリジナルと複製の区別がつきませんでした。NFTはブロックチェーン上にトークンの保有者や取引履歴を記録することで、デジタルアートや音楽、ゲーム内アイテムなどに「本物であること」の証明として用いられます。

たとえば、あるデジタルアート作品がNFTとして発行されると、そのNFTの保有者や取引履歴がブロックチェーン上に記録され、転売時のロイヤリティに関する設定を示す仕組みを構築できます。

NFTはWeb3において、デジタルコンテンツの所有権と経済的価値を結びつける重要な技術です。

DAO(分散型自律組織)

DAO(Decentralized Autonomous Organization)とは、スマートコントラクトによって運営される中央管理者のいない新しい組織形態です。

従来の企業組織では、経営者や取締役会が意思決定を行い、その決定がトップダウンで実行されます。DAOでは、組織の運営ルールがスマートコントラクトとしてブロックチェーン上にプログラムされており、メンバーがガバナンストークン(投票権を持つトークン)を用いて提案や投票を行います。投票結果に基づいてスマートコントラクトが自動的に実行されるため、特定の個人や企業の恣意的な判断に左右されない透明な組織運営が可能です。

DAOは、Web3が目指す非中央集権的な社会の実現において、組織のあり方そのものを変革する可能性を秘めています。

DeFi(分散型金融)

DeFi(Decentralized Finance)とは、銀行や証券会社などの金融仲介機関を介さずに、ブロックチェーン上で金融サービスを提供する仕組みです。

従来の金融システムでは、送金や融資、資産運用などのサービスを利用するために銀行口座の開設や本人確認が必要であり、手数料や処理時間も発生します。DeFiではスマートコントラクトが金融機関の役割を代替し、ユーザーがウォレットを接続するだけで暗号資産の交換や貸し借り、流動性の提供といったサービスを利用できます。

代表的なサービスとしては、暗号資産の交換を行うDEX(分散型取引所)のUniswapや、暗号資産を担保に別の暗号資産を借り入れるレンディングプロトコルのAaveなどがあります。

DeFiは、金融サービスへのアクセスを民主化し、仲介コストを削減するWeb3の代表的な応用領域です。

メタバース

メタバースとは、インターネット上に構築された三次元の仮想空間であり、Web3の技術と組み合わせることで独自の経済圏を形成できます。メタバース自体はWeb3固有の概念ではありませんが、ブロックチェーンやNFTと組み合わせることで、仮想空間内のアイテムや土地に経済的な価値を持たせることが可能です。

たとえば、メタバース内の仮想土地をNFTとして売買したり、アバターが着用するデジタルファッションをNFTとして取引したりする事例が生まれています。The Sandboxのようなブロックチェーンベースのメタバースでは、ユーザーが仮想空間内でゲームやイベントを開催し、暗号資産で収益を得ることも可能です。

メタバースとWeb3の融合は、デジタル空間における新たな経済活動の基盤を築いています。

暗号資産(仮想通貨)

暗号資産とは、ブロックチェーン技術を用いて発行・管理されるデジタル通貨であり、Web3エコシステム全体の決済・報酬手段として機能しています。

代表的な暗号資産であるビットコインは、中央銀行を介さないP2P(個人間)の電子決済システムとして2009年に誕生しました。イーサリアムはスマートコントラクト機能を備えたプラットフォームであり、NFTやDeFi、DAOなどWeb3上のサービスの多くがイーサリアムのブロックチェーン上で動作しています。

暗号資産はWeb3のサービスを利用する際の手数料(ガス代)の支払いや、DAOにおけるガバナンスへの参加権、DeFiでの運用資産など、多様な役割を担っています。

暗号資産は、Web3の経済活動を支える基軸通貨としての役割を果たしています。

Web3のメリット

Web3のメリットは、個人情報の自己管理やコスト削減、セキュリティの強化といった、ユーザーと企業の双方にとって実利のある変化をもたらす点にあります。

Web3がもたらす恩恵は、技術的な革新にとどまらず、ビジネスモデルや個人の権利保護にまで及びます。以下の3つのメリットが、Web3の実用的な価値を示しています。

  • 個人情報を自分自身で管理できる
  • 中間業者が減りコストが下がる
  • セキュリティが強化されている

個人情報を自分自身で管理できる

Web3のメリットとして最も注目されるのは、ユーザーが自分の個人情報を自ら管理・コントロールできる点です。

Web2.0のサービスでは、ログインのたびにメールアドレスやパスワード、場合によっては住所や電話番号といった個人情報をプラットフォーム企業に預ける必要があります。企業側のセキュリティ対策が不十分であれば、大規模な情報漏洩につながるリスクも否定できません。

Web3では、ウォレットアドレスを用いてサービスに接続するため、メールアドレスやパスワードを使わずに利用できる場合があります。ユーザーは自分のデータを自分で管理し、どのサービスにどの情報を開示するかを自らの判断で決定できます。

個人情報の自己管理は、プライバシー保護の観点からWeb3の最も実践的なメリットです。

中間業者が減りコストが下がる

Web3では仲介者を介さない直接取引が可能になるため、手数料や中間コストの削減というメリットが生まれます。

従来の金融取引では、銀行や決済代行会社、証券会社などの仲介機関が取引の信頼性を担保する代わりに手数料を徴収してきました。国際送金であれば数千円の手数料と数日の処理時間が発生することも珍しくありません。

Web3ではスマートコントラクトが仲介機関の役割を代替するため、取引にかかるコストと時間を大幅に圧縮できます。DeFiのプロトコルを利用すれば、暗号資産の送金は数分で完了し、手数料も従来の金融機関と比較して低く抑えられます。

中間コストの削減は、特に国際取引や少額決済の分野でWeb3の実用的な価値を発揮します。

セキュリティが強化されている

Web3のメリットとして、分散型ネットワークによるセキュリティの強化が挙げられます。

中央集権型のシステムでは、データが1つのサーバーに集約されているため、そのサーバーが攻撃を受けるとシステム全体が停止し、大量のデータが流出するリスクがあります。これを「単一障害点」と呼びます。Web3のブロックチェーンでは、データが世界中の数千以上のノードに分散して保存されるため、単一障害点が存在しません。一部のノードがダウンしても、残りのノードがネットワークを維持し続けます。

また、ブロックチェーンの暗号技術とコンセンサスアルゴリズムにより、データの改ざんには膨大な計算資源が必要となるため、実質的に改ざんは困難です。

分散型アーキテクチャによるセキュリティの強化は、Web3が企業のインフラとしても信頼される基盤を提供しています。

Web3のデメリット・課題

Web3にはメリットだけでなく、ユーザーのリテラシー要求や自己責任の重さ、法整備の遅れといった課題も存在します。

Web3の理念は革新的ですが、現時点では技術的・制度的に未成熟な部分が残されています。メリットと課題の両面を正確に把握することが、Web3を適切に評価するうえで不可欠です。

  • ユーザーに高いリテラシーが必要
  • トラブルは自己責任となる
  • 法整備が進展途上である

ユーザーに高いリテラシーが必要

Web3のデメリットとして、利用にあたって一定の技術的知識が求められる点が挙げられます。

Web3のサービスを利用するには、ウォレットの作成や秘密鍵の管理、ガス代(取引手数料)の概念の理解など、Web2.0のサービスでは不要だった知識が必要です。秘密鍵を紛失すると、ウォレット内の資産に二度とアクセスできなくなるため、バックアップの管理も重要です。Web2.0のサービスであれば、パスワードを忘れてもメールアドレスを使ってリセットできますが、Web3にはそのような救済措置が基本的に存在しません。

ただし、2026年現在はアカウント抽象化と呼ばれる技術の普及が進んでおり、秘密鍵を意識せずにWeb3サービスを利用できる環境が整いつつあります。技術的なハードルは徐々に下がっていますが、現時点では依然として一般ユーザーにとっての障壁です。

トラブルは自己責任となる

Web3では管理者が存在しないため、詐欺被害や操作ミスによる損失を補償してもらえないというデメリットがあります。

中央集権型のサービスでは、不正取引が発生した場合にサービス提供者が調査・補償を行う仕組みが整っています。銀行であれば不正送金の被害を補填する制度があり、クレジットカード会社にもチャージバックの仕組みがあります。

Web3では、誤ったアドレスに暗号資産を送金した場合や、フィッシング詐欺によってウォレットの秘密鍵を盗まれた場合、取り戻す手段は基本的にありません。スマートコントラクトの脆弱性を突いたハッキング被害も過去に複数発生しており、数百億円規模の資産が流出した事例も報告されています。

自己責任の原則は、Web3の非中央集権性と表裏一体の関係にあり、利用者自身のセキュリティ意識が求められます。

法整備が進展途上である

Web3に関する法的枠組みは整備が進みつつあるものの、依然として不十分な領域が残されています。

2026年4月、金融庁は「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案」を国会に提出しました。この改正案では、暗号資産に係る規制を資金決済法から金融商品取引法へ移管し、インサイダー取引の禁止や情報開示義務の新設、無登録業者への罰則強化などが盛り込まれています。施行は2027年度を見込んでおり、暗号資産が「金融商品」として正式に位置づけられる見通しです。

税制面では、令和8年度税制改正大綱において暗号資産の申告分離課税(税率20.315%)の導入が明記され、2026年3月に改正所得税法が成立しました。適用開始は2028年1月の見通しです。法整備が進むことでWeb3ビジネスの予見可能性は高まりますが、国際的な規制の統一や消費者保護の枠組みなど、引き続き整備が必要な領域も残されています。

法制度の動向を注視しながら、Web3の活用を検討することが重要です。

出典:金融庁「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案」

Web3の活用事例

Web3の技術は、すでにブラウザやNFTマーケットプレイスなど具体的なサービスとして実用化されています。

Web3は概念にとどまらず、日常的に利用できるサービスとして形になり始めています。Web3の理念を体現する代表的なサービスを紹介します。

Brave

Braveは、Web3の思想を取り入れた次世代のWebブラウザです。

Braveの最大の特徴は、広告ブロック機能を標準搭載しながら、ユーザーが任意で広告を閲覧すると報酬としてBAT(Basic Attention Token)という暗号資産を受け取れる仕組みにあります。従来のWeb広告モデルでは、広告収益はプラットフォーム企業が独占し、ユーザーは広告を見せられるだけの存在でした。

Braveはこの構造を逆転させ、ユーザーの「注意(アテンション)」に対して直接報酬を支払うモデルを実現しています。プライバシー保護の観点でも、トラッカーやサードパーティCookieをデフォルトでブロックするため、個人情報の追跡を防ぐことが可能です。

Braveは、Web3が掲げる「ユーザー主権」の理念を、日常的なブラウジング体験の中で実現している好例です。

OpenSea

OpenSeaは、NFTマーケットプレイスの先駆けとして知られる代表的なプラットフォームであり、デジタルアートやゲームアイテムなどのNFTを売買できるプラットフォームです。

OpenSeaでは、ウォレットを接続するだけでNFTの出品・購入・オークションへの参加が可能です。デジタルアート、音楽、ドメイン名、ゲーム内アイテムなど、多様なカテゴリのNFTが取引されています。クリエイターは自分の作品をNFTとして発行し、二次流通時にもロイヤリティを受け取る設定ができるため、継続的な収益化が可能です。

従来のデジタルコンテンツ市場では、作品が転売されても作者に利益が還元されることはありませんでしたが、NFTとスマートコントラクトの組み合わせがこの課題を解決しています。

OpenSeaは、Web3におけるデジタル資産の流通基盤として、クリエイターエコノミーの新たな形を示しています。

Web3の最新トレンド

2026年のWeb3は実証実験のフェーズを脱し、RWAやDePIN、AIエージェントとの融合といった新たなトレンドが急速に拡大しています。

Web3の技術は投機的な側面から実用的なインフラへと移行しつつあり、2026年は「社会実装の年」として位置づけられています。上位記事ではほとんど取り上げられていない最新の動向を解説します。

RWA(現実資産のトークン化)

RWA(Real World Assets)とは、不動産や国債、美術品などの現実世界の資産をブロックチェーン上でトークン化し、デジタル上で売買・管理可能にする仕組みです。

CoinGeckoが2026年5月に公開した「RWA Report 2026」によると、トークン化されたRWAの時価総額は2025年初頭の約54億ドルから2026年第1四半期には約193億ドルへと、わずか15ヶ月で約3.6倍に急拡大しました。日本国内でも、金融庁によるデジタル証券・セキュリティトークン(ST)の整備を背景に、不動産STの発行累計額は5,000億円を超え、ST案件残高は1兆円規模に達しています。

RWAのトークン化により、従来は流動性が低かった不動産や美術品などの資産を小口化して取引できるようになり、個人投資家にも新たな投資機会が開かれています。

RWAは、Web3の技術が金融の実務に本格的に組み込まれつつあることを示す象徴的なトレンドです。

出典:CoinGecko「Real World Assets (RWA)」
出典:Progmat「Monthly-ST-Market-Report-2026-Mar. – Speaker Deck」

DePIN(分散型物理インフラ)

DePIN(Decentralized Physical Infrastructure Network)とは、通信やストレージ、エネルギーなどの物理的なインフラを、トークンインセンティブを活用して分散型で構築・運営するプロジェクトの総称です。

従来、通信ネットワークやデータセンターの構築には巨額の設備投資が必要であり、大企業や政府機関にしか参入できませんでした。DePINでは、個人がルーターやストレージ、センサーなどの機器を提供し、その対価としてトークンを受け取る仕組みにより、分散型のインフラネットワークを構築可能です。

代表的なプロジェクトであるHeliumは、個人が設置するホットスポットデバイスによって分散型の無線通信ネットワークを構築し、IoT機器向けの通信サービスを提供しています。日本発のプロジェクトとしては、電柱やマンホールの写真を撮影して設備保守に活用する「ピクトレ」も注目されています。

DePINは、Web3の分散型の思想を仮想空間から現実世界のインフラへと拡張する動きとして、今後の成長が期待されています。

出典:KPMGジャパン「DePIN ~分散型ネットワークがもたらすインフラと社会の変革~」

AIエージェントとの融合

2026年のWeb3において最も注目されるトレンドの一つが、AIエージェントとブロックチェーン技術の統合です。

AIエージェントとは、人間の指示に基づいて自律的にタスクを実行するAIプログラムを指します。Web3との融合により、AIエージェントがブロックチェーン上でガス代の支払いや暗号資産の取引、スマートコントラクトの実行などを自動的に処理できるようになります。

Forbes Japanの報道によれば、2026年にはビジネス界の少なくとも半数がAIエージェントを何らかの形で活用する見通しであり、Web3領域でもAIエージェントの統合は「任意ではなくなる」可能性が指摘されています。DeFiの運用最適化やNFTの自動取引、DAOにおける提案の自動生成など、AIエージェントがWeb3の利便性を飛躍的に高める応用が広がっています。

AIとWeb3の融合は、両技術の強みを掛け合わせることで、これまでにない自律的な経済活動の基盤を築きつつあります。

AIエージェントの仕組みや活用事例については、「AI(人工知能)とは?意味・仕組み・活用事例からできることまで解説」の記事で詳しく解説しています。

出典:Forbes Japan「Web3は2026年にどこへ向かうのか──そして自社はどう備えるべきか」

Web3に関してよくある質問

Web3は今から学び始めても遅くないですか?

Web3は2026年現在もまだ発展途上の段階にあり、今から学び始めても十分に間に合います。まずはBraveブラウザを日常的に使ってみる、OpenSeaでNFTを閲覧してみるなど、小さなステップから始めることで、Web3の世界を体感できます。アカウント抽象化の普及により、技術的なハードルも年々下がっています。

Web3とWeb2.0は完全に置き換わりますか?

Web3はWeb2.0を完全に置き換えるものではなく、共存・補完する関係にあります。現時点ではWeb2.0のサービスが主流であり、Web3は金融やデジタルコンテンツなど特定の領域で徐々に浸透している段階です。将来的には、ユーザーが意識せずにWeb3の技術を利用する形で、両者が融合していく可能性が高いといえます。

Web3を活用するために必要な知識はなんですか?

最低限必要な知識として、ウォレットの基本操作、秘密鍵の管理方法、ガス代の概念の3つが挙げられます。ただし、2026年現在はアカウント抽象化やウォレットのUX改善が進んでおり、秘密鍵を直接管理する必要がないサービスも増えています。まずはブロックチェーンの基本的な仕組みを理解し、少額の暗号資産で実際に取引を体験してみることが効果的です。

Web3の理解を深めて次世代インターネットに備えよう

Web3は、ブロックチェーン技術を基盤とした分散型インターネットの概念であり、データの所有権をプラットフォーム企業からユーザーへ移行させる点に本質があります。

本記事では、Web3の定義からWeb1.0・Web2.0との違い、ブロックチェーンの仕組み、非中央集権化やデータの自己管理といった特徴、NFTやDAO、DeFiなどの関連技術、そしてメリット・デメリットまでを体系的に解説しました。さらに、2026年の最新トレンドとして、RWAの急拡大やDePINの実用化、AIエージェントとの融合といった動向も取り上げました。

Web3はまだ発展途上にあり、法整備やユーザビリティの課題も残されています。しかし、金融商品取引法の改正やアカウント抽象化の普及など、課題を解決する動きは着実に進んでいます。まずはBraveブラウザの利用やNFTの閲覧など、身近なところからWeb3に触れてみることが、次世代のインターネットに備える第一歩です。

Web3がもたらすデジタル社会の変革を理解し、自社のビジネスや日常生活にどう活かせるかを考えることが、これからの時代に求められる視点です。

DXの推進とWeb3の関係性については、「DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?意味・定義や進めるメリット」の記事もあわせてご覧ください。