商談キャンセルを“当日対応“から“事前検知“へ。JAPAN AIが自社CALLで挑んだインサイドセールスの待機ゼロ革命
- 情報通信業

導入前の課題
- 展示会アポイントのキャンセルや無断不在が一定数発生し、営業の待機時間と機会損失が常態化していた
- 前日から当日にかけて人手で確認架電をしても、不在や留守電が多く、キャンセルの兆候を事前に拾い切れなかった
- 当日になって初めて空き枠がわかるため、その商談枠を別の見込み客に再活用しにくかった
導入後の成果
- AIリマインドコールによって、キャンセルや日程変更の意向を事前に把握できるようになった
- 3カ月で105件に架電し、6件のキャンセルを事前検知。6枠を別の見込み客へ再割り当てできた
- インサイドセールスの当日待機時間を約3時間削減し、「当日になってから動く」対応フローの見直しが進み始めた
【企業紹介】
- 会社名:JAPAN AI株式会社
- 事業内容:生成AI活用支援サービス「JAPAN AI」の開発・提供、AI導入コンサルティング
- 認証:ISMS(ISO 27001)、ISO 27017、Pマーク取得済み
- 導入実績:累計400社以上、2万人以上のユーザー
- 公式サイト:https://japan-ai.co.jp/
生成AIの業務活用支援を軸に、チャット型AIプラットフォームからAIエージェント、そして今回活用したAI架電サービス「JAPAN AI CALL」まで、組織のAI定着を一気通貫で支援するJAPAN AI株式会社。特徴的なのは、提供するだけでなく、自社の業務課題にも率先して自社サービスを使い、その効果を検証しながら磨き込んでいることです。
今回テーマになったのは、インサイドセールス現場で繰り返し起きていた「アポキャン」の問題でした。商談キャンセルが当日になって発覚し、確保していた30分の枠がそのまま失われる。現場ではそれが”よくあること”として積み重なっていました。
そこで同社が試したのが、自社プロダクト「JAPAN AI CALL」を使ったリマインドコールです。AIに電話をかけさせることへの不安を抱えながらも、まずは確度の低いリストから小さく始めたところ、1回目の架電から日程変更やキャンセル希望を事前に把握。3カ月の運用で、見えていなかった機会損失が数字として可視化され始めました。今回は、実際に運用を担った花田遼裕さんに、導入の背景から成果、今後の展望までインタビューしました。
▶︎導入前の課題
商談枠が静かに消えていく。”ドタキャン”より厄介だった見えない機会損失
―――JAPAN AI:インサイドセールスとして、アポキャン(アポイントキャンセル)はどのくらい課題感がありましたか?
――花田氏
展示会で獲得したアポイントは、どうしても温度感にばらつきがあります。熱量高くご相談いただく方もいれば、「まずは話を聞いてみようかな」くらいの感覚で商談化する方もいる。後者はやはり直前でキャンセルになりやすいんです。
問題は、それが当日になって初めてわかることでした。営業としては当然、その商談に向けて準備をしますし、時間も押さえます。ところが、接続の直前になってキャンセル連絡が入る、あるいはそのまま来られず時間が過ぎる…そうなると、30分の商談枠がそのまま消えてしまうんですね。
1件だけ見ると大きな損失には見えないかもしれません。でも、それが毎月のように積み重なると、じわじわ効いてくる。私たちの中では、キャンセル対応に追われて困るというより、「本当はもっと早く拾えたかもしれないキャンセルを拾えていなかった」という感覚のほうが強かったんです。
もちろん、前日や当日の朝に人手で確認連絡を入れることはありました。ただ、不在や留守電も多いですし、全件に対応するのは現実的ではありません。やれる範囲でやってはいたものの、事前検知の仕組みにはなっていなかった、というのが正直なところでした。
「AIに電話させるのは怖い」その不安ごと、小さく試した
―――JAPAN AI:そんな中で、JAPAN AI CALLを使ってみようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。
――花田氏
社内でCALLが実装されて、「インサイドセールスのアポキャン対策に、リマインドコールとして使ってみないか」と声をかけてもらったのが最初です。自社サービスなので、機能に対する信頼はありました。ただ、それでも「AIが電話をかける」という体験を、お客様がどう受け取るかは未知数でした。
不安は大きく二つありました。一つは、受け答えに違和感があって、お客様に不快な印象を与えてしまわないかということ。もう一つは、本来はキャンセルするつもりのなかった方に、電話をきっかけに「やっぱりやめようかな」と思わせてしまわないか、という懸念です。AIの品質の問題と、運用上の誤反応への怖さですね。
それでも前に進めたのは、「まずは確度が低そうなリストから小さく試そう」と整理できたからです。もともと商談化の可能性が高くない層であれば、キャンセルの意向が早めにわかるだけでも意味がある。むしろ、その枠を別の見込み客に回せるならプラスです。
実際、最初のシナリオとトークスクリプトもかなりシンプルにしました。日程の確認と、変更・キャンセルの意向確認だけ。余計なことはさせない。その状態でまず回してみて、反応を見ながら調整する。そのおかげで、導入から実装、結果を見て微修正するまでの流れが、想定よりずっとスムーズでした。

▶︎導入後の変化
社員の声でAIが話す。最初の架電で、不安は払拭された
―――JAPAN AI:実際に使ってみて、印象はどう変わりましたか。
――花田氏
最初に音声を聞いたときの印象は、「思っていたよりずっと自然だな」でした。JAPAN AI CALLのパイプラインモデルは、社員の声を学習して発話に使えるのですが、聞き慣れたトーンで自然に話しかけてくれるんです。”AIが無理して話している感じ”がなくて、「これなら違和感なく受け取ってもらえるかもしれない」と思えました。
実際、1回目の架電からすぐ反応が返ってきました。日程変更を希望する方と、キャンセルの意向を伝えてくださる方が出たんです。そこが大きな転機でしたね。それまで持っていた「AIに電話させて本当に大丈夫なのか」という不安が、その瞬間にかなり薄れました。
しかも、お客様の反応も想像以上に自然でした。たとえば日程変更を希望された方は、「その日より○日のほうが都合がよくて」といった形で、ごく普通に意向を返してくださった。AIだと気づいていないのか、あるいは気にならないくらい自然だったのか、少なくとも会話として成立していたんです。
運用面でも、拍子抜けするくらいスムーズでした。シナリオを設定して動かし、反応を見て少し言い回しを調整し、また流す。そのサイクルが軽かったので、「これはちゃんと現場で回せる」と感じました。

3カ月で105件架電、6件を事前検知。”当日になってから動く”を変え始めた
―――JAPAN AI:数字としては、どのような成果が出てきましたか。
――花田氏
3カ月で105件に架電して、27件が応答、そのうち6件のキャンセルを事前に検知できました。営業の当日待機時間としては、約3時間削減できています。
数字だけを見ると「6件」と思われるかもしれません。でも、現場の感覚としては、その6件が大きいんです。これまでなら、当日になって初めて空き枠に気づき、その30分はそのまま失われていました。それが事前にわかるだけで、別の見込み客へ枠を振り替える余地が生まれる。実際に6枠は再活用できました。
この変化で大きかったのは、単に時間を削減できたことだけではありません。これまでは「なんとなくキャンセルが多い気がする」で終わっていたものが、件数や応答率、検知率として残るようになった。するとチームでも共有しやすくなりますし、「次はどのリストにかけるか」「どの時間帯がいいか」といった改善の会話ができるようになります。
見えていなかった機会損失が、数字として見えるようになった。その意味では、6件という数字以上の価値があったと思います。
| 指標 | 3カ月運用結果 |
|---|---|
| AIリマインドコール実施件数 | 105件 |
| 電話応答件数 | 27件(応答率 25.7%) |
| 事前キャンセル検知件数 | 6件(検知率 5.7%) |
| 回収できた商談枠 | 6枠 |
| 削減できた営業待機時間 | 約3時間 |
AIが電話することに慣れるのではなく、AIと人の分担を見つけていく
―――JAPAN AI:今後は、どのように活用を広げていきたいですか。
――花田氏
まずは架電件数をもっと増やしていきたいですね。件数が増えるほど、「どの属性のリストで検知しやすいか」「何時に架電すると応答率が高いか」といった傾向が見えてきます。それをもとにリスト設計やシナリオ設計を磨いていけば、精度はもっと上げられると思っています。
やりたいこともまだたくさんあります。担当者への通知をもっと自動化したいですし、架電レポートも改善にもっと活かしたい。いまはようやく、仕組みとして回り始めた段階です。ここからどう育てていくかが次のフェーズだと思っています。
個人的には、「AIが電話すること」に慣れるのが目的ではないと思っています。大事なのは、電話という業務を人とAIでどう分担するか、その境界線を見つけていくことです。自分たちもまだ、その答えを探している途中です。でも、まずは確度の低いリストから小さく試してみる。それだけでも、見える景色はかなり変わりました。
「AIが電話する」と聞くと、どうしても構えてしまうと思います。でも、やってみないとわからないことは本当に多いです。だからこそ、最初の一歩は小さくていい。実際に試しながら、自社なりの使いどころを見つけていくことが大事だと思います。





