Chatwork上での問い合わせにAIが自動回答!顧客満足度向上とCSの負担軽減を目指す
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導入前の課題
- 顧客増加で、回答に最大6時間程度かかるようになっていた
- 1日約100件の問い合わせ対応、残業時間は月50時間以上の時も
- 顧客に「細かい質問をするのは気が引ける」と遠慮させてしまっていた
導入後の成果
- マニュアルで対応できる質問にはAIが即時回答する環境を構築
- CSメンバーの心理的負担が軽減され、提供価値の向上により意識を向けられるようになった
- 顧客から「気軽に質問できるようになった」との好反応をいただけるようになった
広告計測領域において、広告出稿の最大化・最適化を目指すデジタルマーケティングソリューションを提供しているCATS株式会社。「誰もがマーケティングで成功できる世界を創る」というビジョンを掲げ、現在は500社以上の顧客を支援しています。
主力プロダクトは、ディスプレイ広告やSNS広告の測定ツール「CATS」、そして自社運営のアフィリエイトシステム「AFAD」です。
CATS株式会社が特にこだわっているのは、真に必要とされるサービスを提供すること。そのため、導入前後の「分からない」の解消を目指し、カスタマーサポート(CS)に力を入れています。
しかし、導入企業数の増加に伴い、サポート体制における課題が浮き彫りになっていました。今回は、カスタマーサクセスチームのリーダーである前田理菜氏とメンバーの森山愛梨氏に、JAPAN AI導入のきっかけとその後の変化についてお話を伺いました。
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1日100件の問い合わせに5名で対応、回答時間の遅延に課題
現在、カスタマーサクセスチームは全体で5名、うちメインで動いているのは3名です。主な役割は、お客様の事業成長や成功をしっかりとサポートし、伴走することにあります。
業務内容としては、Chatwork上での顧客からのプロダクトに関するお問い合わせに対応し、適切な回答を行うことです。対応の速さや親切な対応を心がけているため、その点についてはお客様から一定の評価をいただいていました。
しかし、取引先が増加し500社以上の顧客に対して日々サポートを提供しなくてはいけません。問い合わせ件数は1日100件以上にのぼるようになり、業務負荷の増大が喫緊の課題となっていたのです。
個別調査が必要な案件では、通常3時間かかっていた対応時間が、問い合わせの増加により倍近くになっていました。このような状況により、顧客からは「対応を早くしてほしい」という要望が増えてきていました。さらに、メンバーの残業も月数十時間を超える状況となり、業務の負担が大きくなっていったのです。
マニュアル強化で改善を試みるも、現状の打開は困難だった
打開策として、まずはマニュアルを強化することを検討しました。具体的には、FAQの内容を見直し、見やすさや分かりやすさを改善しようと試みたのです。
しかし、視認性やビジュアル面を強化しても、実際に顧客に見てもらえないことが多く、思ったほどの効果には繋がりませんでした。
さらに、FAQの量が多いため、「聞いたほうが早い」と、顧客から直接問い合わせをいただくことが多く、マニュアルを活用してもらうこと自体が難しい状況だったのです。
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人員増は負担が大きいため、JAPAN AI導入を決断
人員を増やすか、他の方法を考えるかという選択肢の中で、新しい人材の育成には時間がかかるため、AI活用の検討を始めました。自動で回答を処理してもらえるなら、やはり便利だと感じたからです。
JAPAN AI CHATの導入は代表の松本からの提案で決まりました。
JAPAN AIは同じジーニーグループの傘下であるため、信頼感もあり、安心して導入を決めることができました。特に、複数のLLM(大規模言語モデル)を使える点が大きな魅力です。GPT、Gemini、Claudeのそれぞれのモデルを使い分けることで、FAQを読み込ませた際に最適なLLMを選択できるのは非常に助かります。
また、AIによる回答が、顧客にとって読みやすいかどうかなどの観点から、最適なものを選べることも大きな利点だなと感じています。
ChatworkとAPI連携、問い合わせに対して自動回答できる仕組みを構築
JAPAN AIの活用はまだ試験運用の段階ですが、顧客からのお問い合わせに対して自動回答できるようになっています。具体的にはJAPAN AIとChatworkとのAPI連携で、およそ180あるFAQからAIが回答を自動でしてくれるようになっています。
魅力的なのが文章が冗長にならない点です。しっかりとユーザーが回答を受け取れるように、理解しやすい文章でアウトプットしてくれます。例えば、回答を段階的に番号付きで提示してくれるのは非常に便利です。
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顧客からは「質問がしやすくなって助かる」とのお声
現在は試験運用のため、10社程度を対象にAIによる自動回答に取り組んでいるところです。
顧客からはお問い合わせの自動回答化について前向きなお言葉をいただいています。中には細かい質問をすることに対して気が引けるという方もいるのです。そのような方からは「気軽に質問できるようになるから助かります」というお声をいただいています。
今後、全顧客に展開し、迅速かつ適切な回答によりお客さんの満足度が上がれば、弊社の長期的な視点での売上アップにも繋がるなという期待感があります。
簡単な質問はAIに任せることで、より本質的な業務ができることに期待
簡単な質問はJAPAN AIに全て任せて、人間は顧客ごとに異なるエラーやプロダクトの連携などに関する調査系の難しい質問を担当する。そのような仕組みができれば、弊社としては嬉しいですね。
カスタマーサクセスのメンバーもかなり工数削減の期待をしていて、みんな前向きに全顧客への展開に向けて取り組んでいます。
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AIが精度の高い回答をできるような仕組みづくりが重要
簡潔な質問に対しては、AIが適切な答えを返すことができるのですが、お客様からの長文の質問には少し対応が難しいことがあります。例えば、特定の事象について詳細な状況説明を含むような質問があると、AIが、うまく回答できない場合もあります。
そのため、AIに対してどう質問すれば良いのか、という点について顧客に認識、理解してもらうことが必要だと感じています。オンボーディング時にそのようなガイドラインを取り入れるなど、工夫することで、この問題は仕組みとして解決できるのではないでしょうか。
FAQをAIが学習しやすいように修正、書き直し
実はJAPAN AI導入の過程で、FAQの大幅な改修が必要になることがわかりました。
元々のFAQは、Googleスライドの内容をそのまま貼り付けている箇所もあり、文章化されていない部分が多かったのです。そのため、AIが読み取れないという問題がありました。そのため、文字起こしを行い、FAQを一から作り直す必要があったのです。
また、弊社には「CATS」「AFAD」を始めとした複数のプロダクトがあり、それらのFAQが一緒にまとめられていたのです。そのFAQをプロダクトごとに分けて、AIが回答を導き出せるように整理しました。
それなりの工数がかかりましたが、導入後に見込まれる改善を考えると、取り組む価値があると感じました。
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担当者が具体的な提案をくださるので助かっている
JAPAN AIはカスタマーサクセスがしっかりと伴走支援してくれるので非常に助かっています。
例えば、「こういうふうに改善できないか?」という要望を出すと、親身になって相談に乗ってくださるので、連携がしやすいと感じています。
特にFAQの整理をする際は、大変助かりました。もともとFAQは先ほども言ったように複数のプロダクトを一緒に管理していたので、AIの回答精度が上がらないという課題がありました。その時に「FAQを分け、さらにチャットボットもプロジェクトごとに分けることで精度が向上しますよ」と提案していただき、その通りに実行した結果、現在の形に落ち着きました。このように、具体的な提案をいただけたのは非常にありがたかったです。
また、Googleスライドの内容を文章化する際にも、具体的にアドバイスをいただき、実際に改善につながりました。
大幅な工数削減を実現し、よりお客様と向き合いたい
JAPAN AI導入によって大幅な業務工数削減に期待しています。最終的には、顧客対応だけでなく、カスタマーサクセスチームが「どうしたらもっと良くなるか」を考える時間を増やせるようになることが目標です。お客様の満足度を上げるためにはどうすべきかを考え、行動に移せる時間がもっと増えれば、それが一番の成果に繋がると考えています。
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