英文メール対応が“体感1/3”に。バイオマトリックス研究所の“海外対応負担が軽くなる”JAPAN AI活用
- 製造業

導入前の課題
- 翻訳ツールは直訳が多く、文脈・意図を踏まえた言い回しなど英文メール対応が重かった
- 長文の質問票・契約書・企業調査レポートの要点抽出/リスク整理に時間がかかる
- 間違えられない文書業務が多く、議事録、法令・規程確認、整合性チェックが積み上がる
導入後の成果
- 翻訳が「意図まで汲む」形に。 付加情報込みで整えられ、翻訳業務は体感で約1/3に
- 長文文書の整理が進み、先に要点とリスクを掴めるため、確認・意思決定のスピードアップ
- 文書業務全体に“まずAI”が定着。 議事録、法令チェック、掲示物や採用にも展開
【企業紹介】
- 会社名:株式会社バイオマトリックス研究所
- 設立:2002年3月28日
- 事業内容:モノクローナル抗体の開発・販売
- 従業員数:26名/平均年齢:38歳
株式会社バイオマトリックス研究所は、インフルエンザなど呼吸器系感染症の迅速診断キットの原料にもなる抗体を供給する企業です。抗体は水溶液としてチューブで出荷し、キットや研究を通じて医療を支え、インフルエンザの迅速診断キットの原料としては市場占有率50%を超えています(バイオマトリックス研究所調べ)。
一方で、キットの裏側を支える事業では、「文書の仕事」が重くなります。海外とのメールや契約書、標準的質問(質問票)の読み込み、企業調査レポートの確認のほか、社内会議の議事録化、法令や社内規程の確認──扱う文書は長く、判断も間違えられない。英語力の個人差もあるなかで、翻訳・要点抽出・リスク観点の整理に時間を使い、確認や意思決定のスピードが落ちる場面もありました。
そこで同社は、翻訳を起点にしながら、議事録や法令確認などの文書業務全体へ「AIがいる前提」を広げる形でJAPAN AIを活用しています。今回の取材では、コーポレート部門長の飯塚さんを中心に、総務チームの髙野さん・羽下さん、社長補佐の佐谷さんに導入の背景と実務での活用法を伺いました。

▶︎導入前の課題
「翻訳」ではなく「文脈ごと任せたい」海外対応の現場で感じていた限界
➖➖➖JAPAN AI:AI導入を検討し始めた背景を教えてください。
➖➖飯塚氏
私たちは製造業で、体外診断用医薬品の原材料にもなる「抗体」をつくっています。皆さんが病院でインフルエンザやコロナの検査を受けるとき、検査キットの中に“判定の要”として使われる抗体が入っていますが、その抗体をキットメーカー各社や研究機関に供給している会社です。目に見えないものなのでイメージしづらいのですが、出荷の形としては小さなチューブに入った水溶液の状態で、お客様の注文量に応じてお届けしています。
一番のきっかけは、海外取引先との英文メールです。問い合わせ対応、注文の返信、納期連絡など、英語でのやり取りが日常的に発生します。従来も翻訳ツールは使っていましたが、翻訳は基本「直訳」なので、こちらの意図や前後関係まで踏まえて文章を整えるところは結局人がやる必要がありました。
私たちが欲しかったのは、ただ英語にすることではなく、文脈を踏まえて、相手に伝わる形に整えることです。例えば「もう少し短く」「ニュアンスを間違わない言い回しで」「この前提を踏まえて」といった調整まで含めて、考える時間ごと圧縮したかった。だから翻訳ツールより、生成AIが必要だと考えました。
加えて、メール以外にも申請書、報告書、議事録、プレゼン資料、文献やレポートの要約、複数書類の整合性チェックなど、社内の文書業務は幅広い。無料の生成AIもありますが、情報管理の観点から業務で安心して使える環境が前提でした。

3社比較で最終判断。「性能」と「小規模でも導入できる条件」
➖➖➖JAPANAI:JAPAN AIを選んだ理由を教えてください。
➖➖飯塚氏:
比較検討したのは3社で、トライアルをしたのはJAPAN AIだけでした。決め手は大きく2つです。
1つ目は、導入当時の感覚として性能(モデルの新しさ・出力の強さ)が高いこと。特定のAIサービスに固定されるのではなく、目的に応じて使い分けられる設計は安心感がありました。
2つ目は、契約条件の柔軟さです。私たちのような社員数が少ない会社だと、最適なプランがないことが多くあります。従業員数300人以上を想定したプランしかないようなケースだと、費用対効果を事前に読みづらい。だからこそ、まずは抑えた条件で試して、使い方を固めながら広げられることが重要でした。
導入自体はトップダウンの意思決定でした。ただ、「使える人だけが使う」状態にしたくなかったので、最初の1カ月ほど試したのち、全社で使える形にしました。少人数とはいえ業務が一人ずつ違うので、部分導入だと展開に時間がかかり、需要にも合わない可能性がある。結果的に、全社導入のほうが早いと判断しました。
▶︎導入後の変化
まず効いたのは「翻訳」。“直訳”から「意図まで汲む」へ
➖➖➖JAPAN AI:実際に導入してから、どの業務がどう変わりましたか?
➖➖飯塚氏
一言でいえば、AIが「困ったらとりあえず聞く」存在になりました。その中でも、特に効果が大きいのは翻訳の分野です。
私たちは海外とのやり取りが日常的にあります。基本はメール文面の作成・調整で、英語の問い合わせが来たときに「どう返すのが適切か」を整えるところまで含めてAIに任せています。社内は英語が得意な人ばかりではないので、英語力の差があっても必要な情報にアクセスできるようになったのは大きいですね。体感として、翻訳に「調べる時間」まで含めると、作業は従来の約1/3になっています。
翻訳ツールとの違いで実感が大きいのは、こちらが付加情報を渡すと、前提を踏まえて言い回しを整えてくれる点です。意訳もできますし、「もう少し短く」「要点だけにまとめて」といった分量調整も効く。直訳中心の翻訳ツールだと難しかったところが、業務上は一番助かっています。
翻訳以外でも、文書業務を中心に“AIがいる前提”が広がった
議事録は「録画→文字起こし→テンプレ化」で、もう戻れない
➖➖羽下氏
社内では、オンライン会議の録画から議事録を作る流れが少しずつ定着してきています。リアルタイム翻訳を常用しているわけではないのですが、会議後の整理はAIと相性がいいですね。文字起こしを起点にJAPAN AIのエージェントに当てて整えるだけで、ゼロから書く時間が減ります。翻訳と組み合わせて使う人もいて、「英語の会議内容を日本語で議事録に落とす」といった用途でも、必要な人が必要な場面で使える状態になってきました。翻訳ツールとは異なり、文化の違いなども考慮してくれるので、海外に向けて多様なアプローチができると考えています。
長文の“読む仕事”が変わった。要点とリスクを先に掴める
➖➖佐谷氏
翻訳が効いているのはメールだけではありません。たとえば、長文の標準的質問や契約書関係など、“読むのに時間がかかる英語文書”は、要点をまとめたり、リスク観点で注意点を整理したりして使っています。海外から突然連絡が来るケースもあるので、必要に応じて企業調査レポートを入手して、その翻訳に使うこともあります。いわゆる“反社チェック”を海外の企業でも同じように実施するのは難しい分、代わりに調べられる範囲で材料を集めて判断するイメージです。100%正しい前提で鵜呑みにするのではなく、“自分で当たりをつけるための一次整理”として使えるのが現実的ですね。
社内文書にもAIが入り込む。掲示物・採用・法令確認まで幅が広がった
➖➖髙野氏
社外向けの重い文書だけでなく、社内の“細かい文書仕事”にもAIが効くようになりました。たとえば掲示物。経営理念のポスターを作るときや、ゴミの捨て方(ペットボトルの分別ルールなど)を社内に分かりやすく伝えたいとき、文章のたたき台やデザインをAIに頼むだけで、手が止まらずに形にできます。採用のときの質問項目を考える場面でも、抜け漏れがないかを整理したり、アイデアを広げたりする用途で使っています。
もう一つ大きいのが、法令確認です。総務・労務まわりは法令を扱う機会が多く、労働安全衛生法や労働基準法、会社法、消防法、育児・介護休業法など、確認すべき範囲も広い。自分の認識に少しでも引っかかりがあるときは、ファクトチェッカーで改めて問い直し、確度を上げるようになりました。結果として、自分の認識違いに気づける場面もありますし、文書同士の整合性を取るチェックも含めて、“判断の前に一度AIに当てる”流れが自然になってきています。

言語の壁は低くなる。海外対応の“迷い時間”を減らせるのが大きい
➖➖➖JAPANAI:最後に、導入を検討している企業へメッセージをお願いします。
➖➖羽下氏:
海外対応がある企業にとって、受信も発信も「言語の壁」は確実に低くなると思います。ただ、実際に効いているのは翻訳そのものというより、海外取引に付いて回る“迷い時間”を減らせる点です。たとえば、相手の背景や前提を踏まえて伝え方を整えたり、文化や時差のズレで起きやすい誤解を先回りして潰したり…翻訳ツールだと拾いきれない部分まで含めて、一度AIに当ててから判断できるようになります。
もちろん、最後は人が確認する前提ですし、使い方は工夫次第なところもあります。でも「まずAIに投げて、整理した状態で考える」だけで、判断のスピードも精神的な負担も変わります。翻訳に限らず、海外対応を“特別な業務”にしないために、多様なアプローチの方法として、もしくは海外の情報を収集する手段として、AIを利用すると事業は多岐に広がっていくと思います。





