総務部門は社内のあらゆる業務を横断的に支える存在として、規程の整備やオフィス環境の管理、イベント運営、健康管理、株主総会の対応まで多様な役割を担っています。特にデータ管理や書類作成といった定型業務が多く人手不足や業務負担の偏りといった課題が生じやすいのが実情です。こうした中で注目されているのが、AIを活用した業務効率化の取り組みです。
この記事では、総務分野におけるAIの導入メリットや具体的な活用事例について分かりやすくご紹介します。
総務におけるAIの市場と将来性

総務省「令和6年版 情報通信白書」では、生成AIを含む世界のAI市場が2030年に向けて急速に拡大すると予測されており、基盤モデルやその周辺サービスの成長に注目が集まっています。こういった急成長の背景には、生成AIツールの普及に加え、文章・画像・音声・動画など多様なコンテンツに対応できる応用範囲の広さがあり、総務を含む業務への活用が進みやすい点が挙げられます。さらに、みずほフィナンシャルグループの調査では生成AI市場が年平均42%で成長し、2032年には1兆3,000億ドル規模に達するとの見通しが示されており総務向けのAIツールにも今後大きな追い風となることが予測されています。
出典:総務省「第Ⅱ部 情報通信分野の現状と課題 第9節 AIの動向」
総務でAIを活用する際のメリット

総務業務にAIを導入することで、業務効率の向上やコスト削減だけでなく人材の活用や組織力の強化にもつながります。以下では、実際の導入によって得られる主なメリットを整理し、それぞれの具体的な内容をご紹介します。
- 業務の効率化と経費削減
- 人の判断や工夫が必要な業務に注力できる
- データに基づく的確な経営判断の実現
- 属人化を防ぐナレッジの集約と共有化
業務の効率化と経費削減
AIの導入により総務部門の定型業務が大幅に効率化されます。備品管理では画像認識AIが棚卸を自動化し紛失防止にも貢献します。郵便物はスキャンからPDF化、タグ付けまでAIが一貫して処理するため、物理的な受け渡し作業が不要になります。AI-OCRの高い認識精度は、手作業による確認作業やヒューマンエラーを削減し部門全体の業務負荷を軽減します。さらに、AIとIoTセンサーの連携によりオフィス設備の自動制御や利用状況の可視化が可能となり、ムダなコストを削減します。
人の判断や工夫が必要な業務に注力できる
AIが定型業務を代行することで、担当者は人間ならではの判断や工夫が求められる業務に集中できるようになります。AIが従業員アンケートやチャットの内容を分析することで、感情や課題を可視化し満足度向上に向けた施策立案に活用できます。また、AIチャットボットが社内規程の矛盾点を抽出したり文書作成AIが通知文のドラフトを作成したりすることで、担当者は制度の本質的な見直しやイベント企画といった創造的な業務に専念できます。これにより総務部門は単なる管理業務から、企業の人材戦略や組織づくりに貢献する中核的存在へと進化します。
データに基づく的確な経営判断の実現
AIは人間の感情や先入観に左右されない客観的かつ公平な判断を支援します。AIカメラやIoTセンサーで得られたオフィスの利用状況データは、レイアウトの最適化やスペース削減の判断材料となります。また、社内アンケートや福利厚生の利用データなど非構造化データもAIが分析することで、課題の早期特定や改善策の立案が可能になります。AIによる情報収集・予測機能は法改正や社会情勢の変化に対する迅速な対応を可能にし、生産性や収益性向上に直結する経営判断を支える基盤となります。
属人化を防ぐナレッジの集約と共有化
知識やノウハウの属人化は事業継続のリスクとなるため、AIを活用したナレッジマネジメントが不可欠です。AIは社内情報を自動で分類・要約し検索性を高めることで、必要な情報へのアクセスを容易にします。例えば、AIチャットボットを導入すれば、従業員からの定型的な問い合わせに自動で対応でき、担当者の負担を軽減しつつ利便性を向上させます。また、AI-OCRで紙文書をデータ化すれば、契約書などの検索が容易になり、契約管理も効率化されます。
こうしたナレッジ共有の仕組みは、新入社員の自律的な学習を促し早期戦力化を後押しするだけでなく、部門間の連携強化や離職時の引き継ぎ負荷軽減にも繋がります。そして組織全体の生産性と持続的な運営基盤を強化します。
総務における実際の活用事例7選

総務業務にAIを導入することで、現場ではすでにさまざまな成果が生まれています。ここでは実際の活用事例を7つ取り上げ、どのように業務改善が図られているのかをご紹介します。
- 社内ヘルプデスク業務の自動化
- 社内行事の企画・運営
- 勤怠・経費に関する事務処理
- 福利厚生の設計・運用
- 備品や設備管理の自動化
- コンプライアンスチェックの効率化
- 社内マニュアルを自動作成
1. 社内ヘルプデスク業務の自動化
総務部門では、有給休暇の申請方法や経費精算の手順など、日常的な問い合わせ対応に多くの時間を取られていました。
そこで、AIエージェントを活用することで、チャットボットが社内規程や過去の対応履歴から最適な回答を即座に提示し、24時間いつでも対応が可能になりました。また、チャット内容を蓄積して学習を重ねることで、回答の精度を継続的に向上する事ができます。繰り返し寄せられる質問については、自動的にFAQを生成して社内ポータルへの反映まで行なってくれるようになりました。
これにより総務担当者が個別に対応する場面は大幅に減少し、より高度な企画業務や判断業務に注力できる体制が整いました。対応のスピードと正確性も向上し、従業員満足度の向上にも寄与しています。
2. 社内行事の企画・運営
従来、社内行事の企画・運営には参加者の嗜好把握から企画立案、会場手配、当日のタスク管理、事後のアンケート分析まで多くの時間と労力がかかっていました。特に、参加者満足度の高い企画の立案や複数タスクの進捗を漏れなく管理する点に多くの担当者が課題を感じていました。
この課題に対しAIエージェントが過去のイベントデータやアンケート結果を分析することで、参加者のニーズを正確に捉えた企画案を自動的に生成してくれます。さらに、企画内容に基づき最適な会場やベンダー候補をリストアップし過去の評価やコスト情報と合わせて提示してくれます。AIが作成したタスクリストは担当者の進捗状況をリアルタイムで把握し、期日前のリマインドや遅延アラートを自動で通知する仕組みも機能しています。
結果として従業員満足度の高いイベントを安定して開催できるようになり、企画・運営業務の効率と質の向上という両面で大きな改善が実現しました。
3. 勤怠・経費に関する事務処理
勤怠や経費に関する業務では、不正打刻や長時間労働の検知、申請内容の確認などに手間がかかり、入力ミスも発生しやすい状況がありました。
この課題に対し、AIエージェントが勤怠管理システムの勤務データをリアルタイムに分析することで不正打刻や過重労働を自動的に検知してくれます。さらに、経費精算システムと連携し、領収書をスマートフォンで撮影するだけで金額や日付を自動読み取りし、申請データに反映してくれます。AIが入力内容の整合性を確認し、ミスや不正の疑いがあれば即座にアラートを出す仕組みも機能しています。
結果として、管理部門の作業負担が軽減され、従業員もスムーズに申請・承認を行える環境が整い業務効率と精度の両面で大きな改善が実現しました。
4. 福利厚生の設計・運用
従来、従業員の多様なニーズに応える福利厚生制度の設計・運用は多くの企業で大きな課題でした。特に、制度の活用不足や申請手続きの煩雑さから、問い合わせ対応に多くの時間が割かれていました。
この課題に対しAIエージェントが従業員アンケートや利用履歴データを分析することで、福利厚生制度の利用状況や潜在的なニーズを自動的に可視化してくれます。さらに、AIが従業員一人ひとりのライフステージや職種に合わせて最適な福利厚生プランをパーソナライズしてレコメンドしてくれます。各種申請手続きもAIチャットボットが従業員からの問い合わせに24時間対応し申請書の記入サポートや、必要書類の自動案内をしてくれる仕組みも機能しています。
結果として従業員満足度の向上と、福利厚生制度の利用率増加という両面で大きな改善が実現しました。
5. 備品や設備管理の自動化
備品の在庫管理ではこれまで棚の確認を目視で行っており、見落としや発注ミスが発生しやすい状況が続いていました。
このような課題に対してはAIエージェントがカメラの画像を認識し、棚の状況を常時監視することで備品や資材の在庫量をリアルタイムで把握・管理を両立してくれます。一定の基準を下回った場合には発注が必要な品目を自動でリスト化し在庫の偏りや滞留を検知します。さらに、あらかじめ設定した条件に応じてAIエージェントが自動で発注まで行ってくれます。
この仕組みにより人的ミスや在庫の過不足といったリスクが大幅に軽減され、在庫管理の正確性と効率性が飛躍的に向上しました。会議室設備やコピー機の消耗品、配達物の管理などへの応用も可能で現場の作業負担も減り、総務業務全体の最適化に寄与しています。
6. コンプライアンスチェックの効率化
労務管理や法令遵守に関する対応では、常に最新情報を把握しながら手動で確認作業を行う必要があり大きな時間的負担となっていました。
こうした課題に対して、AIを活用したコンプライアンス支援が導入されました。AIは、各省庁の公開情報などから最新の法改正情報を自動で収集し、企業の社内規則と照合することで、必要な見直し箇所を即時に特定します。さらに、社内の申請データや人事記録などを解析し、不正な経費申請やハラスメントリスクといった異常兆候も早期に検知する事ができます。担当者にアラートを送る仕組みも組み込まれており、潜在的リスクへの事前対応を可能にしています。
この結果、コンプライアンス対応は迅速かつ効率的に行えるようになり、業務負担の軽減と同時にリスクマネジメントの強化にもつながっています。
7. 社内マニュアルを自動作成
社内マニュアルの作成や更新はこれまで手作業で進められており、作業に時間がかかるだけでなく、情報の遅れや記載漏れが発生しやすい状況でした。
この課題に対しては、マニュアル業務に特化したエージェントが導入されました。AIは既存の文書や業務フローの情報を読み取り、そこからマニュアルのドラフトを自動生成してくれます。文体や構成も統一された状態で出力されるため、そのまま社内展開に活用できるレベルの精度が確保されています。また、法改正や業務内容の変更があった際には、該当部分をAIが自動的に検知し、マニュアル内容を更新してくれます。必要に応じて担当者に修正箇所の提案も行います。
これにより、マニュアル作成・改訂にかかる工数は大幅に削減され、常に正確かつ最新の情報を社内で迅速に共有できる環境が整いました。情報伝達の精度とスピードが向上し、業務の標準化にも寄与しています。
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総務でAIを導入する前に確認する事

AIを導入する際は、単にツールを導入するだけではなく、事前に確認すべきポイントを明確にしておくことが成功の鍵となります。ここでは、それぞれの立場でAI導入を検討する際に必要な視点を、3つのポイントに分けて解説していきます。
- 総務部門内の業務に導入する場合
- 社内FAQや経理・人事・法務など、全社的に利用される用途に導入する場合
- 全社導入を総務が主導する場合
総務部門内の業務に導入する場合
総務部門におけるAI導入はスモールスタートで始めやすく、まずは定型的なデータ整理や問い合わせ対応などの業務を洗い出し効果を定量的に評価することが重要です。導入時は費用対効果を試算し、精度と信頼性を確保するため人による確認プロセスを設けます。情報セキュリティにも配慮しアクセス権限の制限やクラウド利用時のルールを徹底します。また、既存ツールとの連携可否を確認し手動のデータ移行を避けることも成功の鍵となります。
社内FAQや経理・人事・法務など、全社的に利用される用途に導入する場合
全社的なAI導入は従業員の幅広いニーズに応えるため、慎重な検討と準備が求められます。業務課題や情報ニーズを把握し、副次的な効果も含めて導入効果を総合的に評価します。誤情報リスクに備え、法改正などの未学習情報は常に精査し、運用体制とサポート体制を整備します。人事・経理データには厳格なセキュリティ管理が必要で、学習データの精査も欠かせません。基幹システムやSlack・Teamsなどとの連携も成功の鍵です。
全社導入を総務が主導する場合
総務が全社的なAI導入を主導する際は、推進だけでなく経営層への働きかけや全社ルールの整備が重要です。戦略的意義を示し予算確保を図るとともに専門知識がなくても導入できるサポート付きサービスを活用します。情報セキュリティポリシーの見直しや社員教育も不可欠で、段階的なシステム連携と整合性確保が求められます。AIへの不安を払拭し実務に沿った研修を行い、管理体制の明確化と導入手順の標準化で横展開を促進します。
AI活用で業務を効率化する5つの方法!活用事例やメリットから注意点までを解説
Web会議の文字起こしを自動化する方法!使い方やおすすめツールも紹介
まとめ:総務にAI導入して業務効率を最大化させるならJAPAN AI

総務業務にAIを導入することで、定型業務の効率化からナレッジの共有、リスク管理、社内対応の品質向上まで幅広い領域で効果が期待できます。ただし、導入にあたっては目的や活用範囲に応じた事前検討が欠かせません。コストや精度、セキュリティ、社内体制まで含めて丁寧に準備を進めることで導入後の効果を最大化できます。
その上で、文章生成アシスタントやチャットボット、社内FAQ作成、既存システムとの連携による業務フロー自動化といった多機能を備えた「JAPAN AI AGENT」は、特に総務部門にフィットしたAI活用のプラットフォームです。ノーコードで導入でき、職種別に最適化されたエージェントを活用しながら、必要に応じたカスタマイズも可能です。AI導入を検討されている方は、ぜひJAPAN AIの詳細をご覧ください。



