アンケート広告作成時間を1/5に短縮!「絶対に形にする意志」で社内のAI普及を実現

導入前の課題

  • アンケート広告の設計に時間を要していた(約1時間)
  • 企画を担当者の経験や直感に頼る部分が大きく、バリエーションが限定的だった
  • 経験豊富な担当者でないと質の高いアンケートを作成するのが難しかった

導入後の成果

  • アンケート広告の設問作成にかかる時間が1/5(10〜15分程度)に短縮された
  • AIがペルソナや商品の訴求方針を提案することで、企画の幅が大きく広がった
  • 経験の浅い社員でも一定水準以上のアンケートを作成できるようになった

エクスクリエは、「お客様の体験価値を最大化する」という理念のもと、2024年1月にクロス・マーケティンググループ(東証プライム:3675)内の2社が統合して誕生した、グループのデジタルマーケティング事業の中核を担う、ソーシャル&セールスプロモーション領域を得意とする企業です。

主力事業の「アンケートアド」は、1,147万人のネットワークを活用し、アンケート型の広告を通じて商品の魅力を効果的に訴求するサービスです。

多くの引き合いがある一方で、急成長に伴い業務負荷が急増し、会社として業務効率化が重要なテーマとなりました。

そこで、アンケート広告を自動作成するAIツールの開発をJAPAN AIと共に推進し、見事に作成時間を1/5に短縮しました。

今回は、AI導入プロジェクトを推進されたネットワークマネジメント部部長の長峰実氏に、AI導入の経緯や効果について詳しくお話を伺いました。

工数に悩まされる「アンケートアド」事業の運営体制

アンケート広告作成に約1時間を費やす状況

私たちの主力事業である「アンケートアド」は、商材を効果的に訴求する成果報酬型のサービスです。5問程度の短いアンケートを通じて、回答者の興味を引きつつ商品の魅力を伝えます。

しかし、クライアントの要望を正確に反映し、かつ効果的なアンケートを作成することは非常に難しい作業です。1つのアンケート広告作成に約1時間もかかっていました。

経験豊富な担当者に依存する属人的な業務体制

アンケート広告作成のプロセスには、主に2つの課題がありました。

1つ目は、手作業によるヒューマンエラーと商材理解度のバラつきです。これらを完全に防ぐことが難しく、修正に多くの時間を要していました。

2つ目は、質の高いアンケート広告作成の難しさです。広告色をできるだけ抑えつつ商品の魅力を伝え、同時に回答者の興味を引くバランスの取れたアンケート広告の作成は、非常に難しい作業となっていました。

これらの課題が、掲載開始までにかかる時間を肥大化させており、スピードが重視される現代のデジタルマーケティング業界において、看過できない状態でした。

我々は業務プロセスの抜本的な改革が必要でした。人間はより生産性の高い、PDCAの精度を高める業務へ時間を割ける体制が必要でした。そこで、生成AIの導入によってこれらの課題を解決できないかと検討するようになったのです。

「やればいいじゃん!」の精神でJAPAN AI導入を決断

エクスクリエは2024年1月に設立されたまだ新しい企業ですが、グループビジョンの「やればいいじゃん!」という挑戦する文化が根付いており、これが私たちの生成AI活用への取り組みを後押ししました。

POCで効果を実証し、全社的なAI活用へ挑戦

実は、私個人としてはChatGPTを使ってみた経験があり、その可能性に興味を持っていました。そんな中、得意先であったジーニー社との商談で、JAPAN AI社の紹介を受けたんです。これは会社全体でAIを活用するチャンスだと直感しました。

グループ全体としてもAIの重要性を認識しており、将来的に必要不可欠な技術だと考えていたんですよ。そこで、JAPAN AIのサービスを知り、これなら我々の業務に適用できるのではないかと思ったんです。

AI導入で業務効率が劇的に向上、社内利用が急速に拡大

JAPAN AIの導入により、私たちの業務プロセスは劇的に変化しました。特に、アンケート広告の作成時間が大幅に短縮されたことは、大きな成果だと言えます。

アンケート設問作成時間が1/5(10〜15分)に短縮

最も顕著な変化は、アンケート設問作成にかかる時間が大幅に減少したことです。以前は1つのアンケート広告作成に約1時間要していましたが、現在では10〜15分程度で完成させることが可能になりました。

AIの導入により、基本情報を入力するだけで、基本的な設問案が提示されるようになったのです。私たちはそれを微調整するだけで済むため、より多くのアンケート広告を短時間で作成できるようになりました。

さらに、アンケートタイトル(回答者に表示されるアンケート名)の生成機能も追加で導入しました。この機能により、バリエーション豊かなタイトルを簡単に作成できるようになり、クリエイティブな発想の幅が広がったのです。

↑AIで作成した「アンケートアド」の訴求アンケート。このアンケートにイメージ画像を追加することで完成となります。

AIによるペルソナ・訴求方針提案で企画の幅が拡大

また、AIがペルソナや商品の訴求方針を何パターンも提案してくれるようになり、企画の幅が大きく広がりました。以前は、担当者の経験や直感に頼る部分が大きかったのですが、AIが多様な視点を提供してくれるようになったことで、より多角的なアプローチが可能になり、クライアントのニーズにも柔軟に対応できるようになりました。

↑AIで作成した「アンケートアド」の訴求方針

経験の浅い社員でも質の高いアンケート広告作成が可能に

さらに、AIの導入により、業務の属人性が大幅に解消されました。以前は、経験豊富な担当者でないと質の高いアンケート広告を作成するのが難しかったのですが、AIのサポートにより、経験の浅い社員でも一定水準以上のアンケート広告を作成できるようになりました。これは、人材育成の面でも大きなメリットをもたらしています。

AIが作っても広告効果に悪影響なし。高速PDCAが可能に

AIが作成したアンケート広告を用いても、人間が作成したアンケート広告と比較して効果が落ちるということはありませんでした。

単純に、作成時間が削減されたので、その分PDCAを回すことに時間が使えるようになったため、総じて良かったと感じています。

実際、多くの社員がその効果を実感していて、社内でのAI利用は急速に浸透しています。

「絶対に形にする意志」がAI活用推進に必要だった

とはいえ、最初のうちはAIに対する懸念もあり、スムーズに導入というわけにはいきませんでした。特に、社内の既成概念を打破することに時間がかかりました。AI=万能という誤解を解き、自社に合わせたカスタマイズの必要性を理解してもらうのに苦労しましたね。

実際に使うメンバーを巻き込みながら、実用レベルに持っていくまでの改善と検証を続けることも大変でした。みんなの意見をまとめて改修しても思うような結果が出ず、実務で使えないという空気になってしまい、プロジェクトが停滞した時期もありました。

また、AIの使い方に慣れない社員に対しては、AIに対する具体的な指示の仕方を教えたりもしました。リーダーシップを発揮して引っ張っていく必要があり、私自身がAIを使いこなせないと社内での浸透は難しいと感じました。 最終的にこの壁を乗り越えられたのは、絶対に形にして実務に乗せるという私の意地だったかもしれません。

AIを活用したデータ分析と創造的業務への展開を目指す

アンケート広告作成の大幅な効率化に成功しましたが、これはまだ始まりに過ぎません。

今後は、蓄積されたデータの分析にAIを活用し、より深い顧客理解や効果的な広告配信を実現したいと考えています。

また、バナーや広告クリエイティブ制作にもAIを活用していく予定です。他部署との連携が必要になりますが、社内営業を通じてAI活用の輪を広げていきたいと思います。

大切なことは「改善を前提に、まずやってみること」

AIの導入は、単なる業務効率化にとどまらず、組織全体の思考方法や働き方を変革する可能性を秘めています。

AIは万能ではありませんので、現場の声を積極的に聞き、自社の業務に合わせてカスタマイズし続けることが不可欠です。

また、リーダーシップの発揮も重要です。推進者が率先してAIを活用し、その効果を示すことで、徐々に理解と活用が進んでいきます。

AIのような新しい技術の導入には早期の試行錯誤が欠かせません。まずは実際に使いながら、改善を繰り返していくという、柔軟な姿勢で取り組むことが成功への鍵ではないかと思います。