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半構造化インタビューとは?定義からメリット・デメリット、質問例、実施の流れ

半構造化インタビュー とは

「半構造化インタビューって、具体的にどんな手法なの?」「構造化インタビューや非構造化インタビューとは何が違うの?」と、初めてインタビュー調査を任された方や、卒論・修論の研究手法を検討中の方なら、こうした疑問を抱えているのではないでしょうか。

半構造化インタビューは、あらかじめ質問項目を用意しておきながら、相手の回答に応じて柔軟に深掘りできる調査手法です。マーケティングリサーチ、UXリサーチ、学術研究、採用面接まで、幅広い分野で活用されています。

本記事では、半構造化インタビューの定義から、構造化・非構造化インタビューとの違い、メリット・デメリット、具体的な質問例、実施の流れ、インタビューガイドの作り方、注意点、分析方法まで、JAPAN AIが網羅的に解説します。

目次

半構造化インタビューとは

半構造化インタビューとは、あらかじめ質問項目を定めておき、回答内容に応じて柔軟に深掘りしていく調査手法です。英語では「Semi-Structured Interview」と呼ばれ、定性調査の代表的な手法のひとつに位置づけられています。

この手法の最大の特徴は、「構造化インタビュー」と「非構造化インタビュー」の中間に位置する点にあります。構造化インタビューのように質問の枠組みを持ちつつも、回答に応じて追加質問ができ、非構造化インタビューのように自由な対話が可能でありながら、調査目的から大きく逸れません。

つまり、聞くべきことは聞きつつ、想定外の発見も拾えるバランスの良さが、半構造化インタビューの魅力です。

半構造化インタビューは、以下のような幅広い分野で活用されています。

  • マーケティングリサーチ:消費者の購買動機や潜在ニーズの把握
  • UXリサーチ:ユーザーの行動パターンや不満の深掘り
  • 学術研究:看護研究、社会学、教育学などでの質的データ収集
  • 人事・採用:候補者の価値観や経験の把握

いずれの場面でも、アンケートのような定量調査では見えにくい「なぜそう思うのか」「どのような経験がそう感じさせたのか」といった深層の情報を引き出せることが、半構造化インタビューが選ばれる理由です。

構造化インタビュー・非構造化インタビューとの違い

半構造化インタビューを正しく理解するには、構造化インタビューと非構造化インタビューとの違いを押さえることが欠かせません。以下の比較表で、3つの手法の特徴を整理します。

比較軸構造化インタビュー半構造化インタビュー非構造化インタビュー
質問の自由度低い(質問・順序を完全固定)中程度(質問項目は固定、順序・深掘りは柔軟)高い(テーマのみ設定、質問は自由)
回答の比較可能性高い中程度低い
インタビュアーの裁量ほぼなしあり(追加質問・順序変更が可能)大きい
適した調査目的仮説検証、大規模調査仮説探索+一定の比較探索的調査、未知領域の発見
分析の難易度低い中程度高い

構造化インタビューとの違い

構造化インタビューは、すべての対象者に対してまったく同じ質問を、同じ順序で投げかける形式です。回答の比較可能性が高く、統計的な処理にも向いています。

一方で、質問が完全に固定されているため、回答の中に興味深い発言があっても追加で深掘りすることができません。想定外の発見を拾いにくい点が弱点です。

半構造化インタビューとの最大の違いは、深掘りの有無です。半構造化インタビューでは、事前に用意した質問を軸にしつつも、「それはなぜですか?」「もう少し具体的に教えてください」といった追加質問を自由に行えます。

非構造化インタビューとの違い

非構造化インタビューは、大まかなテーマだけを設定し、質問項目を事前に固定しない形式です。対話の流れに身を任せるため、自由度が非常に高く、対象者の語りから予想外の知見が得られることがあります。

しかし、話が脱線しやすく、調査目的から離れてしまうリスクがあります。また、対象者ごとに聞いた内容が大きく異なるため、データの分析負荷が高くなる点も課題です。

半構造化インタビューとの最大の違いは、インタビューガイドの有無です。半構造化インタビューでは、あらかじめ質問リスト(インタビューガイド)を用意するため、調査の軸がぶれにくく、複数の対象者間で一定の比較が可能です。

デプスインタビューとグループインタビューの違い

半構造化インタビューを実施する際、もうひとつ理解しておきたいのが実施形態の違いです。半構造化インタビューは、1対1のインタビューでも、グループインタビューでも実施できます。それぞれの特徴を整理します。

デプスインタビューとの違い

デプスインタビュー(In-Depth Interview / IDI)は、インタビュアーと対象者が1対1で行う形式です。1回あたり60〜90分程度をかけて、ひとりの対象者を深く掘り下げます。

デプスインタビューの特徴は以下のとおりです。

  • 個人の価値観、購買行動の深層、感情の機微まで踏み込める
  • 他者の目を気にせず本音を語りやすい
  • センシティブなテーマ(健康・お金・人間関係など)にも適している

半構造化インタビューとデプスインタビューは対立する概念ではなく、デプスインタビューでは半構造化形式がよく用いられます。つまり、「半構造化×デプス」の組み合わせがインタビュー調査の代表的なスタイルといえます。

グループインタビューとの違い

グループインタビュー(Focus Group Interview / FGI)は、4〜8名程度の対象者を集めて同時に行う形式です。1回あたり90〜120分程度で実施されます。

グループインタビューの特徴は以下のとおりです。

  • 参加者同士の相互作用(グループダイナミクス)から、多様な意見やアイデアが生まれる
  • 短時間で多くの人の意見を収集できる
  • 他者の発言をきっかけに、自分では気づかなかった考えが引き出される

半構造化形式をグループインタビューで行う場合、モデレーター(司会者)は事前に用意した質問を投げかけつつ、参加者の発言に応じて話題を広げていきます。ただし、1対1のデプスインタビューと比べると、ひとりあたりの深掘りに使える時間が限られる点には注意が必要です。

比較軸デプスインタビューグループインタビュー
人数1対14〜8名(6名前後が一般的)
所要時間60〜90分90〜120分
深掘りの深さ深いやや浅い
得られる情報個人の深層心理・本音多様な意見・グループの反応
適した場面個人の購買行動、センシティブなテーマ新商品コンセプトの評価、広告の反応調査

半構造化インタビューのメリット

半構造化インタビューが多くの調査場面で選ばれるのには、明確な理由があります。ここでは主要な3つのメリットを解説します。

  • 調査目的からはずれにくい
  • 質的情報を得やすい
  • 規則性と自由度のバランスが良い

調査目的からはずれにくい

半構造化インタビューでは、事前にインタビューガイド(質問リスト)を用意するため、調査の軸がぶれにくいのが大きな利点です。

非構造化インタビューでは、対話の流れに任せるあまり、気がつけば本来の調査目的から大きく離れた話題に時間を費やしてしまうことがあります。一方で、構造化インタビューでは質問が固定されすぎて、重要な発見を見逃すリスクがあります。

半構造化インタビューは、この両方のリスクを回避できます。質問の枠組みがあることで方向性を保ちつつ、回答に応じた追加質問で柔軟に対応できるため、調査の網羅性と発見の両立が可能です。

質的情報を得やすい

半構造化インタビューの最大の強みは、アンケート調査では得られない質的データを収集できる点です。

回答に応じて「なぜそう思ったのですか?」「そのとき、具体的にどんなことがありましたか?」と深掘りすることで、対象者の本音、潜在的なニーズ、感情の動きといった深層情報を引き出せます。

たとえば、アンケートで「この商品に不満がある」と回答した人に対して、半構造化インタビューでは以下のような質的情報を掘り起こせます。

  • 不満の根本原因(機能なのか、使い勝手なのか、価格なのか)
  • 不満が生じた具体的なシチュエーション
  • 代替手段として何を検討しているか
  • 改善されたら購入を続けるかどうか

こうした質的データは、商品改善やサービス設計において非常に価値の高いインサイトです。

規則性と自由度のバランスが良い

半構造化インタビューは、質問の枠組みによる一定の比較可能性と、状況に応じた柔軟な対応を両立できる手法です。

事前に質問項目を統一しているため、複数の対象者の回答をある程度横並びで比較できます。同時に、個々の回答に応じた深掘りも可能なため、対象者ごとの固有の文脈も拾えます。

この規則性と自由度のバランスこそが、半構造化インタビューが構造化・非構造化の両方のメリットを兼ね備えているといわれる理由です。

半構造化インタビューのデメリット

メリットの多い半構造化インタビューですが、導入前に知っておくべきデメリットもあります。事前に課題を把握しておくことで、適切な対策を講じられます。

  • 調査準備や質問設計に手間がかかる
  • インタビューの難易度が高い
  • 事前質問と深掘り質問の塩梅が難しい

調査準備や質問設計に手間がかかる

半構造化インタビューでは、事前準備に相応の工数がかかります。具体的には、以下の作業が必要です。

  • インタビューガイドの作成:質問項目の設計、質問の順序の検討、想定される深掘りポイントの洗い出し
  • 対象者の選定・リクルーティング:調査目的に合致する対象者の条件設定と募集
  • パイロットテスト:本番前にインタビューガイドの有効性を検証する試行

構造化インタビューであれば質問票を作成するだけで済みますが、半構造化インタビューでは「どこまで深掘りするか」「どんな追加質問を用意するか」まで想定しておく必要があり、準備の負荷が高い点がデメリットです。

インタビューの難易度が高い

半構造化インタビューの質は、インタビュアーのスキルに大きく依存します。

深掘りのタイミング、追加質問の選び方、対象者の発言の受け止め方は、マニュアル化しにくく、経験に基づく判断力が求められます。経験の浅いインタビュアーが実施すると、以下のような問題が生じがちです。

  • 深掘りすべきポイントを見逃す
  • 対象者の回答を無意識に誘導してしまう(バイアスの混入)
  • 時間配分を誤り、重要な質問に十分な時間を割けない

そのため、インタビュアーの選定とトレーニングが、半構造化インタビューの成否を分ける重要な要素です。

事前質問と深掘り質問の塩梅が難しい

半構造化インタビューには、事前に用意した質問に時間を使いすぎると深掘りの余地がなくなり、深掘りに偏ると網羅性が下がるというジレンマがあります。

たとえば、60分のインタビューで10個の質問を用意した場合、1問あたりの持ち時間は単純計算で6分です。しかし、ある質問で興味深い回答が得られて15分かけて深掘りすると、残りの質問に十分な時間を割けなくなります。

このジレンマに対処するためのポイントは以下のとおりです。

  • 質問に優先順位をつける:「必ず聞く質問」と「時間があれば聞く質問」を事前に分けておく
  • 時間配分の目安を設定する:導入5分・主要質問30分・深掘り20分・クロージング5分など
  • インタビューガイドに「深掘りの上限時間」を記載する:1つの深掘りに10分以上かけないなどのルールを設ける

事前の時間設計を丁寧に行うことで、網羅性と深掘りのバランスを保てます。

半構造化インタビューの質問例

半構造化インタビューの質問は、オープンクエスチョン(自由回答型の質問)を中心に構成するのが基本です。「はい/いいえ」で終わる質問ではなく、対象者が自分の言葉で語れる質問を設計しましょう。

半構造化インタビューを実施する際の、シチュエーション別の具体的な質問例を紹介します。そのまま活用できるテンプレートとしてお使いください。

市場調査での質問例

マーケティングリサーチで消費者の購買行動や潜在ニーズを探る際の質問例です。

導入質問(ウォームアップ)

  • 「〇〇(商品カテゴリ)を普段どのように利用されていますか?」
  • 「〇〇を初めて購入されたきっかけを教えてください」

本題質問

  • 「〇〇を選ぶ際に、最も重視しているポイントは何ですか?」
  • 「購入を検討し始めてから実際に購入するまで、どのような情報を参考にしましたか?」
  • 「現在お使いの〇〇に対して、不満に感じている点はありますか?」

深掘り質問(回答に応じて使用)

  • 「それはなぜですか?もう少し詳しく教えていただけますか?」
  • 「具体的にどのような場面でそう感じましたか?」
  • 「もし改善されるとしたら、どのような形が理想ですか?」

質問テンプレートをそのまま使うのではなく、調査対象の商品・サービスに合わせて具体的な表現にカスタマイズしましょう。

採用面接での質問例

採用面接では、行動面接(Behavioral Interview)の質問が使われることがあります。過去の具体的な行動を聞くことで、候補者の実践力や思考プロセスを把握できます。

導入質問

  • 「これまでのご経歴を簡単にお聞かせください」
  • 「今回の転職を考えたきっかけは何ですか?」

本題質問(行動面接型)

  • 「前職で最も困難だった経験と、それをどのように乗り越えたかを教えてください」
  • 「チームで意見が対立した際、どのように対処されましたか?」
  • 「これまでの仕事の中で、最も達成感を感じたプロジェクトについて教えてください」

深掘り質問

  • 「そのとき、最初にどのような行動を取りましたか?」
  • 「その経験から学んだことを、その後どのように活かしましたか?」
  • 「もう一度同じ状況になったら、何か違うアプローチを取りますか?」

行動面接型の質問では、「状況→行動→結果」の流れで具体的なエピソードを聞き出すことがポイントです。

学術研究での質問例

卒論・修論・看護研究などの学術調査では、研究テーマに沿ったオープンクエスチョンを中心に設計します。

導入質問

  • 「〇〇(研究テーマ)について、日頃どのようにお考えですか?」
  • 「〇〇に関わるようになったきっかけを教えてください」

本題質問

  • 「〇〇を経験されたとき、どのようなお気持ちでしたか?」
  • 「〇〇に関して、最も印象に残っている出来事を教えてください」
  • 「〇〇について、周囲の方々はどのような反応をされていましたか?」

深掘り質問

  • 「そのとき、ご自身の中でどのような変化がありましたか?」
  • 「その経験は、その後の〇〇にどのような影響を与えましたか?」

学術研究では、研究倫理への配慮(インフォームドコンセント、匿名性の保証、録音許可の取得など)を事前に行うことも忘れないようにしましょう。

半構造化インタビューの流れ

半構造化インタビューの実施手順を、信頼関係の構築から総括まで、時系列に沿って4つのステップで解説します。

信頼関係を構築してからインタビューを始める

インタビューの冒頭は、対象者との信頼関係(ラポール)の構築に充てましょう。いきなり本題に入るのではなく、以下の手順を踏むことで、対象者がリラックスして本音を語りやすい環境を整えます。

インタビュー冒頭で行うべきことは次のとおりです。

  1. 自己紹介:インタビュアーの名前と所属を伝える
  2. 調査目的の説明:「今日は〇〇についてお話を伺いたいと思います」と、目的を明確に伝える
  3. 所要時間の案内:「お時間は60分程度を予定しています」
  4. 録音許可の取得:「正確な記録のために録音させていただいてもよろしいですか?」と必ず確認する
  5. 匿名性・守秘義務の説明:回答内容が個人を特定する形で公開されないことを保証する
  6. アイスブレイク:天気や最近の出来事など、軽い話題で緊張をほぐす

この冒頭の5〜10分が、インタビュー全体の質を左右するといっても過言ではありません。対象者が安心して話せる環境を丁寧に整えてください。

事前に用意した主要な質問をする

信頼関係が構築できたら、インタビューガイドに沿って主要な質問を行います。

ここでのポイントは、質問の順序は固定ではなく、会話の流れに応じて柔軟に変更してよいということです。インタビューガイドはあくまで「ガイド」であり、台本ではありません。

たとえば、対象者が2番目の質問に答える中で、5番目に予定していた話題に自然と触れた場合、そのまま5番目の質問に移行しても構いません。無理に順番どおりに戻すと、対話の流れが不自然になり、対象者が話しにくくなることがあります。

会話の自然な流れを優先しつつ、聞き漏らしがないかをインタビューガイドで随時確認することが大切です。

興味深い回答を深掘りする

半構造化インタビューの真価が発揮されるのが、この深掘りのステップです。対象者の回答の中に、調査目的に関連する重要な発言や意外な視点が含まれていた場合、追加質問で掘り下げます。

深掘りに使えるフォローアップ質問の例は次のとおりです。

  • 「もう少し詳しく教えていただけますか?」
  • 「具体的にはどういうことですか?」
  • 「それはいつ頃のことですか?」
  • 「そのとき、どのようにお感じになりましたか?」
  • 「〇〇とおっしゃいましたが、それはなぜですか?」

深掘りの際に注意すべきは、「なぜ?」を繰り返しすぎないことです。「なぜ?」「なぜ?」と矢継ぎ早に聞くと、対象者が尋問されているように感じてしまいます。「具体的には?」「たとえば?」など、表現を変えながら自然に掘り下げましょう。

インタビューをまとめて総括する

インタビューの終了前に、以下の手順で総括を行いましょう。

  1. 要点の振り返り:「今日お話しいただいた内容をまとめると、〇〇ということでよろしいでしょうか?」と、主要なポイントを確認する
  2. 追加発言の確認:「他に何かお伝えしたいことや、聞き漏らしていることはありますか?」と尋ねる
  3. 謝意の表明:「お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました」と感謝を伝える
  4. 今後の流れの説明:調査結果の活用方法や、追加で連絡する可能性がある場合はその旨を伝える

この総括のステップは、対象者に「自分の話がきちんと受け止められた」という安心感を与えるとともに、インタビュアーが内容を正しく理解しているかを確認する重要な機会です。

インタビューガイドの作り方

インタビューガイドとは、半構造化インタビューで使用する質問リスト+進行台本のことです。インタビューの質を大きく左右する重要なツールであり、事前にしっかりと作り込むことが調査の成功につながります。

質問の構成

インタビューガイドの質問は、以下の4段階構成で組み立てるのが効果的です。

段階内容時間配分の目安(60分の場合)
導入質問アイスブレイク、自己紹介、調査目的の説明5〜10分
本題質問調査目的に直結する主要な質問(5〜7問程度)25〜30分
深掘り質問回答に応じたフォローアップ質問15〜20分
クロージング要点の振り返り、追加発言の確認、謝意5分

本題質問は「必ず聞く質問」と「時間があれば聞く質問」に分けておくと、時間配分の調整がしやすくなります。

質問の形式

質問の形式は、オープンクエスチョンを中心に設計します。

質問形式特徴
オープンクエスチョン自由に回答できる。深い情報が得られる「〇〇についてどのようにお考えですか?」
クローズドクエスチョンはい/いいえで回答。事実確認に向く「〇〇を利用したことはありますか?」

半構造化インタビューでは、オープンクエスチョンを7〜8割、クローズドクエスチョンを2〜3割の比率で配置するのが目安です。クローズドクエスチョンは事実確認や話題の導入に使い、そこからオープンクエスチョンで深掘りする流れが効果的です。

誘導質問を避ける工夫

インタビューガイドを作成する際に最も注意すべきは、誘導質問を避けることです。

NG例(誘導質問)OK例(中立的な質問)
「この商品は使いやすいと思いますか?」「この商品の使い心地はいかがですか?」
「〇〇は問題だと思いませんか?」「〇〇についてどのようにお感じですか?」
「多くの方が〇〇と言っていますが、あなたはどうですか?」「〇〇について、あなたのお考えを聞かせてください」

誘導質問は、インタビュアーの期待する方向に回答を偏らせてしまい、データの信頼性を損ないます。質問文を作成したら、第三者にチェックしてもらうことをおすすめします。

半構造化インタビューの注意点

半構造化インタビューの質を高めるために、実施時に陥りやすい失敗と対策を押さえておきましょう。

調査設計をしっかりと行う

インタビューの質は、事前の調査設計で大部分が決まります。以下の項目を明確にしてからインタビューに臨みましょう。

  • 調査目的の明確化:「何を明らかにしたいのか」を一文で言語化する
  • 対象者の選定基準:年齢・性別・利用経験・職種など、調査目的に合致する条件を設定する
  • サンプルサイズの決定:必要な人数は調査目的の範囲や対象者の均質性によって異なる。新しい情報が出なくなるタイミングを見ながら判断する
  • 調査スケジュールの策定:リクルーティング・パイロットテスト・本番インタビュー・分析の各工程に十分な時間を確保する

調査設計が曖昧なまま実施すると、「たくさん話を聞いたが、結局何がわかったのかよくわからない」という結果に陥りがちです。調査目的を一文で言語化することから始めてください。

インタビュアーの選定

半構造化インタビューの結果は、インタビュアーのスキルに大きく左右されます。適切なインタビュアーの選定と、事前のトレーニングが不可欠です。インタビュアーに求められる主なスキルは次のとおりです。

  • 傾聴力:対象者の話を遮らず、最後まで聞く姿勢
  • 深掘り力:回答の中から重要なポイントを見抜き、適切な追加質問を投げかける力
  • 中立性:自分の意見や期待を表に出さず、対象者の回答を誘導しない姿勢
  • 柔軟性:予想外の回答にも動じず、臨機応変に対応できる力

経験の浅いインタビュアーが実施する場合は、ベテランのインタビュアーが同席してフィードバックを行う「OJT方式」が効果的です。

誘導質問をしない

前述のインタビューガイドの作り方でも触れましたが、誘導質問の回避は半構造化インタビューにおける最重要ルールのひとつです。特に深掘りの場面では、インタビュアーが無意識のうちに自分の仮説を確認するような質問をしてしまうことがあります。

場面誘導質問の例対策
仮説を確認したいとき「〇〇が原因だと思いますか?」「原因として思い当たることはありますか?」
対象者の回答が曖昧なとき「つまり〇〇ということですか?」「もう少し具体的に教えていただけますか?」
話が脱線したとき「それよりも〇〇についてはどうですか?」「ありがとうございます。では〇〇についてもお聞かせください」

誘導質問によるバイアスの混入は、調査結果の信頼性を根本から揺るがします。インタビュー後に録音を聞き返し、誘導質問がなかったかをセルフチェックする習慣をつけましょう。

半構造化インタビューの分析方法

インタビューで得られた定性データ(質的データ)は、適切な手順で分析することで初めて価値あるインサイトに変わります。録音・文字起こしからテーマ抽出までの分析の基本的な流れを解説します。

録音・文字起こしから始まる定性データの整理

分析の第一歩は、インタビューの録音データを文字に起こすことです。

  1. 録音データの確認:インタビュー時に許可を得て録音した音声データを確認する
  2. 逐語録(トランスクリプト)の作成:発言を文字に起こす。どの程度まで逐語的に記録するかは、分析目的に応じて決める
  3. 非言語情報のメモ:笑い、沈黙、声のトーンの変化など、音声だけでは伝わりにくい情報をメモとして付記する

2026年現在、AI文字起こしツールの精度が飛躍的に向上しており、録音データのテキスト化を大幅に効率化できます。ただし、AI文字起こしの出力は必ず人間が確認・修正し、正確性を担保しましょう。

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コーディングとカテゴリ化によるテーマの抽出

逐語録が完成したら、コーディング(符号化)の作業に入ります。コーディングの手順は次のとおりです。

  1. オープンコーディング:逐語録を読み込み、意味のあるまとまり(セグメント)ごとにラベル(コード)を付ける
    • 例:「価格が高いと感じた」→ コード「価格への不満」
    • 例:「友人の勧めで購入した」→ コード「口コミの影響」
  2. カテゴリ化:類似するコードをグルーピングし、上位のカテゴリにまとめる
    • 例:「価格への不満」「品質への不満」「サポートへの不満」→ カテゴリ「不満要因」
  3. テーマの抽出:カテゴリ間の関係性を分析し、調査目的に対する回答となるテーマを導出する
    • 例:テーマ「購買継続を左右する3つの要因:価格・品質・サポート」

コーディングは手作業で行うのが基本ですが、NVivoやMAXQDAなどの質的データ分析ソフトウェア(QDAS)を活用すると、大量のデータを効率的に処理できます。

質的内容分析やグラウンデッド・セオリーの活用

定性データの分析には、いくつかの確立された手法があります。代表的な2つを紹介します。

質的内容分析(Content Analysis)

テキストデータを体系的にコード化し、カテゴリに分類して、パターンやテーマを特定する手法です。比較的シンプルで取り組みやすく、マーケティングリサーチや実務的な調査で広く使われています。

  • 向いている場面:調査目的が明確で、分析の枠組みがある場合
  • 手順:カテゴリを設定または抽出 → データをカテゴリに分類 → パターンや傾向を分析

グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)

データから理論を構築する帰納的な手法です。事前の仮説を持たず、データの中から概念やカテゴリを生成し、それらの関係性から理論モデルを構築します。

  • 向いている場面:先行研究が少ない未知の領域を探索する場合、学術研究
  • 手順の一例:オープンコーディング → 軸コーディング → 選択的コーディング → 理論の生成
手法特徴適した場面
質的内容分析体系的・比較的シンプル実務調査、明確な調査目的がある場合
グラウンデッド・セオリー帰納的・理論構築型学術研究、未知の領域の探索

どちらの手法を選ぶかは、調査目的と分析者のスキルレベルに応じて判断しましょう。

半構造化インタビューに関してよくある質問

半構造化インタビューに適した人数は?

デプスインタビュー(1対1)の場合に必要な人数は、調査目的の範囲や対象者の均質性によって異なります。新しい情報が出なくなるタイミングを基準に判断してください。グループインタビューの場合は、1グループ4〜8名(6名前後が一般的)で、2〜3グループ実施するのが一般的です。調査の規模や予算に応じて調整しましょう。

構造化・半構造化・非構造化インタビューの使い分け方は?

調査目的に応じて選びましょう。仮説を検証したい場合や回答を統計的に比較したい場合は構造化インタビュー、未知の領域を自由に探索したい場合は非構造化インタビュー、一定の比較可能性を保ちつつ深掘りもしたい場合は半構造化インタビューが適しています。迷ったら、最もバランスの良い半構造化インタビューから始めるのがおすすめです。

半構造化インタビューの所要時間の目安は?

デプスインタビュー形式で1回あたり60〜90分、グループインタビュー形式で90〜120分が一般的です。インタビュー本体の時間に加え、準備(インタビューガイド作成・リクルーティング)に1〜2週間、分析(文字起こし・コーディング・レポート作成)に1〜3週間程度を見込んでおくと、余裕を持ったスケジュールで進められます。

半構造化インタビューを活用して質の高い調査を実現しよう

本記事では、半構造化インタビューの定義から、構造化・非構造化インタビューとの違い、メリット・デメリット、質問例、実施の流れ、インタビューガイドの作り方、注意点、分析方法までを解説しました。

半構造化インタビューの要点を振り返ります。

  • 半構造化インタビューは、事前に質問を用意しつつ回答に応じて柔軟に深掘りできる、構造化と非構造化の「良いとこ取り」の調査手法
  • 調査の成功を左右するのは、インタビューガイドの設計の質とインタビュアーのスキル
  • 得られた定性データは、録音→文字起こし→コーディング→カテゴリ化→テーマ抽出の手順で分析する

まずは、調査目的を明確にし、インタビューガイドの作成から始めてみましょう。本記事で紹介した質問例や構成テンプレートを参考に、あなたの調査テーマに合わせたガイドを作成すれば、初めてのインタビューでも自信を持って臨めるはずです。